ブルーベリーの嘘
ブルーベリーは目に良い。
まことしやかに囁かれる話ですが、科学的根拠は如何ほどでしょうか。
結論から述べますと、ほとんど嘘です。
ブルーベリー(ビルベリー)が視力回復や眼に良い働きをするという科学的根拠はありません。
Pubmedを用いて検索すると、20世紀以降の複数の研究論文がヒットしますが、いずれもブルーベリーの有効性を示すことはできていません。
ほとんど、と付けたのはブルーベリーに含まれる成分の中には血流改善や間接的に夜盲症を予防する効果は知られているためです。しかしながら、ブルーベリーに特有の、あるいは特別な作用はありません。
噂の発信源は何処にあるのでしょう。
適当に検索しても信頼できる情報がヒットせず「ソースは?」と問いたくなるものばかりだったので、ちょっと本気出して調べてみました。
話は第二次世界大戦中のイギリスまで遡ります。当時、イギリスは夜間航空戦において敵国のドイツの戦闘機を多数撃墜していました。実はレーダーの性能向上による戦果でしたが、これを悟られたくないイギリスは考えます。
「夜目の利くパイロットが活躍している。」
情報戦を重視したイギリスは、敵国を騙すためにそういう噂を流しました。敵を欺くにはまず味方から。そう、自国内のメディアを利用して、夜目の利く凄腕パイロットを仕立て上げたのです。
彼の名はジョン・カミンガム。
オーストラリア国立図書館のデータベース「Trovo」にて1952年3月14日の新聞記事で彼の名前を確認することが出来ます。
この戦略の指揮を執っていたのはイギリスの諜報機関Ops Bのジャービス・リード大佐であったという情報を見つけました(リンク先の書籍内に記述があります)。
ジョン・カミンガムは、ニンジンをたくさん食べているために夜目の利く撃墜王であると喧伝されました。
ニンジン??
そう、ニンジンです。
なんと噂の発信源はブルーベリーですらなくて、ニンジンでした。この噂に尾ひれが付いてニンジンが消えて、いつの間にか「ブルーベリージャムをたくさん食べていたパイロットは夜目が利いて敵国の戦闘機を多数撃墜していた」と囁かれるようになったようです。
ブルーベリー愛好家、あるいは商業的才能の持ち主が関わっていることは疑いようもありません。
ブルブルブルブル愛愛してる方々には恐縮ですが、目には効きません。代わりに散歩したりバランスの良い食生活を心掛けたりした方がよほど健康的かと存じます。
でも、ブルーベリー美味しいですよね。
私は今日も食パンにブルーベリージャムを塗っていただきます。コーヒーに合うのです。
拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、情報を超越した貴方の感性が、美味しいものを見つけられますように。
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