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カラオケ行こ!公開 (1/14)

サウンドトラックをやらせて頂いた『カラオケ行こ!』が初週末好スタートを切ったらしい。個人的にはヴェンダース作品を観に映画館へ足を運んだのだが、『カラオケ行こ!』の垂れ幕式巨大ポスターを入り口にて発見して嬉しかった。本当に作品は完成し、巣立ったのだな。達成感と別れはほぼ同時にやってくるので、私たちが完璧な姿で見つめ合えるのはほんの一瞬。年をとる度に別れの存在が目立ってくるが、逆にもっともっと年を取ったら、出会いこそが煌々とする日々がまた戻ってくるのかもしれない。
中年期に突入して、新しい自分との戦い方を模索し出す。自分の長所を鍛える時代は終わり、短所と共存して円熟を目指す時代が到来した。人間ここからが本気のハードモード。というわけで、それなりに諦めて、しばらく頑張ることにする。
寒くて散歩もなかなかできない冬ですから、予定のない休日や仕事終わりにぜひ『カラオケ行こ!』鑑賞してみてね。

成田狂児の名刺(本物)
げんきおまもりがわりに携帯している

さて、年が明けてからまだ読書を始めていないことに気づいて、買ったまま未読だった武田砂鉄さんの「紋切型社会」を読み始める。第一章から非常に快活で面白く、何度も漫画の登場人物みたいに吹き出した。24時間テレビの嘘っぽさは結婚式のスピーチのそれだったのか…から始まって、最適化の恐ろしさを色々な事案から分かりやすく述べられている。皮肉や批判がエモーショナルの餌食になっておらず、かつ、文章が上手いので、活劇か喜劇のようにテンポよく読める。お勧め。

最後に音楽について。"クリスマス・イブ"という仮タイトルをあてがって作り始めたピアノ曲は、結局6分半くらいの尺に落ち着いた。毎日弾きながら微調整を重ね、ある程度安定してきたので今日から新曲に着手することにした。テーマを決めて課題のノルマと向き合う学生のようにピアノスタジオを予約していたが、『パーフェクト・デイズ』で役所広司さん演じる平山の最後の表情を観ていたら、というかそれを撮っているヴェンダースの目線(カメラ)を強く感じていたら「音楽を作るってことはさ、全然そういうんじゃないんだよなぁ。」と思い直す。平山の皮膚とか皺をなぞるように曲を始める。何もないところから音楽を書いてくって、一体どういう欲望に基づいているのだろう。我ながらよくわからないことをして生きている。

それにしてもヴェンダースほど、本人の目線(カメラ)の存在が色濃く出る映画監督っているだろうか。
カメラの中(創作物/役者)とこちら(現実社会)の境界がゼロに近い。観ているうちにゼロに近づいていく、と言った方が正しいかも知れないが。
ヴェンダースの眼鏡って、普通の眼鏡じゃなくてカメラのレンズなんじゃないの?と、実は疑っている。


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