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愛は勝つ【牧師エッセイ】

「愛は勝つ」で一躍有名になったシンガーソングライター・KANさんが、昨年11月に天に召されました。
それを受けて、昨年末の日本レコード大賞では特別功労賞を送られ、当時のレコード大賞を受賞した「愛は勝つ」がスキマスイッチのカバーで流されました。

この曲が大ヒットした1991年と言えば、バブル経済の崩壊や、証券・金融不祥事が相次いだ年です。
湾岸戦争が起こる中、PKO法案(国際平和協力法)の強行採決が行われた時代でもありました。
経済も人々の生活も大きく揺らぎ、明日の見通しが悪くなっていく時代の中で、「心配ないからね/君の想いが/誰かに届く明日がきっとある」という歌詞は当時の人々の心を支えたことでしょう。
そして今の時代にも、改めて求められているメッセージであるでしょう。

KANさんは子どもの頃毎週、パプテスト教会で讃美歌を歌っていたことが知られています。
その生い立ちは、少なからずこの歌詞にも影響しているように思います。

「求めてうばわれて/与えてうらぎられ/愛は育つもの」という歌詞には、十字架のイエス・キリストの姿が重なって見えてきます。
全ての人々に裏切られ、十字架にかけられていく前夜においても、キリストは「互いに愛し合うこと」を唯一の掟として弟子たちに命じていったのです。

「どんなに困難でくじけそうでも/信じることさ/必ず最後に愛は勝つ」。
このような時代であるからこそ、キリストがその生涯と復活を通して示してくださった「愛は必ず勝つ」という真理を、私たちはこの曲を通して、改めて心に刻みたいと思います。

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