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10代が社会を照らす ~Teena Light~

こんにちは。日本青年館note学生記者の宮下夏芽(みやした・なつめ)と申します。初めに自己紹介を簡単にさせていただきます。出身は神奈川県鎌倉市で、鎌倉市と川崎市を中心に地域活動に参加しています。活動の中で地域密着型のイベントを行った際に日本青年館と出会いました。現在はCRENECTIONという学生団体の運営を行っております。
今回、高校生ボランティア団体Teena Lightの山辺雄翔さんのお話を伺いました。Teena Lightの魅力を精一杯お伝えします。

10代だからこそできる

なつめ 活動の内容を伺う前に、まず団体名である「Teenalight」の由来や理由をお聞かせください。
やまべ 「Teenalight」は10代を意味する「Teenage」と光を意味する「light」を掛け合わせた造語です。富山県はやや保守的な土地柄があり、若い人の活動をいぶかしげに見られることも少なくありません。そんな地域だからこそ、10代だから、高校生だからできることを証明したいと思い名付けました。
なつめ 「名は体を表す」の言葉の通り、団体名には思いが込められているものです。命名までかなり考えたことでしょう。
やまべ そうですね。決まるまでは時間がかかり、それこそ名前のことばかり考えていました。でも、考えに考えてやっと出てきたとき、メンバーみんなの気持ちがそろった気がしました。
なつめ なるほど。10代が照らす光をイメージさせられますね。私もTeena Lightさんのように学生団体の運営をしていまが、意見のすれ違いやメンバーそれぞれの温度差など多くの壁があります。そんな壁を乗り越えた山辺さんが団体名を語る姿から、私はメンバー全員の団体に対する熱い想いを感じます。ところで、山辺さんはどんなきっかけでTeenalightの活動を始めたのですか。

コロナが変えた生きる道

やまべ 自分はいま、富山市内の国際系の学校に通っています。当初の予定では、2020年に留学に行く予定でして、1年生のときから猛勉強して英検の準一級レベルの留学試験にも合格するなど、意欲をみなぎらせていたところに襲ってきたのがコロナでした。留学は中止。学校も休校になってしまい、自分にとって大きな目標を失ってしまいました。生きる方向性を見失ってしまい悶々としていたある日、コロナ禍でマスクをつくって寄付している高校生のことをテレビで報道していました。はっとしました。コロナで何もできていない自分に気づいたのです。2020年の8月のことでした。
なつめ それでTeenalightを設立されたのですね。
やまべ 団体立ち上げの前段階があります。9月から学校のボランティア部でプロジェクトを立ち上げ、呼び掛けたところ40名くらい集まりました。教育や貧困、環境問題などそれぞれの問題関心に沿って調査したり学習したりといった活動を始めました。しかし、学校の部活動という枠で行うことに限界も感じていました。
なつめ それはどういうことでしょうか。
やまべ 学校外で活動することに対して、学校の責任という視点から規制が入り始めたのです。そこで、部活のメンバーの一部と学校を飛び出し、他校の生徒とも一緒に新しい団体を立ち上げました。それが「Teenalight」です。2021年の2月のことでした。
なつめ 部活動をベースにして、新たな団体を学校外に立ち上げた決断力と行動力に驚きます。新たな団体ではどんな活動に取り組んだのでしょうか。
やまべ 海外への物資支援や衣類の支援などメンバーの関心に沿って様々な取り組みが行われていますが、中でも自分が力を入れていたのは、小学校への出前授業やシンポジウムです。特に「学生と社会をつなぐシンポジウム」と銘打って実施した事業は本当に一番思いを込めました。

高校生と大人がともに学ぶ

なつめ どのようなシンポジウムだったのでしょうか。
やまべ テーマを「国際協力」、「地方創生」、「教育」に分け、3回にわたって開催しました。オンラインでの講演とグループディスカッションで構成しましたが、講演には上野千鶴子さんのような著名な方をお招きすることもでき、富山県の地域課題や実践事例を共有できました。いずれも50人以上の応募があり、とても盛況でしたが、最大の成果はもっと別のところにあります。
なつめ 何でしょうか。
やまべ それは、多くの高校生が様々な社会的課題に対して自分ができることに気づいた、ということです。
なつめ 確かにそうですね。
やまべ 一方、これら一連の取り組みを通じて課題も明らかになりました。それは、関心のある高校生しかアクセスしてこない、ということです。
なつめ いわゆる「意識高い系」ですか。
やまべ 高いか低いかは脇において、無関心な人は確かにいます。でも、今の課題を解決していくためには、みんなが自分事として考えなければなりません。そうした人に伝えるのは学校教育しかないと思うのです。しかし考えてみれば、今の高校生には自らの意見を表明する場がありません。そんな問題意識から、「シン・トヤマ構想会議」という事業を学校法人浦山学園の皆さんとともに立ち上げ、富山県議会議員や富山県知事と人口減少や若者の県外流出について意見交換をしました。

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宝は必要としている人たちと出会えたこと

なつめ ところで、Teenalightはいま、富山県だけでなく県外の高校生も加入されていると伺いましたが、どのようにメンバーを募っているのでしょうか。
やまべ やはり、リモートでシンポジウムを開催することで大きく広がりました。富山県外どころかドイツから参加してくれているメンバーもいます。あとは、活動にあたって様々な媒体を活用していることがあげられます。例えば、ボランティア情報満載のActivoなど。新聞記事を見ての問い合わせもありますし、SNSとメディアの両面から広がっていると思います。
なつめ オンラインの力は大きいですね。
やまべ そうですね。でも、一番重要なのは技術や媒体ではありません。やはり学校から出たことで、本当に私たちを必要としている人たちと出会えたことではないかと思います。これは何にも代えがたい大きな宝です。
なつめ 今後、どのような活動を考えていますか。
やまべ メンバーはみな、貧困や教育、SDGsなど探求しているものが異なります。それは、この団体の多様性を意味しているので、それぞれが活動だったり研究や論文作成であったり、あるいは自治体への提言であったりと、取り組みたいことを大切にしていきたいと思います。いずれは高校生が代表をつとめるNPOにして、高校生が運営する法人になったらとも思っています。
なつめ 今後の活動に心からエールを送ります。今日はお話をお聞かせいただきありがとうございました。

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取材を終えて

今回Teena Lightさんを取材して、高校生という忙しない環境の中、これだけのボランティア活動やシンポジウムなど様々な取り組みを行えるエネルギッシュなパワーに驚きました。
また活動内容もそれぞれの分野の課題について芯まで考えられていて、高校生の普段の生活では経験できないことを、その場で実感し行動でき環境がある魅力的な団体でした。これからさらに進化していくTeena Lightさんに改めて注目したいです。

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