【コラム】声がよすぎる

どうしても耳を傾けてしまう、それだけで説得力のある声というものがあるようです。ここでは男性の声の話をしますが

例えば、高すぎず、低すぎず、よく響き、耳触りがよく、どこか含みのある声質などでしょうか。

実はかつての職場にまさにそのような方がいらっしゃいました。

50代半ばの男性社員で、声のイメージは俳優の「北大路欣也」さんでしたので、ここでは仮にキンヤさんと呼びます。

とにかく素敵な声で、そしてお話好きでした。キンヤさんとお話していると、なんというか自分がワンランク上の存在に引き上げられるような気がしていい気分になってしまうのでした。

キンヤさんは、バイクと女性をこよなく愛するちょいワルキャラでしたので、ここからは敢えてちょいワルキンヤと呼びます。

ちょいワルキンヤのお話はいつも湖をバイクでツーリングしたという話か、どこかの女性をナンパしようとしてやめたという話の繰り返しでしたが、それでも聞いているこちらがワンランク上の存在に引き上げられるような気がしていい気分になってしまうので、ちょいワルキンヤはいつも人気者でした。私も大好きでした。

ただちょっと、問題もありました。

会議などで議論が熱を帯びてくると、ちょいワルキンヤは「僕が思うに…」と素敵な声で話し出す。するとたちまち議論はワンランク上に引き上げられたような感じがして、かつ、いい気分で議論が終了するんですね。

ただ、会議が終わってしばらくすると・・・。

(・・・なんか、ちょいワルキンヤ、関係ない話してたな・・・)

となってしまうのでした。


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