運用レポート2020.9.5

週間為替市況

寄り付きよりドル反発
先週、安倍首相の辞任を受け大きく売られていたドル円に買戻しの動きとなった
「菅官房長官が自民党総裁選に出馬の意向」という報道が週末にあり、現安倍政権の政策が当面は維持されるとの期待からドル円も買われ、日経平均も買われた。

菅官房長官、安倍首相の後継選ぶ自民総裁選に出馬へ-共同 ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-08-30/QFUVDOT1UM0W01


その後も、「第二派閥の麻生派が菅官房長官の指示を決定、河野太郎防衛相の出馬見送り」と菅官房長官優勢と安倍政権政策継続との見方が強まりドル円は底堅く推移した。
先週末は 105.20 円台まで下落したドル円だが、この日は一時 106 円台まで上昇
この日は月末だったという事もあり、ロンドンフィックスではかなりのドル売りが確認されたが、ドル円への影響は限定的。ユーロやポンドは大きく買われた
また、日中株は強かったが欧州タイムに失速。
NY タイムに入っても利益確定売りが相次ぎ大きく値を下げて引けた


翌火曜日の 9 月初日、アジア時間はドル売り優勢となったが、欧州タイムでは 105 円台ミドルで揉み合いとなったその後、徐々にドル円には買いが入って上昇
合わせてユーロやポンドの欧州通貨にも買いが入った。
NY タイムの入口でEURUSD が 2018 年 4 月以来、約 2 年 4 か月振りに 1.20 ドル台を付けたが、その直後に ECB のレーン専務理事の「EURUSD の水準は問題」と発言の一刺しで、再び 1.19 ドル台に下落。

NY市場サマリー(1 日)ユーロが一時 1.20 ドル突破、S&P最高値更新 ‐ロイター
https://jp.reuters.com/article/ny-markets-summary-idJPKBN25S6A5


その後、NY タイムに発表された ISM 製造業景況指数が予想 54.6 のところ 56.0 と予想を上回り、リスクオンの展開にこの日目立ったのは株とドルストレートペアの正相関の動きで株価が非常に力強く推移するのと同時にドルストレートもドル買いに大きく流れを変えた
また、ブレイナードFRB 理事が「FRB の金融政策が安定から緩和にシフトすることが重要」と発言

ブレイナードFRB理事、米経済にはまだ財政・金融政策から支援必要 ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-01/QFZOM2T1UM0X01

こちらも緩和路線継続強調と受け取られ株価を押し上げた
この所の緩和報道は株価上昇米長期金利低下によるドル売りが散見されていたが、この日は全く逆の動きとなり、ドルが売られるということは無かった

水曜日。
この日は完全なるドル買い相場と化す
前日の ISM 製造業指数が非常に強かったことを市場は好感。
株価は底堅く推移し、一日通して棒上げとなった、それに伴いドルも非常に底堅く推移した
ドル円の上昇こそ、そこそこだったが、EURUSD や GBPUSD の下落は顕著で、NY タイムに発表されたプレ雇用統計の ADP 米全国雇用者数が予想 95 万人増のところ 42.8 万人増と予想の半分にも届かなかったにも関わらずドルが下げたのは一時的となり引けに掛けてもドルは底堅く推移した
EURUSD は昨日 1.20 台を付けたが 1.18 ドル前半まで下落
Gold もスポットで 1930 ドル台まで下落した
先月ぐらいから指摘されていたが、全米先物委員会(CFTC)が発表しているユーロ先物の買い持ち残ポジションは史上最高値となっており、大幅調整の過らせる動きに見える結果となった
また、代替資産として注目されているビットコインも下落。やはり調整局面を裏付ける動きを象徴しているといえる

ビットコイン、一時 6.9%急落-1万 2000 ドル台維持できず ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-02/QG1FH3DWRGG301?srnd=cojp-v2

翌木曜日
この日も寄り付きからドルが強かった
米長期金利の上昇を背景にドル買いが進み、NY タイムに発表された米新規失業保険申請数が予想95万件のところ、結果88万件に留まり、一層ドル買いが入り、ドル円は106.50円台まで上昇
その後発表された ISM 非製造業景況指数が予想 57.0 のところ結果 56.9 と僅かながら予想に届かなかったが、そこから株価が急落。
ISM を見届けての利益確定売りと思われるが、中々強烈な調整となった。
NY ダウはたった数時間で 1000 ドル以上も下落。

