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『光る君へと、わっさわさ効果』

私はなかなか週一の連続ドラマを見る事ができない。
『全作一気見』なら興味を持続できるので見れなくもない。
ついこの間も、『不適切にもほどがある』を途中離脱してしまった。
あんなに面白かったのに。きっと私が離脱した後も面白かったに違いない。傑作だった可能性すらあったのに。なぜ離脱したのかもわからない。
「なんかもういいや」、そう思ってしまった。

ここ十数年でも、完走出来た連続ドラマは多くない。
『鎌倉殿の13人』と『ブラッシュアップライフ』だけかも知れない。今、記憶を遡ってみているのだけれど、とんと思いうかばない。
週一とは言っていいのかもわからないが、『坂の上の雲』ならリアルタイムですべて見る事が出来た。
あ、思い出した『それでも生きてゆく』は完走出来た。のみならず、傑作でもあった。私のベストワンドラマかも知れない。なぜ、忘れていた。ベスト級のドラマを、だ。

今年の大河ドラマの話をしよう。
ひょっとすると『光る君へ』は完走できるかも知れない。
藤原兼家の往生シーンは圧巻だった。
虚ろな兼家は、夜半、ふらりと裸足で玉砂利を敷き詰めた庭に降りたった。そして、一本の橋を渡ろうとする。それは三途の川に架かる橋の隠喩だろう。渡りきったところで兼家は倒れた。藤原兼家は三途の川に架かる橋を枕にしての大往生を遂げた。
最後、カメラはそれを真上から撮っていた。『絵画』だった。ずっと見ていたかった。「次のシーンにいかないでくれ」、そんなふうにも思った。

私はしばし言葉を失った。真上からの視線で撮ろうとしたのは、誰なのだろうか。脚本家。演出家。スタッフ。俳優。それぞれの見事な腕だった。
こんなシーンを見せられてしまったら、完走するしかないだろう。

さて、私の『ガンかわいがり』は低空飛行状態のままだ。『ゲリラー』が終わらないのだ。それでも軽くスクワットをして、庭いじりに興じた。その庭で父親の頭を9㎜の『マルガリッタヘア』に刈った。
まじまじと見る父親の頭と顔は染みだらけだった。わっさわさに鼻毛も出ていた。鼻毛をわっさわにするのは長年の父親のポリシーなので、私はそこに干渉しない。『鼻毛わっさわさ効果』のおかげで父親の健康は維持されているのだろうから。



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