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ぐうたら哲学

 勤勉が美徳という文化は誰が何の為に作ったのでしょうか。清貧にも言えることですが、その価値観はほんとうに価値のあるものなのか、今一度考えてみようと思います。

 例えば高度経済成長期の日本人は勤勉であったと推測します。しかしながら、それは物質的な豊かさを求め満たされていく過程で生じた仮初の幸福に過ぎず、数字に見える豊かさの象徴とは裏腹に、心に病を抱える人の数は現代に至るまで増加の一途を辿っています。

 例えば諸外国からの留学生をみていると、日本の平均的な医学生とは比較にならないほどの向上心と勤勉さを有していることがよく分かります。それは自ずから発せられる意欲的な姿勢であって、決して美徳になるから勤勉であろうとしているのではありません。これは重要なことです。

 生命維持と子孫繁栄を目的と考えたとき、文明社会の発展は必ずしも重要なテーマではありません。安全や栄養の確保、集団生活を維持するための教育、また医療については必要ですが、貨幣獲得を目的とした労働に対して勤勉になることは、管理者ないし資本家にとって重要なのであって、労働者たる個人の価値とは別次元です。

 現代日本では労働に対して勤勉であるほど、幸福度が下がることが示唆されています。勤勉な労働は昇進や起業に繋がるものの、期待される収入増加では到底補い切れない程の過労と健康被害が待ち受けているのです。同時に深刻なのは貧困問題で、日本社会の格差は広がり続けています。経済的低迷の中でワーキング・プア問題も未解決なまま、最低限の生活保障制度が「憧れ」の対象になり得るという異常事態の中に、私たちは生きています。

 経済的成長を続けている米国でさえ、収入と生きがいの両方を仕事に求めて我武者羅に働く仕事主義者ワーキストたちは、大きな問題に直面しています。

  何のために生きるのか。
  そもそも幸せとは何か。

 万人に共通する回答のある問いではありませんが、皆それぞれが自分の個人的な理念を持っていて然るべき問い掛けです。

 仕事は私の生活の一部ですが、私は仕事のために生きることはないし、仕事と幸せは同義ではありません。そう決めて迷いが晴れました。

 「仕事」か「それ以外」かの選択を迫られる場面では、今の私は100%「それ以外」を選びます。

 医師も占い師も半分は趣味のような仕事ですから、自分の気が向いたことは積極的に取り組みます。真面目にしていると仕事が次々と増えていく世界ですから、私は来年度ものらりくらりと回避しながら働きます。


 日々に忙殺されていたら哲学も何もありません。

 古代ギリシャの賢人たちに倣って、ぐうたら哲学を始めましょう。



 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方の人生が貴方の為のものでありますように。



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#遊びは真剣にやる
#仕事じゃねぇんだぞ真面目にやれ #という名言

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