米株式市場の謎解明か、VIXが警告していたのは3日のような急落 ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-03/QG3HV9DWX2PT01?srnd=cojp-v2


それに伴い、ドルもユーロも Gold も売られた。
コロナショックを彷彿とさせる相場となったが、この株価急落はネガティブな要因ではないため今後の相場への影響は限定的と思われる。

そして週末の金曜日
この日は雇用統計ナイト
いつも通り日中は雇用統計待ちの動きとなった。


雇用統計の内容は以下 ()内は予想
非農業部門雇用者数 +137.1 万人(140 万人) 失業率 8.4%(9.8%)
平均時給前月比 +0.4%(±0.0%) 平均時給前年比 +4.7%(+4.5%)

米雇用者、8月は 137 万人増-失業率は 8.4%と予想以上に低下 ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-04/QG4W9ET0AFBF01?srnd=cojp-v2


この雇用統計を受けドル・株共に買いが入ったドル円は 106 円ミドルまで上昇
ところが、その後一転してドルも株も売られた
クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が新型コロナウイルスの追加経済対策法案について「成立しなくても構わない」と発言。強い雇用統計で戻りを試していた株価が再び失速。
米が三連休前という事もあり、持ち高調整の売りにも押され結局ドル円は雇用統計での上昇分をほぼ戻して106 円台前半で引けを迎えた。
米株価指数は弱かったが、日経平均は日銀が景気判断の上方修正を検討している情報があり下げ幅は限定的となった


日銀が景気判断の上方修正を検討、持ち直しの動き反映-関係者 ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-04/QG2RSMT0AFB601


来週以降、ECB、日銀、FOMC と重要なイベントが続く
特にECB でユーロ高に対してどの程度触れられるか非常に注目している

取引レポート
祝!!EURUSD1.20 タッチ後急落

EURUSD 一時間足

EURUSD 一時間足

火曜日の NY タイム入り直前に 1.20 ドル台到達後急落した

先週レポートでは原則様子見で、もし EURUSD が 1.20 を超える場合はショートとしたが、こんなに早くこのタイミングが来るとは思わなかった。
若干迷ったが宣言通りショートをブチかました
また、Gold との正相関という事も分析済みだったため、同時に Gold もショート

Spot Gold 一時間足

Spot Gold 一時間足

Gold もほぼEURUSD と同じ動きとなった
非常にエキサイティングな相場で、その後も戻り売りを繰り返しシッカリ利益確保。


金曜日雇用統計ナイトまでドルロング方面で出し入れを繰り返したが、雇用統計後の週末持ち高調整の動きで雇用統計トレードはトントンとなった

今週後半は注目の ECB があるシッカリ分析して挑みたい

今週の戦略

これは大相場が来たかもしれない
コロナコロナとボーっとしていたらもう 9 月
米大統領選までたった 2 か月だ大きく動く可能性大

CFTC EUR 先物投機筋 NOP

CFTC EUR 先物投機筋 NOP

若干のロング取り崩しとなった、おそらく 1.20 にそれなりの利益確定オーダーがあったものと思われる

ドル安巡り小競り合い展開か、臆測台頭-主要中銀当局者が懸念表明で ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-04/QG3O6DT1UM1301?srnd=cojp-v2


このところ、各国中央銀行はスイス中銀を除けば、殆ど為替について触れてこなかったいよいよ為替にスポットがあたる時が来たかもしれない
しかも大本命のEURUSD の水準について何らかのテコ入れが入る可能性が大きくなっている
今週 10 日(木)に ECB の政策金利・声明発表がある最近のユーロ高に対して何らかのコメントがあるのは間違えないだろう

