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ネイティブの文章に近づけるにはどうすればいいのか

中国語学習を進めていくと、やはりいくつかの壁にぶち当たることがあります。その1つが「ネイティブの発音」「ネイティブが書く文章」「ネイティブらしい文構造」にどう近づけるかといった問題です。

私たちは中国語を習得する際に、中国語のテキストを使います。そのテキストの例文は中国語に造詣が深い専門家や、中国語ネイティブが考えているわけですから、必然的に中国語ネイティブが日常会話で使っている語句、普段書いている文章に近いものであるはずです。

しかし中国語のテキストの例文は、現地の人たちの日常会話の一部を切り取ったものです。初級の段階ではそれでもかまわないのですが、私たちは学習を進めていく過程でテキストから離れ、さまざまな場面に対応した中国語会話だったり、中国語の文章を「自分で」創出する必要が出てくるわけです。その時にいざ「自分が身に着けた文法・語句知識」だけで対応できるでしょうか。

実のところをいうと、中国語(どの外国語もそうかもしれませんが)には文法や語句の意味などの他に、テキストの解説だけでは分かりにくい「ネイティブ独特の組み合わせやニュアンス、場面で留意すべきTPO」というものが存在します。平たく言うならばいわゆる文章化しにくく、ネイティブの人たちがふわっと思っている「この名詞を使うならこの動詞に合わせたほうがいいな」とか「この言い回しはこの場面で使うべきだな」といったものです。

このため、テキストや辞書などで習った文法・語句の知識だけで、手前味噌で中国語文を構築すると、ネイティブから見てどこか違和感のある文章が出来上がってしまうリスクがあるのです。もちろんちゃんと中国語の文法や語句のニュアンスに沿って文章を作れば、ネイティブはちゃんと理解してくれるんですけどね。

このような「違和感」を回避したいのならばどうすればいいのか。やはり「ネイティブをまねる」しか近道はありません。

具体的に言うならばネイティブに近い口語を目指すならば、ネイティブが話している言い回しや語句をちゃんと自分でキャッチして自分のものにすること。

そしてネイティブに近い書き言葉を目指すならば、まずは「良質な文章」を探すことでしょう。

私自身は、Xや微博、微信で飛び交っているポスト、ツイートで使われている言いまわしを参考にするのはお勧めしません。ごく一般の人が使っている口語であったり、書き言葉にはあまりよろしくない表現が入っていたりする可能性が高く、結果「ネットの流行語の寄せ集め」のような薄っぺらい文章になるリスクも高いからです。

私がおすすめするのはやはり、「ニュース記事で使われている言葉」です。ニュース記事は「文章執筆のプロ」である記者が書いています。記者が書く記事ならば絶対的な信頼を寄せることができます。

しかもネイティブが作った文章ですから、別のネイティブがその文章を見て違和感を感じる可能性はほぼないと言えるでしょう。

私はこの業界に入って20年以上たち、さまざまな中文ニュースを翻訳するなかでさまざまな表現に触れることができました。普段は「中国語→日本語」の翻訳をやっているので、中国語文を書くという機会は皆無なのですが、おかげでXにおける自分の中国語の文章力もかなり上達することができたのではと確信しています。

・・・さてここまではニュース記事の語句や言い回しを「参考にする」(つまりインプットする)というお話でしたが、これをアウトプットしなければ、「参考にした」意味は全くありません。アウトプットとは、自分が実際に参考にして取り入れたものを、自分が日常書く文章に実際に落とし込む(つまり真似る)ということです。

真似るといっても、ニュース記事の文章丸々そっくり持ってくるというわけではありません。ニュース記事で見つけたイケた表現の語句、文節を、自分が普段使っている文章の語句、文節とこっそりと取り替えるという作業を指します。

例を出しましょう。ニュース記事で「显而易见」(ばればれである)という語句を知ったとします。中国語の文章を書く過程で「你搞的把戏很容易被发现」(あなたのいんちきはとても分かりやすい)という文章を書いたとします。

同じ意味ということで「很容易被发现」の部分を「显而易见」に置き換えてみるのです。「你搞的把戏显而易见」となり、四字成語が入って1ランク上の文になりました。

このように語句単位の入れ替えでもいいですし、ニュース記事から「動詞と名詞の組み合わせ」を参考にして、これを自分の文章に取り入れるという手法もいいでしょう。

台湾のニュースでも大陸でもいいです。とにかく寄せ集めで真似てコピーする。それを繰り返していけば、ネイティブもうなる文章を作ることも夢ではないと思います。

ただ、この手法には1つ注意点があります。それは自分の文章に適用する前に、その語句なり、動詞と名詞の組み合わせなり、言い回しなりの背後にある「ニュアンス」や「TPO」を前もってしっかり理解しておくことです。

私自身は初見でニュース記事に出てきた語句や言い回しを自分の文章で使用することはほぼありません。他の記事なり文章なりで再度目にした時に、そのニュアンスをしっかり頭の中に入れたうえで、「的確な時に」「的確な場面で」慎重に使うようにしています。

是非参考にしてみてください。

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