運用レポート2020.9.19

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週間為替市況

週明けの月曜日よりドルは売られた、その反面株価は底堅く推移
またこの日は実質首相選挙の自民党総裁選があり菅官房長官が圧勝その直後に日経平均は買われたが失速。
米株価指数は引き続き底堅く推移した。
ドル円はズルズルと値を下げ、寄り付き時には106円台をなんとか維持していたものの、結局105円ミドルまで下落。
また欧州では「EU は英国によるユーロ建てデリバティブの決済業務(所謂クリアリング)へのアクセス決定を延期」と英国の国内市場法案への報復とも取れる姿勢を示した
一方のジョンソン英首相は英下院で「EU との(FTA)合意を望むが EU は英国に対して大きな脅威をもたらした」、
「EU の要求の中には不合理なものがある」と発言

EU離脱協定違反の法案、議会同意求めて修正も-反対派と英首相協議 ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-16/QGPWQRT0G1KW01?srnd=cojp-v2


英国と EU のFTA 交渉は泥沼化するとの見方からポンドは日中から戻りを試していたが、NY タイムに失速半面ユーロは底堅く推移した

翌火曜日
引き続きドルが売られた
翌日に予定されている FOMC で米国の低金利政策が長期に渡るというに方から米長期金利が低下しドル売りを誘った。今週この動きは一貫して行われた
NY タイムに発表された米輸入物価指数とNY 連銀製造業景気指数は共に市場予想を上回り、ドル円は一時持ち直しそうに見えたが、WTO(世界貿易機関)が「中国に対する米国の追加関税はルール違反」と示した
それに対し米通商代表部(USTR)は「WTO は中国の不正行為に対して何もしていない」と反論

WTO、米の対中関税をルール違反と判断-「勝者不在」の声も ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-15/QGPE3CDWX2PU01?srnd=cojp-v2


こちらを受け全面リスクオフに
やはり米中ネタのマーケットインパクトは健在だった。ドル円も売られ株価も売られた

またこの日は米アップルが新製品の発表を行ったが、注目の5G 搭載の iPhone がラインナップに登場しなかっ

た事を受け、同社の株が売られ、併せてハイテク株も売られたため引き続き株価は下落し、ドル円も軟調に推移


アップル、新型ウオッチなど発表 フィットネスサービス配信も ‐ロイター
https://jp.reuters.com/article/apple-event-idJPKBN266382

水曜日
この日は深夜にFOMC が控えているため、日中小動きが予想されていたが、寄り付きよりドル売りとなった欧州時間に 104 円台まで下落

FOMC の内容はほぼ市場の予想通りで政策金利は据え置きまた、ゼロ金利政策を 2023 年まで延長すると発表
GDP 見通しは 2020 年を 6 月の FOMC 時の-6.5%から-3.7%へ上方修正
2021 年と 2022 年を下方修正した

FOMC、少なくとも3年間は政策金利をゼロ付近で維持と示唆 ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-16/QGRJFDT1UM1001?srnd=cojp-v2


FOMC 声明
「委員会は、長期的には雇用とインフレ率の最大値を 2%で達成することを目指している」
「インフレ率がこの長期目標を下回り続けているため、委員会は、インフレ率が長期的に平均して 2%となり、長期的なインフレ期待が 2%にしっかりと固定されるように、しばらくの間はインフレ率が 2%よりも緩やかに上昇することを目標」
「当委員会は、これらの成果が達成されるまでは、緩和的な金融政策スタンスを維持」
「労働市場の状況が最大雇用率に関する委員会の評価と一致する水準に達し、インフレ率が2%に上昇し、しばらくの間は 2%を緩やかに超える軌道に乗るまでは、この目標範囲を維持することが適切であると予想」
「円滑な市場機能を維持し、緩和的な金融状況を促進し、それによって家計や企業への信用の流れを支えるために、今後数ヶ月間、連邦準備制度理事会は、少なくとも現在のペースで財務省証券と機関投資家向け住宅ローン担保証券の保有を増加させていく」
「金融政策の適切なスタンスを評価するにあたり、今後も、経済見通しに対する情報の流入の影響を注視」
「当委員会の目標達成を阻害するようなリスクが生じた場合には、適切に金融政策のスタンスを調整する用意」
「委員会の評価では、公衆衛生、労働市場の状況、インフレ圧力やインフレ期待、金融・国際情勢など、幅広い情報を考慮」
「カプラン総裁とカシュカリ総裁が反対票を投じた」


