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50年以上連れ添った夫婦の絆と別れ

今は老人ホームで暮らす父。
庭を眺めながら家にいるのが好きな母。

父は家に帰りたがっているが
歩くことがままならない父の面倒をみることは
できないということで・・
父と母は今は離れて暮らしている。

母も間質性肺炎という難病で、
いつ命を閉じてもおかしくない状態なので
家に帰りたがっている父には申し訳ないけど、
母が穏やかに自宅で最期を迎えるには
父の老人ホーム暮らしは
仕方がない選択かもしれないと・・・。

先日、父のいる施設に面会に行き、
母が間質性肺炎を患っていて
余命がさほどないことを伝えた。

あまり感傷的にならない父にしては
狼狽していた。

父「もう、帰る!こんなところに
いてられへん。」

私「でもお母さんの面倒もみて・・
お父さんの面倒まで見れないよ・・
ごめんね・・もうちょっとここで頑張って・・」

父「僕の面倒は見なくていいんや!
何にもしなくてもいいんや」

私「・・・」
何にもしなくていいというわけは
ないだろう!とうなだれてしまったが、

父曰く、母のそばに
ついていてあげたいとのこと。
世話はできないけど、
そばに寄り添っていてあげたいのだと・・・。

父なりの母への想いなんだろうと思った。

母にそんな父の言動や様子を伝えると、
以外にもあっさり
「家に帰るのは無理やな」の一言。

ただ、自分を心配してくれている父の気持ちは
嬉しかった様子。

母なりに、父への想いは
もう折り合いがついているのかもしれないと思った。

夫婦・・・。
契りをかわし、誰よりも長くそばで暮らした存在。

でも、最近母の口からでるのは父との思い出でなく、
もう今はいない亡くなった母の兄や姉の話・・
あと私達子供の話。

晩年、父が母にキツイ口調で用事を
言いつけたり、つまらない痴話げんかが、
母の父への情を
冷ましてしまったかのようにも見える。

ただ、父がもし先に亡くなったら、
母は亡き父を懐かしく・・
いとおしく語るような気もする。

不思議と亡くなると許せるのでは
ないだろうか・・・。

父にあまり関心を示さなくなった母
だけど、父が心配している話をした時、

「お父さんは、私が具合の悪い時は
いつもじ~っとそばにいた・・・」と
ポツリ言った。

失って気づく気持ちも
あるやもしれない・・・。

父と母・・
どちらが先に逝くのだろう。

これは先日の父の面会の様子。
コロナ対策でパーテーション越しの面会。

何とか頑張ってね・・。


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