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大富豪アニキの言葉を思い出す【「中年の危機」を生き延びる(4)】

当時の私の借金総額、およそ830万円。

内訳はざっくりこんな感じです。

・奨学金:約640万円(第一種:約300万円、第二種:約340万円)
・コロナ生活福祉資金特例貸付:約155万円
・生活福祉資金貸付:約35万円

友人に軽く話したらドン引きされました(笑)。

中でもヤバいのは奨学金の額。約640万円。

「ま、いつか徳政令が出るやろ」と思いながら延納手続きを繰り返していたのですが、なかなか出そうな気配がありません。「おかしいなあ……」と思っているうちに、延納期限の10年が迫ってきてしまいました。典型的な破滅型の発想です(笑)。

自分ひとりで破滅するぶんにはいいのですが、あいにく両親が連帯保証人になっています。老いた両親の暮らす実家に、借金取りが押しかける絵を想像すると、ようやく危機感が生まれてきました。

「いや、さすがにそれはアカンやろ……」

これまでろくに親孝行をせず、さらなる親不孝を重ねようとしている自分。この状況が、うつになる要因のひとつだったことは間違いありません。非正規でろくな稼ぎもない中、絶望的な気分になりました。

そこで「もう、死のう」とまでならなかったのには、ある映画の影響がありました。その映画とは、2015年に公開された『神様はバリにいる』(李闘士男監督)。大まかなストーリはこんな感じです。

婚活ビジネスに失敗して多額の借金を抱えてしまった元起業家の祥子。失意のままにバリ島へやって来た彼女は、謎めいた日本人の大富豪アニキと出会う。(中略)そんなアニキのもとでお金持ちになるための人生哲学を学び、再起を図ろうとする祥子だったが、アニキのあまりにも型破りな教えに次第に疑問を抱くようになり……。

(映画.com)

この中で、とても印象的なシーンがありました。観てから10年近く経ちますので、あくまで私の記憶の中で改変されたもの、と思って読んでください。

大富豪アニキの豪邸にて。
多額の借金に絶望し、「もう死ぬしかない」と言う主人公の祥子。
それを聞いたアニキは、「その借金って、いくらなんや?」と聞く。
「800万円」と祥子。それを聞いたアニキは大爆笑。
「何がおかしいんですか!金持ちにはわからないんですよ!」と怒る祥子。
アニキは後ろに掛かってある、大きな銅鑼のようなものを指指す。
「あれいくらやと思う?」
「……」
「800万円。お前の命は、あの銅鑼の価値と一緒か」

そんなわけないやん、です。

そのシーンを見て、お金のために死ぬことが心底ばからしく思えたのでした。そしてここでの「800万円」という金額が、偶然にも私の借金の額に近かったことも、いい具合にシンクロ感を演出してくれました。

借金で落ち込むたびに、私はこのアニキの言葉を思い出します。そうすると、ひとまず「死ぬ」という選択肢が消えるのです。とはいえ、一緒に借金も消えるわけではないので(笑)、現実的な対応が必要なことは言うまでもありません。

ご心配をおかけしないよう念のためにお伝えしておくと、おかげさまで現在では返済の目処が立ち、借金問題はほぼ解決しています。完済したわけではないのですが、もう同じ失敗を繰り返すことはないと思います。いや、たぶん……(笑)。

次回は、そこに至るまでのプロセスについて書こうと思います。


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