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Bar NISHIJIMA 1杯目「ヴァイオリニスト 牧野順也さん」

Bar NISHIJIMAとは
世界企業を目指す株式会社シードの社長である西島英弘が、ゲストを迎え、お酒を嗜みながら、あれやこれやお話しする番組です。
シードとともに世界を目指すゲストたちの真剣な面とそうでない面をぜひお楽しみください。※音声はこちらから


西島:記念すべき一杯目のゲストは、三島市出身のヴァイオリニストの牧野順也さんです。
牧野さんは、三島市出身で日本及びヨーロッパで活躍されているヴァイオリニストです。
オーストリア国立グラーツ音楽演劇大学卒業、スイス·バーゼル市立バーゼル音楽院演奏課程及び「現代音楽」課程を修了されました。ヨーロッパを中心にご活躍され現在はスイスと地元の三島市を拠点に、クラシック音楽そして変拍子や不協和音など新しい音楽言語が特徴的な「現代音楽」の演奏家として、演奏活動そして音楽祭等の企画にも力を入れていらっしゃいます。直近では、長泉町のベルナール・ビュフェ美術館の開館50周年特別企画として、絵画の前で演奏を行うという企画に参画していただきました。
私も大変楽しませていただきました。ということで、牧野さん、本日はよろしくお願いします。

牧野さん:よろしくお願いいたします。

西島:ベルナール・ビュフェ美術館での演奏はいかがでしたか?

牧野さん:子供の頃から馴染みのある美術館で、まさか自分が記念すべき開館50周年という節目に演奏できると想像もしていなかったので、本当に素晴らしい作品の数々の前で演奏することができ大変光栄でした。

西島:僕も感動しました。まさにビュフェの線のような音楽を聞かせていただいて、曲も「SEN」(牧野さんが開館50周年記念として作曲したオリジナル楽曲)を聞かせていただきましたが、あの音楽はどんな発想からできたんですか?

牧野さん:そうですね。ビュフェにどういった音楽が合うかなと考えていたところ、ビュフェの作品は線が色々変わっていくというところに、一つの特徴があるんだということを調べて思いまして、この線を使って、線とマリアージュさせて、彼の生涯だったり、彼の作品というものを描くことができないかというのが最初のインスピレーションの始まりになります。この「SEN」には「ライン(線)」という意味の他に、日本の漢字の「千」とも掛け合わせており、その「千」には数々の思いをつないでいく、永遠に、など大変縁起のいい意味がありますので、そのような思いもタイトルに込め音楽を作りました。

西島:とても感動しました。それではですね、BarNISHIJIMA、今日初めてのゲストの牧野さんですけれども、牧野さんに合わせたお酒もご用意してあります。 すいません、出演料がないので、このお酒でご容赦ください。今日は「イチローズモルト」をご用意させていただいてまして、まだまだ若いシングルモルトウイスキーということですけれども、世界で高く評価されて、日本でなかなか買えないというところです。それでは、牧野さん、乾杯しましょう!

西島・牧野さん:乾杯っっ!!

西島:牧野さん、乾杯しましてありがとうございます。牧野さんについて色々聞いていきたいと思うんですけれども、牧野さんのご趣味は何ですか?

牧野さん:趣味はサッカーです。

西島:韮高サッカー部ですよね。

牧野さん:はい。

西島:そうですよね。正直、僕らの時もそうでしたけど、割りかし強い??

牧野さん:そうですね。自分らの代は人数も少なくて正直強くはなかったんですけど、1個上と1個下やその下の世代は地元のユースチームに所属していた人たちが来ていたこともあり、結構強かったです。ただ、自分たちの代はそこまで強くないです。笑

西島:聞くとこによるとヴァイオリニストなのに、ポジションが変わっていると聞きましたが、どこのポジションやってたんですか?

牧野さん:ゴールキーパーをずっと小学生の時からやってました。

西島:え、高校まで?

