見出し画像

約束された大型DLC『仮初めの自由』の発売が素直に喜べない

2023年6月12日。Xbox Games Showcaseにて発表されたあのDLCの続報は、人間をお休みしてヤギになっていた私を再び人間に退化させるには十分すぎました。

『サイバーパンク2077:仮初めの自由』発売日決定

『PHANTOM LIBERTY / 仮初めの自由』といえば、昨年秋に発表された『サイバーパンク2077』ファン待望の大型DLC。ちょうど同時期に配信された大型アップデート&アニメ効果も相まって、当時は大いに盛り上がった記憶があります。
ところがこれまでに得られた目ぼしい情報はというと、せいぜい「イドリス・エルバ出演」「新合衆国絡みのシナリオ」「CDPR史上最大規模の追加コンテンツ」「Project Orionが控えているためDLCはこの一本のみ」ということぐらい。内容どころか肝心の価格や発売時期についても不明瞭なままで、非常にやきもきしたチューマたちも多かったことでしょう。

もっと言えば今年3月、公式Twitterで「6月に最新情報を公開予定!」とアナウンスがあったときは「だから知りたいのは最新情報の公開日じゃなくて発売日だっつってんだろ!」と声を荒げたブロダーたちも少なからずいたはずです。私とかな。

そして迎えた夏のゲームショーケースイベント群。続々と発表される新作ゲーム情報の中で本DLCの続報を目にした瞬間、おそらくナイトシティを愛する傭兵のほとんどは驚愕し、安堵し、興奮し、感動し、気絶ヤギのようにブッ倒れ、ヤギの鳴き声にも似た歓喜の声を上げつつ、ヤイバクサナギかジャッキーのアーチにまたがって、ネオン輝く夢の街に舞い戻ったに違いありません。少なくとも私はそうした。

新エリア、新キャラクター、新ウェポン、新ビーグル、新スキルツリー、まさかの追加エンディング、待望のランダムクエスト実装……長い間待たされただけあって、次々と公表される新要素を見ただけでテンションは否応なしに上がります。

ナイトシティという最低で最高の世界を再び駆け回ることのできる純粋な喜びはもちろん、ドッグタウンで繰り広げられるスパイスリラー劇や大幅にテコ入れされた戦闘システムとキャラビルドも見逃せません。
なんでも近接ビルドが強化されるとか、スタミナとサイバーウェアの重要度が上がるとか、アニメ由来の新パークがあるとか……好き勝手想像を巡らせるだけでもワクワクが止まらず、まだ3キャラ目の攻略途中だというのに「次はどんなキャラを作ろうか?」なんてつい考えてしまいます。

さらにPC版では動作環境一覧表もDLC仕様にリニューアル。パッチ1.62で試験実装されたハイエンドPC向け変態設定ことレイトレーシング・オーバードライブモードのスペックももちろん載っています。
まあでも私のようにグラフィックアップデートの恩恵が受けられないクソザコPCゲーマーにはまったく関係の無い話で……

最新の動作環境一覧表

はぁ!? 要求スペックってこんなエグかったっけ!?

従来の動作環境一覧表

自分の目の錯覚だと思って新旧の動作環境一覧表を比較してみると、その差は一目瞭然。2年半前に発売されたゲームにも関わらず、素人目で見てもわかるほど要求スペックが爆発的に跳ね上がっています。
当初の推奨要件は最低要件へと引き下げられ、従来のミドル〜ハイ程度の環境ですら解像度が低下。推奨CPUのほとんどは第12世代のi7以上。HDDに至ってはサポート対象外。エトセトラエトセトラ。
旧世代ゲームハードのみならずクソザコスペックPCもナイトシティから排除されるこの感じ……まるで金持ち以外の命が飛ぶほど軽い本作の世界観とそっくりですね。

CDPR曰く「今回の変更は自社の新しい基準にちなんだもの」であって「以前の最小動作環境でゲームが動作しなくなるというわけではない」とのことですが、私にとってこの変更はめちゃくちゃ痛い。例えるならコーポVが食らったエクストリーム解雇からの口座&サイバーウェア強制停止コンボに匹敵する痛みと絶望具合です。

過去の記事でも紹介したように、私のゲーム用PCは3年前に購入したエントリークラスのミニタワー。一応『サイバーパンク2077』の“旧”推奨要件(グラフィック設定プリセット:中相当)をギリギリ満たしているといった程度の性能です。
もともとコンシューマーで配信されていないようなインディーズゲーム目当てで購入したものなので、性能もそこまで重要視しておらず、ましてやAAAタイトルで遊ぶことなんて当時は考えてもいませんでした。

「低スぺPCには低設定がお似合いだ」とでも言いたげなNVIDIA君の提案

……なんですが、このゲームに限ってはフォトモードを使用することが多いため、GeForce Experienceの最適化設定をガン無視し、多少のフレームレートを犠牲にしてでも画質を優先するような設定で動かしています。

NVIDIA君の提案をガン無視した設定のベンチマーク結果

たまにモッサリすることはあれど、それでもだいたいの場面で約60fps出ているので問題なく遊べている……のですが、それも今だけの話です。要求スペックがガラッと変わるほどの大型アップデート後も現状の設定で普通に遊べる保証はありません。

そんな私に残された道はふたつ。PCを買い替えて完全なる自由を楽しむか、設定を落として仮初の不自由を楽しむか。

たしかに「あのときケチらずもっといいやつを買えばよかった!」と後悔した過去を顧みると、買い替えという選択肢も悪くないかもしれません。お金さえ払えば100万エディーの絶景を楽しめるのはもちろん、ついでに『Ghostwire: Tokyo』のようなマシンスペックを理由に購入を躊躇していたゲームにだって手が出しやすくなります。
ですが本作以外で性能不足を痛感したゲームはひとつも無いので、たった一本のソフトのためだけにハードそのものを買い替えるのはさすがにもったいないというか、そもそも気軽に数万円台の買い物ができるほどの勇気もお金も無いというか……あと『Goat Simulator』は1も3も全部最高設定で動かせてるから買い替えの必要性が感じられないというか。

そんなこんなで待望のDLC発売日がようやく発表されたにも関わらず、素直に喜べなくていろいろ考え込んでいるうちにあっという間に一週間が過ぎ去り、パッチ1.63まで配信されてしまった水曜日でした。

こんな記事に投げ銭するぐらいならレンガかフラフープを買った方が有意義だぞ。