発表後瞬間ドルは若干売られたが、ほぼ織り込み済みの内容だっただけに大きな動き無し
その後、パウエル議長の会見で、イールドカーブコントロール(YCC)やマイナス金利について言及が無かった

事を受け、株価が失速。
利益確定売りも大きくあった様で、Nasdaq は大きく値を下げた
半面、YCC やマイナス金利に対し言及が無かったため米長期金利が上昇。ドルが買われる格好となったがドル円の値動きは限定的となった
結局ドル円は 104 円台で引けを迎えた


翌木曜日
引き続きドルは弱かった
寄り付きからドルも売られ株も売られた


日本株は反落、FOMC消化や円高進行-自動車や電子部品安い ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-16/QGRSQFT1UM0W01?srnd=cojp-v2


米安保上の懸念解消されず、オラクルの TikTok 提携案-関係者 ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-16/QGRQINT0AFB901?srnd=cojp-v2


日銀の金融政策決定会合では金融政策の現状維持を早々に発表
午後の黒田総裁の会見でもこれといった追加策も無く、黒田総裁が「菅政権との協調」や「残り 2 年の任期を最後まで全う」という姿勢を示したが相変わらず市場は無反応だった、というよりむしろ売られた

日銀、金融政策の現状維持を決定 輸出・生産回復で景気判断を前進 ‐ロイター
https://jp.reuters.com/article/boj-idJPKBN268092


その後、イングランド中央銀行(BOE)金融政策発表があったが、期待されていた追加緩和は見送り政策金利は据え置かれ、マイナス金利導入は「議論した」にとどまった

英中銀、マイナス金利導入準備を本格化へ-不透明な景気見通しに対応 ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-17/QGSVY6DWX2PZ01?srnd=cojp-v2


このマイナス金利を「議論した」声明を見て相場は瞬間反応しポンドは売られたが
直後にフォンデアライエン欧州委員長が「英国と EU の通商合意は依然として可能」と発言すると一気に買い戻された BOE 発表時の下落幅をすべて戻したが、その後同氏が「英国の国内市場法案は EU にとって非常に不愉快で驚き」と発言したためポンドは再び失速したが下げ幅を拡大とは至らなかった

その後 NY タイムに発表された米新規失業保険申請数がポジティブだったため、株価も持ち直しドル円も持ち直し、ドル円は 104 円台後半で引けた

昨日金曜日
週末という事もあり NY タイム以降は調整色の強い動きとなった日中ドル円は続落。
7 月31日の直近安値の 104.18 円に迫る勢いで下げたが、手前で持ち直した
NY タイムに発表された米消費者態度指数が予想を上回ったことを受け、ドル円は一転上昇、株価も堅調に推移していたが、トランプ大統領の TikTok などの中国系 SNS に対しての対応を巡り市場はリスクオフ的な動きとなった

米、TikTokなど 20 日から提供禁止 トランプ氏「急展開も」 ‐ロイター
https://jp.reuters.com/article/usa-tiktok-ban-idJPKBN26928R


その後は週末のポジション調整と利益確定売りが大きく入り株価は下落底抜けの様な動きの手前で持ち直したものの弱含んで引けを迎えた
欧州通貨は明暗が分かれ、ユーロはほぼ横ばい
ポンドは英国でコロナ第 2 波と報道され夜間は一貫して売られた

英、コロナ第 2 波不可避 新たな措置実施も=ジョンソン首相 ‐ロイター
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-britain-idJPKBN2691EU


ドル円は戻りを試していたが、結局 104 円ミドルで引けを迎えた

来週以降、第 3 四半期残り 10 日となる
米大統領選も本格的な報道が多くなると思われるため、材料には事欠かない引き続き為替市場から目が離せない週になると思われる

取引レポート

先週レポート通り、
EURUSD を 1.19 ドル前半、GBPUSD を 1.29 ドル後半でのショートエントリーを待った

EURUSD 一時間足

EURUSD 一時間足

1.19 ドルタッチで下落
1.19 ドルでダブルトップとなったことを見届けて、戻り売り戦略を取った火・水と戻りを売ってシッカリ利益確保
木曜日の戻りは中々強烈だったがリテールのロング減少を確認できていたため災難を逃れることができた