牧野さん:高校までやってました。

西島:ちょっと変な聞き方になりますけど、ゴールキーパーって手を使うじゃないですか。 なぜ(ヴァイオリニストなのに)ゴールキーパーをやってたんですか?

牧野さん:小学校の時、その当時ってみんなフォワードとかミッドフィルダーとかやって、攻撃したい。

西島:攻撃したい。

牧野さん:キーパーってジャンケンで負けた人がなるっていうのが結構あって、自分も小学校高学年の時に負けてキーパーをやったんですけど、その試合中PKがありたまたま止めたんです。それで、その時のコーチが、「もうこのまま続けてやろうか。」みたいな。「あ、わかりました。」ということで、運良く自分たちのクラブチームにキーパーのコーチもいらっしゃったので、そこから専門的にキーパーを学びプレイすることになりました。

西島:僕のイメージだと、(ヴァイオリニストって)手を使ってはいけない。

牧野さん:そうですね。でも、全然その当時は、そこまで練習もしていなかったので、ヴァイオリンは。

西島:その当時は良かったんですね。

牧野さん:そうですね。その当時は良かったのですが、でもさすがに高校生の時は、音楽大学受験で実技がメインになるので、突き指した手ではちょっとまずいなと思いました。

西島:確かに。今後もサッカーする時は気を付けてください。あとは読書と仰っていましたが、どんな本を読まれるんですか?

牧野さん:あらゆる本を読むようにはしていますね。もちろん音楽的な内容の本は常時読んでいるんですけど、例えばクラシック音楽だったらヨーロッパで生まれたもので、ヨーロッパの歴史の本や美術、彫刻など別の分野のアートにも深く関わりがあるのでその辺りの本を読んだり、 あとスポーツの有名な人の伝記本、野球やサッカーの戦術本、そういったものも読みます。漫画も読みます、すごく好きなので。

西島:多読ってことですね。

牧野さん:そうですね。何か調べている時に、例えば音楽のことを調べるのでも音楽のことを考えていると、その歴史とか色々な文化のこととかの他の情報を視野に入れて考えていかないと、結構まとまらない部分があったりするので、ある本を少し読んで、違う本に変えて、また前の本に戻ったりそのようなことを繰り返しながら自分の考えをまとめる読み方をしています。

西島:素晴らしい。文化を知りながらという話で、昨年、牧野さんがコンサートをしている時に、震災ヴァイオリン、「TSUNAMIヴァイオリン」という、そういった歴史というか、この前の震災の件もあったんですけど、そんな演奏について弾かれていたということをお伺いしているんですけれども、「TSUNAMIヴァイオリン」というのは実際どういうものですか?

牧野さん:こちらはですね、東日本大震災の時に津波の影響で大量の松や木が流されてまったのですが、その流木と、甚大な被害にもかかわらず1本だけ残った『奇跡の一本松』と呼ばれる松がありその松から作られたヴァイオリンです。その松の一部をヴァイオリンの中心である魂柱と呼ばれるところに使っています。 そして周りの他のボディには、流されてしまった木を集め加工して作ってあります。

西島:そういったヴァイオリンで何を弾かれたんですか?

牧野さん:その時は「花は咲く」、「赤とんぼ」、「ふるさと」。そして、メインのプログラムがアントニオ・ビバルディの「四季」全曲を演奏しました。

西島:色々な音楽を弾かれるんですね。

牧野さん:そうですね。コンサート前半は実際被災された方の講演があって、そして音楽の演奏、「花は咲く」をはじめポピュラーな音楽を弦楽四重奏で演奏しまして、後半はクラシカルなものということでビバルディの「四季」を演奏する、という形で行いました。

西島:すごい。牧野さん色々な音楽を演奏されているということで、先ほどの自己紹介にもあったように、変拍子とか不協和音みたいな音楽を新しく積極的に取り入れてやってらっしゃる「現代音楽」というものは、どんな感じで弾かれるんですか。

