プロローグ

自身が北方謙三氏の三国志を初めて読んだのはおそらく15年ぐらい前の35歳の時。
30歳の誕生日の時に起業して20年。
確か取引先の知人より紹介してもらい文庫本を読み始めたのが北方三国志のきっかけです。

当時は多様な登場人物に漢語でつならる名前が難しく覚えらえず、そして博識をひけらかす三国志好きの諸先輩の方々などが苦手で最初の頃は流し読みの程度だったのですが、なぜか戦国時代などの日本史の物語よりも三国志のほうが手に合うようで、ふと気づけば文庫を手に取りながら約100年に渡る群雄割拠の歴史を北方氏が綴る三国志に未だに惹かれる日々が続くことになります。

さまざまな書籍がある三国志の中でなぜ北方三国志かというと、断然、繊細かつ丁寧な描写で描かれる心理描写とその背景などのディテールだと思います。北方三国志はハードボイルドと評されることが多いのですが、むしろその描写は繊細で、ひとりとも同じ心理を同じ表現で描かれることがなく、何度読み直してもその一行に隙がなく、かつ一行ごとの描写が時の流れに色褪せることのない傑作です。登場するさまざまな英傑たちも最初は誰もが若く無力で、強い意志と信念と胆力で、乱世を生き抜き自身の立場を確立していく姿は、現在の世界や国内で事業を牽引する経営者達と同じ姿で、その成り行きを描く描写はハードボイルドよりも詳細な人物伝と感じています。

自身も些細な喜怒哀楽を重ねる毎日の中で、現在迎えている新型コロナウイルスのような困難な時期から、仕事やプライベートの苦難や挫折の時に不意に手に取ってしまうのが北方三国志で、その時々の状況で並み居る英傑達のそれぞれに感情移入してしまうのも北方三国志の魅力です。

自身も年齢が半世紀を迎えて、何度も自身を震えたせてもらえたり助けてもらえた北方三国志をその時世の出来事や英傑達を自身の経営体験も交えた考察で綴ってみたいと思っています。

その知見も乏しく人に見せるような文章力を持ち合わせている訳ではないのですが、ひとりでも北方三国志や三國志に触れるきっかけになり、その魅力が伝われば嬉しい限りです。

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