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観念と言葉遊び

 言葉遊びが過ぎる、とは時折「中医学」に向けられる批判です。そも中国の古医学から発展し陰陽五行思想を基盤に理論武装しながら現代に至った中医学は、成り立ちからして観念的なものを形而下に落とし込もうもする試みであったのかもしれません。

 中国の古医学から半島を経て日本に輸入され、独自の色を纏いながら発展してきた「漢方医学」は、中医学とは似て非なる医学です。

 漢方医学は中医学に比べると難解な用語が少なく、理論的に説明し切らない曖昧さを残しながら、何よりも実践的治療を重視します。理論よりも「効くか、効かないか」が肝心です。

 『黄帝内経こうていだいけい』を読みますと、これは最古の医学書とも呼ばれる名著ですが、医学以外の要素も大いに含まれていて、また現代の眼から見ると明らかな誤りと考えうる部分も散見されるものであります。

 比して『傷寒論』と『金匱要略』は基礎理論こそ共通する部分はあるものの、極めて実践的な医学書であることが分かります。

 よく分からないものを、よく分からないままに、しかし極めて有効かつ安全に使うことができるのは人間の智慧の特徴のひとつと考えます。

 理論が分からなくても有効性と安全性が示されれば実践に用いるのは、西洋医学も東洋医学も同じです。ただアプローチの手法が異なります。前者は演繹的に、後者は帰納的に問題に取り組むことが得意なのかもしれません。

 西洋医学のほうが客観的に分かりやすく、いわゆる科学的な学問に見えます。これを「陽」と仮定するならば、東洋医学は主観的で難解な「陰」の医学といえるでしょう。

 東洋医学の中でも中医学は西洋医学に近づく発展をしていますから、これを「陽」として、すると漢方医学は「陰」に属するであろうと私は思います。

 西洋医学の中にも陰陽はありまして、外科は陽、内科は陰な感じがします。内科の中でも循環器内科や消化器内科は陽で、血液内科や呼吸器内科は陰寄りだなぁと感じます。

 これは性格のことではありませんが、性格も同じような傾向が見られるのは興味深いことです。

 外科の花形たる心臓血管外科や脳神経外科は、アメフト部のエースのようなものです。ジョックです。ただし色恋沙汰の激しさは整形外科に軍配が上がりますし、オペ単価の関係で地域によっては整形外科が覇権を獲ることも珍しくありません。クイーン・ビーといったところでしょう。

 内科医の中でも私の専門は呼吸器内科と漢方内科ですから、陰の中の陰、もはやなばりの王です。当然ナードに属するわけですが、ナードにも色々あります。ギーク(メカオタク)、ゴス(ゴシック系)、ブレイン(ガリ勉)、サブカルチャー(サブカル系)あたりが有名どころでしょうか。
 呼吸器内科はブレインっぽいですね。カンファとか本当面倒臭いことこの上ないです。漢方医はサブカルです。ええ、間違いなくサブカルです。


 さて、話がとっ散らかって参りましたので、このあたりで締めようと思います。

 気になる診療科をコメントいただけましたら、その診療科がどんな感じなのか、私の独断でスクールカースト的に「診断」いたします。

 特定の個人を糾弾したり、誹謗中傷するような意図はございませんので、エンターテイメントとしてお楽しみくださいませ。



 拙文に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。願わくは、寒空の下にささやかな笑いが溢れますように。



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#ほんとはね #どの診療科も大切なんだよ
#でも実際にあるのがカーストのこわいところ
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