牧野さん:そうですね。いわゆるクラシック音楽のコンサートというものは、例えばバッハ、モーツァルト、ベートーヴェンなどが作曲した音楽のことで、音楽の授業でも取り上げられますし皆様もどこかで一度は耳にしたことがあると思うんですけど、彼らの音楽は300年とか250年、200年前の結構昔のヨーロッパでできた音楽になります。対して「現代音楽」というのはその西洋クラシック音楽の流れを汲んではいるんですけど、そのクラシック音楽のやり方をベースにして、新しい要素を足していって、今生きている作曲家が作ったもの。それが「現代音楽」です。 演奏される回数というのは先ほど申し上げたモーツァルトやベートーヴェン、そういうポピュラーな作曲家には全然及ばない、けれども現在も世界各国に素晴らしい作曲家がたくさんいるのです。そのような今我々と同じ空気を吸い、同じ時間軸、感覚の中で生きている彼らの生み出す音楽を積極的に演奏しています。

西島:素晴らしい。そういった企画とかをされているとお伺いしていたんですけれども、今現在も色々な活動されていると聞いてますが、何かありますでしょうか。

牧野さん:はい、その「現代音楽」を、もっと多くの方々に知っていただきたいという思いのもと、2019年に「Mishima Contemporary Music Days」という現代音楽祭を三島で創始し現在まで3回開催しました。今後も継続予定です。演奏家としましても、色々な演奏会に出演しております。オーケストラの一員として演奏することもそうですし、弦楽四重奏やデュオなど室内楽のコンサートにも多数参加しております。また、ヴァイオリン1本で演奏するヴァイオリンソロのコンサートも開催しております。

西島:すごいですね。先ほど言いましたようにコンテンポラリーミュージックで毎年やっていると。

牧野さん:そうですね、2年に一度。

西島:2年に一度ですか。次は私も参加したいなと。 嘘ですよ。笑 聞きに行きたいなと。

牧野さん:ぜひ、一緒に。笑

西島:今後の活動について、少しお伺いしてもよろしいですか。

牧野さん:個人の活動としては作曲というものをどんどんしていきたいなと思っております。音楽を作る、作曲をするということが、音楽活動の中心だと思っています。今は一般的に音楽を作る人と演奏する人が分かれてしまっているのですが、昔はバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパン、リストなど音楽家は作曲をしてその曲を自ら演奏するというスタイルが基本。さらに遡ると、吟遊詩人みたいに詩と歌を自分で作って発表していくという形。そこに音楽活動の源泉があると思いますので、作曲に積極的に取り組み活動を深めていきたいと思っています。

西島:素晴らしい。私もずっと思っていました。あの個人的には音楽ができないんですけれども、文化って言うものとか、音楽というものはとても重要だと思っていまして、私たち街づくりの会社ですけど、街の成り立ちにはやっぱ文化っていうのはとても必要だと思っています。ただ単に経済活動だけやってるって言うと、人間くさくもないですし、やはり身近に文化があることでより豊かな生活ができると。もっと僕なんか街中というか身近に皆さんに取り入れてほしいなぁなんてずっと思っています。もう一つやっていきたいなって思うのは、こういった新しい世の中に変わっていく中で、音楽と何かの掛け算とか、こう新しい表現方法、まさに牧野さん仰ってましたけど、リバイバルじゃないですけど、昔は当たり前のようにやってたことが分業になっていたことをもう一度戻してみる。これは、すごくイノベイティブなことだと思いますし、ぜひ一緒に考えてやると面白いなぁと思っています。音楽とアート、この前やっていただきましたけど、絵の見方も変わるし、音楽の見方も変わるって、聞いてる方、見てる方からすると、とても変化が大きくて、ただ単に音楽を聞くだけよりも、ただ単に絵を見るだけより、掛け算、二乗じゃないですけど、より多くの考え方とかが膨らんできて、浸透していけば、新しい文化になっていくし、 ぜひ、牧野さんと考えて一緒にやれたら嬉しいなぁなんて個人的に思っています。

