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別府・「花ざかりの森」読了

随分長いことかかり読んだ「花ざかりの森」。いったり、きたり、何度も読み返し、旅行先の大分・別府で読了した。若干16歳の青年が書いたとは思えない。脈々と培われた、三島由紀夫氏をこの世に送り出した数えきれない祖先の血のパワーを感じた。

三島氏ご本人は、巻末解説で「若年寄りのような気取りばかりが目について仕方がない。」と評されいるか、そうだろうか。華族的な世界観、老いや病のにおい、海や南国や死への憧れ、三島由紀夫らしいエッセンスが全て詰まっている。

花ざかりの森・憂国 (新潮文庫)

五部構成(序の巻、その一、その二、その三(上)(下))になっている花ざかりの森。 

序の巻の、最後の一文、『ひときわきわやかに耀く刹那ー(中略)消極がきわまった水に似た緊張のうつくしい一瞬であり久遠の時間である。』

その三の(下)最後の一文、『生(いのち)がきわまって独楽の澄むような静謐、いわば死に似た静謐ととなりあわせに。』

三島氏らしい死に際の美学を感じた。

序の巻で、こんなくだりがある。『わたしたちには実におおぜいの祖先がいる。かれらはちょうど美しい憬れのようにわたしたちのなかに住まうこともあれば、歯がゆく、きびしい距離のむこうに立っていることもすくなくない。祖先はしばしば、ふしぎな方法でわれわれと邂逅する。ひとはそれを疑うかもしれない。だがそれは事実なのだ。』

今、大分・別府のインターコンチネンタルホテルに来ている。昨年3月に私の病の治療計画が決まると、夫が雲南省・丽江のインターコンチネンタル滞在中に計画してくれた。かく言う私は、4月の手術や12月の放射線治療による傷跡や皮膚炎等、身体の状態を悲観していたが、はっきり言ってしまうと、心配ご無用だった。丈夫な皮膚を授けてくれた父母と祖先、完璧な治療計画と旅行計画を立ててくれた主治医と夫に感謝したい。

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別府の温泉の泉質は素晴らしく、海から朝日がのぼる景色、湯煙があちらこちら立ち昇る温泉街が眼下に見下ろすインターコンチネンタルの露天風呂をしっかりと堪能した。

美しい朝日

大分空港からタクシーで約40分、12000円(高速代含)
ホテル無料シャトルバスは別府駅まで。
https://anaicbeppu.com/access/

辰年の旧正月を豊かな大地と海に囲まれて、また三島文学に魂を浸す三日間を過ごした。また、娘とは星空のもと露天風呂で、夫とは夜景の美しいホテルのバーで、忘れがたい時間を過ごせたことを忘れてしまわないように感謝を込めて記しておく。

4階のバー、ヴーヴグリコ祭り
McIntosh スピーカー、癒しの音

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