もし介入も辞さない的なコメントがあった場合は大きく崩れる可能性大。


EURUSD リテール売買動向

EURUSD リテール売買動向

ロング増加傾向


シカゴの機関投資家は買いを取り崩し、一般投資家は売りを諦め始めたこれは非常に期待できる

EURUSD 日足

EURUSD 日足

5 月から発生したユーロ買いトレンド
このトレンドラインをブレイクするには ECB のようなイベントだろう

EURUSD 週足

画像6

週足も上ヒゲ陰線となっており
やはり、トレンド転換を示唆している
何より週足の場合、200 週移動平均線との乖離が甚だしく調整が必要なことは否定しようがない

EURUSD とSpot Gold の価格推移(日足)

EURUSD とSpot Gold の価格推移(日足)

先週もレポートしたが EUR とGold の相関性は非常に高い
我々日本人はドルのレートを考える際、どうしてもドル円で考えてしまうが、ドルの最大のカウンター通貨はユーロだという事実を忘れてはならない

Gold もポジション調整の動きが顕著になっている

CFTC 金先物投機筋 NOP

CFTC 金先物投機筋 NOP

やはり、一旦の調整局面を迎えている様に見える念のため触れておきたい。
この先 Gold が下がり続けるとかEUR はずっと安いという話ではない
ポジションの動向から分析するにもう新しい買い手が出てこない状況に見える
買うべき人は既に買っていて新しい買い手が参入する余地があるのか?ということだ


BTCUSD スワップ推移(Bitmex)

BTCUSD スワップ推移(Bitmex)

仮想通貨もやはりドル買い方向に舵を切っている

ドル円リテール売買動向

ドル円リテール売買動向

CFTC 円先物投機筋 NOP(円先物のため売買反転)

CFTC 円先物投機筋 NOP(円先物のため売買反転)

リテールもシカゴ投機筋も円買い傾向こちらはシッカリハマっている

CFTC US Crude Oil 先物投機筋 NOP

CFTC US Crude Oil 先物投機筋 NOP

順調に取り崩しが進んでいる


US Crude CFD 日足

US Crude CFD 日足

200 日移動平均線を割って引けた
こう見ると下げ余地が有り過ぎて怖いチャートになっている


以上の分析から、
別にクラッシュ相場ではないがやはりこの資産バブルに一旦の調整が入ると思われる

では、いつEURUSD を売るのか? これは悩む
先週のレポートでは、1 週 2 週は様子見とした
本当は週明けからすぐに売りたいが、こちらの鼻息が荒い時、相場はだいたい肩透かしを食らわせるやはりこれはいつも通り、引き付けて入るのがいいだろう
安値は売らないというルールを徹底したい
おそらくだが ECB を目前に控え、当日まで揉む相場が予想されるそれまで 1.19 台回帰はあり得るという事は忘れないで挑みたい勝負は ECB 前後
ECB 前にEURUSD が上昇しているような事があれば絶好の売り場だろう

CFTC GBP 投機筋 NOP

CFTC GBP 投機筋 NOP

投機筋はロング維持
英国の緩和余地はまだまだある。
来るべきブレクジットに向け温存したい向きもあるだろうが、どうもやってしまいそうな感じである↓

英中銀ソーンダース氏、追加緩和が適切になる公算大 ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-04/QG4OJJDWRGG301?srnd=cojp-v2

GBPUSD リテール売買動向

GBPUSD リテール売買動向

以上のことから
今週からドル買い方向でスタンバイ但し、ドル円は無視
やはりドル円はパフォーマンスが悪い
自民党総裁選も期待できるが、ドル円が 10 円動いてくれるようなことはなかなか想像できない希望としては ECB 前にEURUSD が戻りを試す様な動きを期待している。
上げ始めたら逆張りでショートを仕込んでいきたいできれば 5 日移動平均線より上で売りたい

日柄的にECB→FOMC→日銀→BOE
どの中銀も引き締め云々という事は考え難い


やはり EUR が大きく下げるなら ECB からFOMC の間になるのではないか?と思っている因みに今回の FOMC は大統領選前最後の FOMC となる

今週来週の EURUSD の希望下値は 1.15 ドル
1.19 ドル台まで戻りがあれば約 400pips となる当然その際は Gold も GBPUSD も同時に売る。但しボリュームは EURUSD の 50%としたい

という戦略で行きたいと思います。先週もありがとうございました。
今週もよろしくお願いいたします。


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