牧野さん:ありがとうございます。今西島さんに仰っていただいたように、人間くさいっていうところがすごくポイントになると思っております。科学技術が発達して、どんどん人間にしかできないというか、人間がすることに意味がある、そういった活動を我々人類はしていった方がいいんだろうなと思っています。その一つが音楽、文化。何かを創造し続けていきたいと思います。

西島:おっしゃる通りですよ。本当にちょっと変な言い方ですけど、イヤホンを通して聞く音楽よりも、やっぱ体で聞く音楽とか、それ人間しかできないことですし、機械が発信するんじゃなくて、やっぱり人と人との会話で、コミュニケーションが成り立つように、音楽も楽器から聞いた音を体で感じて、耳が聞いて感動する。そんなことを、今後もぜひやっていきたいなという風に思いますね。

牧野さん:音楽の受容のされ方もポイントになるかなと思っています。昔は科学技術がそこまで発達していなかったので、音楽っていうのはその場で聴くしかないというのが普通でした。その後蓄音機ができ、レコードができて、音楽が若干持ち運べるようになり、さらにCD、MDができて、今はもうそういった質量もなくてパソコンや携帯からダウンロードして聴く。持ち運びやすく、誰でもいつでも手軽に聴けるっていう風になったんですけど、ただやっぱり音質や空気感は、生音やレコード、そういったものとは全然違うっていうことは、私たち感覚で分かると思うんですよね。レコードは未だに熱狂的なファンがいるので、今のアーティストでも音にこだわる人は、レコードで音楽世界を届けています。生とかレコードとかそういったものでしか聴けない音の成分、倍音がある、そこでしか味わえない音楽の雰囲気、世界観がある。音楽に何か、ある種の温もりや感触というか、聴いていただいた方にそのような感覚を体験してもらえるような、そんな音楽活動をしていきたいと個人的に思います。

西島:僕も聞きに行きます。よろしくお願いします。すごい熱く語っていますけど、最後に将来の夢を簡単にお聞かせいただいてもよろしいですか?

牧野さん:はい。自身の演奏、作曲の向上は呼吸のように日々研鑽することはもちろんなのですが、それに加えて音楽というのが、色々な文化や社会にどのように根付いていって、今後21世紀、22世紀の世の中でどういう役割をしていくかっていうことに対して考えて活動をしていきたいなと思います。今まではコンサート、例えば「現代音楽」の音楽祭だと、現代音楽を広めるため、現代音楽をもっと知ってもらいたいという理念のもとホールなどでコンサートをやっていて、それはクラシック音楽の場合も大枠の定義としては同じだと思うのですが、今、そのような音楽の届け方が社会と何となく分離している時もあるのかなって感じるところもありまして…。音楽の届け方、受容のされ方をはじめ色々な観点から音楽を考え、イベント、演奏会をしていけたらなと思っています。

西島:素晴らしい、素晴らしいですね。ソーシャル、社会とのかかわり方。聞いていてすごいなと思ったので、応援していきたいなと思いました。話が尽きないので、ここでちょっと牧野さんの宣伝というかお話しになりますが、牧野さんのオフィシャルサイトとYouTubeとラジオのポッドキャストというのがあります。これを聞いている方々は「牧野順也」で検索してもらうと、オフィシャルサイトも出てきますしYouTubeも出てきますし、なんとラジオで喋っている牧野順也が聞けるので、ぜひ、「牧野順也」で検索して、ぜひ皆さん覗いてみてください。よろしくお願いします。なかなか長くなっちゃうので、この先2件目で深く話しに行きましょうか。

牧野さん:はい。お願いします。

西島:ということで番組はここまでということで。牧野さんありがとうございました。

牧野さん・西島:明日に乾杯!


本日のゲスト牧野順也さん
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※本内容は、ポッドキャストの音声内容を編集しております。
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