EURUSD リテール売買動向

EURUSD リテール売買動向

週半ばからロングが減り始めた

また、同時に Gold と株価指数を 50%のボリュームでショートするとしたが
非常に売買機会の多かった週で高いところを売れば当たるという一週間となったそしてポンド
祝!!! 1.30 ドル突破できず
先週のレポートで 1.29 ドル後半以上でショートとしたがドンピシャ、待った甲斐があった

GBPUSD 一時間足

GBPUSD 一時間足

1.30 丁度は鉄壁の守りで、1.29 後半を売っておけばいい展開となった
もっとも 1.29 も底堅いため引け着けて入れば利益になる動きだったとも言える

GBPUSD リテール売買動向

GBPUSD リテール売買動向

非常にロングが多かった

また、一点謝らなければならない事がある
先週、ドル円と日経平均は触らないと宣言したが、チーム逆張りとしては捨て置けない状況が起きてしまった


ドル円リテール売買動向

ドル円リテール売買動向

週後半に掛け、リテールのドル円ロングが急増
ある FX 業者などは 9 割がロングという非常に危うい状況も確認できた経験上、大方こういう時はロスカット狩りまで完遂しないと戻ってこない

先週レポートで触らないと宣言しただけに若干迷ったが「勝てばいいのだ」と思い直し、押っつけショートかなりのボリュームを売り浴びせた
結局こちらもバカあたり


やはり、こちらのレポートで良く触れているが皆が苦手な相場の方が私には合うらしい

来週以降 9 月の本番
よりワイルドな動きが期待できるためシッカリと分析を行いたい

来週からの戦略

問題はドルが底を打ったかという事に尽きる


CFTC 円先物投機筋 NOP(円先物のため売買反転)

CFTC 円先物投機筋 NOP(円先物のため売買反転)

シカゴ投機筋は相変わらず円買い傾向。月曜日のリテールの売買動向は非常に注目している
7 月 31 日の安値を抜けるのか否か? 売買動向で判断したい

現在、リスクオン&オフ局面でのドルの動きは不安定で読みづらいが、ファンダメンタル的には主要中央銀行の 金融政策発表を通過し、これといったサプライズも無かった。リテールポジションのドル円はロングに傾いており、こちらの一掃を待って本格始動ではないかと思われる。目先ドル円は大きな戻りは期待できないかもしれないが、先々週のレポートで触れている通り、ドルの最大のカウンター通貨はユーロだ。事実、NY 商品取引所のドルインデックス(ドル指数)の構成比率はほぼ EURUSD ではないか?という構成になっている。ドル円だけを見てもドルの価値はわからない
ドルインデックス構成比率

ドルインデックス構成比率

CFTC ユーロ先物投機筋NOP

CFTC ユーロ先物投機筋NOP

まだ多い。
職業トレーダーがこんなに偏ったポジションを持ったまま、第三四半期と米大統領選を迎えるとは思えない


CFTC ポンド先物投機筋 NOP

CFTC ポンド先物投機筋 NOP

減るには減ったが、まだ買っている
先週の下落を考えると完全に捕まっている
今週の戻りで消化できるような戻りではなかった

そして今週目を剥いたのはこちら


CFTC Nasdaq100 先物投機筋 NOP

CFTC Nasdaq100 先物投機筋 NOP

シカゴ投機筋過去最大の大幅売り越し一旦の底を打ちに行く可能性大

CFTC Crude Oil 先物投機筋 NOP

CFTC Crude Oil 先物投機筋 NOP

今週は下落に歯止めが掛ったがポジションの動きも無かった

CFTC 金先物投機筋 NOP

CFTC 金先物投機筋 NOP

若干だがロング増加傾向
今週は 1930 ドル割れを試す場面までの下落は無かった

今週本番突入
そして来週は 9 月の相場の仕上げに掛かるというシナリオを書いて挑みたい

従って来週は
大きな戦略の変更無し
付け加えるとしたら、ドル円は底を試す動きを期待


やはり、
EURUSD は 1.19 ドル以上
GBPUSD は 1.29 ドル後半
Gold と米株価指数は同時に 50%のボリュームでそれぞれショート
日経 225 は菅政権発足のため、売るなんて不義理はできないのでポートフォリオから除外また、ドル円はリテールのロングが減らなければショート

という戦略で行きたいと思います今週もありがとうございました
来週もよろしくお願いいたします

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