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「偽痛風のレントゲン所見」#書く習慣150

日々の診療お疲れ様です。TROT(トロット)です。

先日高齢女性が来院されました。

転倒や外傷の既往はありませんが、手関節が腫れていてXP、エコーで確認してみると骨折の所見を認めませんでした。
しかし、ドクターはレントゲンを見るや否や「偽痛風だね」とひとこと。

ドクターと仕事をする上でこういった所見を見逃さないように本日はレントゲンから見る偽痛風の所見についてまとめていきたいと思います


偽痛風とは

偽痛風とはピロリン酸カルシウムが軟骨などに沈着することで生じる関節炎のこと。
痛風のような強い痛みを訴えるが、高尿酸結晶が見られないのが特徴。
痛風の場合は成人男性に多いが、偽痛風の場合は高齢の女性に発生することが多い。

・偽痛風(ぎつうふう、Pseudogout)とはピロリン酸カルシウム二水和物(CPPD)の関節軟骨や周囲組織への沈着を原因とした、関節炎を来す疾患の総称です。痛風と同じような関節炎の症状を起こしますが、高尿酸血症が見られないことから名付けられました。(*1)

・関節にピロリン酸カルシウムという石灰分の結晶が貯まり、これにより強い関節炎が誘発され、「痛風のような」強い関節炎がおきる病気です。痛風は尿酸結晶によるものですので、名前は良く似ていますが、まったく別の原因です。(*2)

・高齢者では良くみられますが、若い人には極めて稀です。(*2)

・男女比は同等かやや女性に多く、平均年齢は70歳程度と高齢者に多い(*3)


偽痛風の症状

症状としては大きな関節に激烈な痛みを生じることが多いです。
発赤、腫脹だけでなく、発熱を伴うこともあります。
また、好発部位としては膝関節が多く、続いて、肩(石灰性腱炎)や手関節に生じることが多いようです。

・症状としては高齢者の大関節に激烈な痛みがおこり、患部の炎症に伴う発熱、同部位の関節腫脹・発赤・運動時痛を認めます。好発部位は膝関節で、偽痛風の半数以上が膝関節です。それ以外には肩関節(石灰沈着性腱板炎)・足関節・手関節が好発部位です。(*1)

・膝関節や手関節に多く、急に関節が腫れて強い痛みがでます。関節液がたまり、38度を越える高熱が出ることもしばしばあります。(*2)


偽痛風の診断

診断方法としては大きく2つあります。
1つは、レントゲンで軟骨部に石灰化像を認めるものです。
ちなみに膝関節以外は石灰化陰影を見つけること難しいようです。

2つ目は、関節穿刺をした際にその関節英内にCPPD結晶を認めるものになります。

・高齢の関節炎患者(特に炎症性関節炎)ではCPPD結晶沈着症を疑うべきです。まずはX線検査で軟骨にピロリン酸カルシウムが沈着することで、石灰化像が線状に認められ、特に膝関節の典型例では、半月板に石灰化を認めます。さらに関節穿刺液検査で関節液内にCPPDの結晶が認められれば、診断は確定できます。(*1)

・偽痛風の診断基準では,X線検査による軟骨か半月板の石灰化陰影は必ずしも必須ではない。石灰化陰影がX線検査で見えない場合でも,急性の関節炎で関節液中にCPP結晶が検出されれば,偽痛風と診断できる。特に膝関節以外では石灰化陰影は見えにくい。(*4)


偽痛風の分類

・X線検査で石灰化陰影が見られても,必ずしも偽痛風とは言えない。欧州リウマチ学会(European Alliance of Associations for Rheumatology:EULAR)は従来の偽痛風を含めて, CPPDという概念を提案し,4つに分類している。

①無症候性CPPD:X線検査でたまたま軟骨内石灰化症が見つかったもの

②CPPDを伴うOA:画像や組織検査でOAにたまたまCPP結晶が見つかったもの

③急性CPP結晶性関節炎:従来の偽痛風

④慢性CPP結晶性関節炎:CPPDを伴う慢性の関節炎

臨床上でいわゆる偽痛風あるいは偽痛風性関節炎というのは,この分類の中で③にしかすぎない。(*4)


偽痛風の治療

治療法としては、特異的な治療法はありません。
ただし、急性の関節炎発作は3日程度で改善することが多いため、その期間のNSAIDSの服用や患部の安静を促すために固定を行うことが多いようです。
痛風とは異なり代謝疾患ではないため、食事療法を行う必要はありません。

・特異的な治療法はありません。ただし、急性の関節炎発作は時間の経過(1~3日)で軽快します。その急性の痛みを軽減するための対症療法として非ステロイド系抗炎症薬(NSAID) の処方、患部冷却(アイスノンをタオルに巻いてあてる)、医療処置としては関節液の排出とコルチコステロイドの関節内注入が有効です。(*1)

・急性の関節炎発作時には患部安静が原則です。ただし 関節炎発作がおさまったら、過度な安静は必要ないので通常の生活に戻るように指導が必要です。また、痛風と異なり代謝性疾患でないので食事療法の必要はありません。(*1)


参考文献

*1)日本リウマチ学会


*2)高齢者の整形外科疾患「偽痛風」


*3)痛風、偽痛風の治療/谷口敦夫


*4)偽痛風とはどんな病気?