マガジンのカバー画像

植民地と近代フランス

24
運営しているクリエイター

記事一覧

ピエール・ロチと森鴎外

〈note的には長めの約5千字〉  日本では『お菊さん』で有名なフランスの作家ピエール・ロチ…

西願広望
2日前
15

義務感、使命感を、もういちど

使命感→解放感→欲望の肯定19世紀末から20世紀前半にかけて西洋世界では、「あれもしなけれ…

西願広望
2週間前
21

カロリーヌ・フレスト著『「傷つきました」戦争-超過敏世代のデスロード』を読んで

差別問題、異文化交流、ポストコロニアリズムに興味関心のあるひとのために。 右翼を利する…

西願広望
3か月前
12

トゥサン・ルヴェルチュールの凡庸さ -独立運動への疑念

トゥサン・ルヴェルチュールの愚かさは、現代人もしばしば陥る愚かさである。 プロフィールト…

西願広望
6か月前
14

フランスの童謡ー「玉ねぎの歌」など

日本の、子供向け〈軍事童謡〉かつてサヨクは「宇宙戦艦ヤマト」や「機動戦士ガンダム」を「…

西願広望
7か月前
22

アルジェリアのズアーヴ兵を御存知?

写真をみてほしい。 誰だと思いますか? アラブ人じゃあないのです。 白人のフランス人なので…

西願広望
10か月前
10

歴史家=ジャーナリスト=政治家

書斎に閉じこもってはいけないフランス近代史研究はギゾーやティエールという父を持つ。 だからこそフランス近代史研究者は、父にならい、ジャーナリストでなければならない。ジャーナリストとして現在を学ぶことで「現在と過去との対話」を実現するのだ。 そしてフランス近代史研究者は、これまた父にならい、「政治家」でなければならない。自らの研究が政治的意味合いを持つことに自覚的でなければならない。 現代社会から逃避してはダメなのだ。 研究史のアナを埋めているだけではダメなのだ。 「政治家」

ナポレオンの退役軍人コロニー

1803年4月21日の法律 ナポレオンは1803年4月21日の法律で、ドイツのユーリッヒJuliersと北イタ…

西願広望
1年前
10

軍事革命論への異議申し立て

世界史における弱者とは誰なのかジェイソン・C・シャーマン『〈弱者〉の帝国 ヨーロッパ拡大…

西願広望
2年前
2

ウクライナ戦争と旧植民地諸国

2022年9月20日の国連総会における仏大統領マクロンの演説は、その言葉の選択によって、表面化…

西願広望
1年前
3

年表 奴隷制と近代フランス

はじめに学生さん向けに、奴隷交易と奴隷制の廃止について、フランス革命期を中心に簡単な年表…

西願広望
2年前
2

植民地支配 -軍人と文民、どっちがわるい?

21世紀の日本のポストコロニアリストは、植民地主義の原因を、差別や偏見という心の問題にある…

西願広望
2年前
1

差別を超えて -ファノン

日本のリベラルさんたちに、 性差別など様々な差別問題に関心のあるひとたちに、 植民地問題や…

西願広望
3年前
3

ゾンビ -サン=ドマング島の怪

史料を読んでいると、「論文には使えないけれども面白い話」にめぐりあうことがあります。 最近、出会った面白い話を、一つ紹介しましょう。 18世紀末のフランスに、ヴォブラン(Vaublanc)という男がいました。 彼は貴族で、当時フランスの植民地であったサン=ドマング島(現在のハイチ)に、広大なプランテーションを持ち、そこで黒人奴隷を酷使していました。彼は、黒人は白人よりも劣っているという偏見を持っていました。 そんな彼の回想録のなかに、次のような箇所があるのです。 ・ゾン