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着替え時間は労働時間!?

イケア・ジャパンが着替え時間に賃金支払い

皆さんこの記事を読みましたか?

大手企業であるイケア・ジャパンが、これまで着替え時間に対する賃金を支払っておらず、今後は支払うという主旨の記事です。

大スクープをとらえたみたいな書かれ方ですが、
「え、うちの職場もなんだけど......」
「着替え時間給料支払われないなんて当たり前でしょ」
と思った方が多いのではないでしょうか?

着替え時間は労働時間

記事にはこのように書かれています。

「着替え時間が労働時間に当たるかどうか労働基準法に明文規定はないものの、最高裁は作業服の着替え時間が労働時間に当たるかが争われた訴訟の上告審判決(00年3月)で、労働時間を『労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間』と定義し、使用者から義務付けられた作業服の着脱は労働時間に当たる――との判断を示した。厚生労働省も17年に同様の指針を示している。」

労働基準法に明記がないからといって、着替え時間に賃金を支払わなくて良いわけではありません。なぜなら「支払うべき」との明記がないのと同様、「支払わなくて良い」との明記もなく、さらには着替え時間が労働時間に当たるという判例や、厚生労働省の指針もあるのです。

「でも着替えは労働じゃないでしょ」
と思う方もいるかもしれません。
そんな方には驚きの新事実かもしれませんが、労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」を指します。(三菱重工長崎造船所事件最高裁判決)
いわゆる「業務」をしていなくても、業務上必要な行為をする時間は労働時間と見なすことができます。
例えば、出勤してすぐに行う手洗いや、休憩中の電話番などの手待ち時間(指揮命令下に置かれ、拘束されているため休憩ではない)、仮眠時間(どこで仮眠をとるのか決められており、場所的拘束がある。また業務を行う必要性がある場合は完全に自由ではない)、業務上必要な学習や準備(自己研鑽という名で自主的なものとして軽視され賃金が支払われない場合が多い)、朝礼や朝のラジオ体操などは、全て労働時間として認められる場合があります。
制服や作業着に着替える時間は、働くための衣服を、働くために着る時間であり、着替えなければ働けないのであれば、それは業務上必要な行為であり、その時間は使用者によって身体的・心理的に拘束されていないのか、労働から完全に解放されている状態と呼べるのかと言われるとそうではなく、やはり指揮命令下にあると考えられます。

実際に支払う会社は増えている

実際、学生ユニオンでも、着替え時間に賃金を支払うよう求め、運用が変更された事例がいくつもあり、また着替え時間だけでなく、塾講師をしていた大学生アルバイトが授業準備時間に対する賃金を求め、過去に遡って支払わせた事例も多くあります。つまり、着替え時間を労働時間と捉え、賃金を支払うよう労働者が求めることで、今後社会的な着替え時間に対する見方も変わる可能性があるのです。
「会社がこう言っているから...」と諦めず、「着替え時間は労働時間だ」と、どんどん主張していく必要があります。

労働組合の出番

もちろん使用者と労働者というのは立場上の力関係があるため、1人で上司に対して意見できない人が多いでしょう。
そこで労働組合の出番です!!!
労働組合に入れば、着替え時間に賃金を支払うよう会社に要求し、組合のスタッフや他の組合員と一緒に交渉することができます。
着替え時間だけでなく、職場やアルバイト先で不満がある方、労働問題の是正や労働運動に関心がある方は、ぜひ首都圏学生ユニオンに加入して、共に立ち上がりましょう!!!


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