anarchism - Street Of London - 《小説》
「anarchism」 -Street Of London -
1日早い誕生日プレゼントの
サービスチケット
その中から10枚を抜き出し
残りのチケットを
学生服の上着のポケットにしまった
何か1枚LP借りて来るね
そう玲子さんに告げた
軽く手を上げて
玲子さんは僕に微笑んだ
店内のレンタルレコードスペースを歩いていた
何を借りようかな
あれこれと物色していた
僕は1枚のLPを手に取った
Anti-Nowhere Leage
ユーゴスラビアでのライブ盤だった
ユーゴスラビアって共産圏だよな
よくそんな場所でライブ
出来たよな
そんな事をぼんやり思い
無精髭にサングラス
身体に巻き付けた太い鎖と
手に持った大きな斧
そして誇らしげに突き立てた中指
そんな姿のアニマルを
想像して少し笑った
僕の感覚からしても決して
スマートな
PUNKでは無かったからだ
攻撃的で野蛮なイメージだった
僕はStreet Of London を
口ずさみながら
玲子さんの居るレジへと向かった
玲子さんは精算を済ませた後
僕に話しかけて来た
とても穏やかに
何処か企みに満ちた唇が
魅力的で見惚れていた
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