運用レポート2020.6.13

【週間為替市況】
今週の寄付きは穏やかに始まった。
夜間に入ると一転今週のFOMCで「イールドカーブコントロール(YCC)が議論される可能性」との報道を受け、ドル売りが入る。
更に全米経済研究所(NBER)が」2020年2月から米国の経済的な不況が始まり、過去最長だった128ヵ月に及ぶ経済拡大が終了した」と発表。
こちらを受けドル円の下落は加速した。
ドル円は値を下げ、109円ミドルから一気に108円前半まで下落。
事実上のリセッション入り断言だが、不思議な事に株価への影響は全く無し。
ナスダックに至っては史上最高値を更新するという無類の強さを見せつけた。

翌火曜日もドル売りは続いた。
前日のFOMCでのYCC導入可能性が嫌気され、金利の低下と共にドル売りとなった。
この日から株式市場にも徐々にリスクオフムードが漂い始める。
日経は日中からドル円の下落と共に弱かったが、NYダウも直近高値を更新すると、利益確定売りが相まって反落。
ただナスダックは依然として強く、ハイテク株が買われ続け、この日も史上最高値を更新した。
ドル円はほぼ一日通して売られ続け、200日移動平均線を下方向にブレイクし、結局先月の定位置だった107円ミドルまで下落。

水曜日、とうとう燻っていたモノが炸裂する。
FOMCを前にポジションの一掃が始まる。
FOMCでYCCへの警戒感からかドル売り一色。
株価も上値が重かった、FOMCでは金利は据え置き、ゼロ金利は2022年まで維持
声明の内容は以下。

「FRBはこの厳しい局面で米経済を支援するためにあらゆる手段を行使し、雇用最大化と物価安定という目標を促進することに全力で取り組む」
「新型コロナウイルスの感染拡大は、米国および世界中で多大な人的および経済的苦難をもたらたしている」
「ウイルスと公衆衛生を守るために講じられた措置は、経済活動の急速な収縮と失業の急増を引き起こしている」
「需要低迷と原油価格の大幅な下落は、消費者物価の上昇を抑えている」
「経済状況を改善するための政策措置や米国の家計や企業への信用のフローを反映して、財政状況は改善した」
「家計や企業への信用の流れを支援するため、FRBは引き続き円滑な市場機能をサポートするために今後数カ月は少なくとも現在のペースでの米国債および住宅ローン担保証券や商業用不動産担保ローン証券を購入し、それによって金融政策をより広範な金融市場に効果的に伝達することを促す」
「公開市場デスクは引き続き、大規模な翌日物およびターム物のレポ取引を提供する。委員会は引き続き市場の状況を注意深く監視し、適切に計画を調整する用意がある」
「決定は全会一致」


また発表後のパウエル議長の記者会見ではまさかと思える発言が続いた。
「イールドカーブ・コントロール(YCC)導入についてはまだ答えが出ていない」
「当面、数百万人が失業状態となる可能性」
「労働市場が5月に底を打ったかどうかは不明」
という、改善された米雇用指標を見たうえで、この発言で、マーケットは瞬時に反応。

期待されたYCCも行われず、リスクオフの波は株式市場にも一気に波及。
会見後にはドル売り、株売りという久し振りにドル相関相場となった。
ドル円は瞬間106円に突っ込んだ。

そしてこの流れは翌木曜日に拡大。
FRBが市場のマインドほど楽観していないという姿勢を見せた事で、元々高かった株に大きく利益確定売りが入る。更に金利の下落と共にドルも売られた
また、ジョンホプキンス大学によると、全米の新型コロナウイルスの感染者が200万人を突破。
全米各地で行われている警官による黒人男性の暴行死に対するデモで外出も増えており、感染第2波が現実味を帯びてきたことで3月のコロナショックを彷彿とさせる株式市場の大幅下落が起きた。
この日NYダウはなんと約1900㌦下落。

「株価は上昇するだけ」が裏目、2兆ドル吹き飛び個人投資家に痛み -Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-12/QBSBDGT0AFIN01?srnd=cojp-v2
国家予算並みの資金が数日で吹き飛んだとBloombergは報じている。

そして昨日。
この数日売られ過ぎたのか、株価もドル円も反発した。
これといった材料は無かった様なので自律反発だろう
ただ、夜間に株は再び売られ、感染第二波への警戒感は根強いのだろう。
来週は、新型コロナウイルス感染第二波の動向に加え、日銀金融政策決定会合とBOE政策金利、パウエル議長の議会証言もありファンダメンタルでの動きに翻弄される展開が予想される。


【取引レポート】
先週組んだ戦略は、FOMCでのYCC議論の可能性という強烈な一撃で捨てざるを得なくなってしまった。
週初めに持ったポジション
EURUSDロング
NYダウ&日経平均ロング
Spot Goldロング
上記全てロスカットや中途半端な利食いで撤退。

FOMCを前にして、水曜日に戦略を練り直した。
まず欧州通貨にターゲットを向けた。
YCC導入シフトでFOMC時にはリテールに売られまくっていたEURとGBPとSpot Goldを全てロング。

EURUSDリテール売買動向

EURUSDリテール売買動向

ショートが先週からかなり増加している。

GBPUSDリテール売買動向

GBPUSDリテール売買動向

こちらもかなりショートが捕まっていた。

FOMCではYCCは議論止まりというなんとも言えない結果となったが、結果それでもドルは売られ全てのポジションで利食いを敢行。


そのままドル売りで対処したが、昨日からは欧州ショートに持ち替えた。
上記のリテール売買動向をご覧いただけると解るが、昨日ショートの増加が止まりロングが増えた。
テクニカル的にも直近高値圏付近で上ヒゲを出しており、トレンド転換シグナルと解釈。

結果としてバカ当たりした。
スクエアで引けを迎えた。

来週以降、コロナ相場回帰なのかを見極めて取引を行いたい。


【来週からの戦略】
リスクオフポジションの構築という戦略で行きたい。
が、週前半は戻りを試す展開になると予測している。

CFTC円先物投機筋NOP(円先物のため売買反転)

CFTC円先物投機筋NOP(円先物のため売買反転)

円ロングが結構減った。


CFTC日経225先物投機筋NOP

CFTC日経225先物投機筋NOP

※終値は火曜日時点の終値

依然としてロングが残っている。

CFTC金先物投機筋NOP

CFTC金先物投機筋NOP

値を伸ばしてロングが減少。
この乖離は拡大するか?

株がこれだけ下がると株の損失を埋めるためにGoldの利食いも出やすく、Goldは木金と上げはしたが抜けきらなないで動き難そうだった。この様に揉むという事は大きく動く前兆かもしれない。
おそらく上方向だろう。
利益確定売りでの下落を狙ってロングを入れたい。

為替に関しては各国の金融政策で綱引きが行われる可能性が大きいと考えている。
余程大きく下げたり上げたりした際は逆張りで良いだろう。
勿論売買動向を睨みながらになる。

現在の懸念事項は、やはり「感染第2波」だろう。
先週もレポートしたが、各国ロックダウン解除を行った。
各国政府はもうこれ以上の経済の停滞を看過できなかったのだろう。
ところが、難なく第2波は起きそうである。
その場合、再度ロックダウンを行うにしても、経済対策はこれ以上のことを行えるのか甚だ疑問だ
そうなった場合、相場がどう反応するのか想像もできない。


ただ、時間の問題という側面もある。
それは、ワクチン開発だ
結局時間が解決できるだけに、数々の金融危機の様に底が見えないという話ではないという事だけは頭に入れておきたい。

繰り返すが、為替は安い所での売ったり、高い所で買う事の無い様に努めたい。

また、具体的な手法を一部明かすと、数あるテクニカルの中でも、ピポットを使ったトレードは小さくない結果を残している。
このリアクショントレードという受け身の戦略は非常に効果的だ


EURUSD一時間足

EURUSD一時間足

昨日はピポットポイントからサポートレベル2まで下落。その後に戻り
約120pipsシッカリ枠内で収まった。

GBPUSD一時間足

GBPUSD一時間足

こちらも昨日ピポットポイントからサポートレベル2まで約110pips下落。その後戻り
枠内で収まっている。

方向は売買動向で決めて、ピポットでエントリーするという戦略を引続き行いたい。
この様に引き付けてエントリーを行っていけば、やられても最低限で済む。
一日の値幅で100pips以上動きそうなシンボルをこの戦略で取っていきたい。
要は悩むのは方向だけという柔軟な姿勢で取引を行うというのが精神的にも余裕を持てる。

色々述べたが、現在先々の方向を現時点で断言する事は非常に難しい。
相場変動要因がファンダメンタルに傾き過ぎている。
ただ、何があってもGoldの値は大きく崩れそうにない。
1710㌦付近があれば買いたい。

従って来週は、
売買動向を見ながらサポート&レジスタンスを意識した逆張りトレード
そして、Goldの押目買い
という戦略で行きたいと思います。

今週もありがとうございました。
また、このところ雑務に追われ、レポートの配信が遅くなって申し訳ありません。
来週もよろしくお願いいたします。


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