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2023/11/27(月)プロサッカー選手になれなかった者にとってのJリーグ。

幼い頃からの夢、『プロサッカー選手』。

ゴールを決めた選手はヒーローとなり、スタジアムは大歓声に包まれる。

そんな舞台を夢見てボールを追いかけてきたが、僕は怪我を理由にサッカーを辞めた。

多くの友だちが大学生となった春。その一方で、高校卒業と同時にプロサッカー選手になった同級生もいる。

強烈に劣等感を覚えた僕は、大好きだったJリーグの試合を観ることができなくなった。

試合が開催される毎週末。メンバーに名を連ねピッチで躍動する同級生がいるなか、現役を退いた僕はアルバイトに励んでいる。

おもしろくねえ。
工場で肉体労働なんてやってられるか。

「どーせアルバイトするならサッカーに関係あることでもやってみるか」

そんなことを思い立ち、しばらく距離を置いていたJリーグの会場へと足を運んでみた。

チケットチェックの任務が終わり、乱入者が入らないようにするためスタジアムの最前列へ移動する。  

「おお、あいつ試合出てるやんけ」
同級生はピッチに立っていた。

今シーズンのホームゲームが最終戦だったこともあり、試合終了後にセレモニーが行われた。  

「電光掲示板見るな。前向いとけ。」
主任的な存在の先輩が指示を出してくる。

そうか、アルバイトで来てるんだったな。
思わず夢中になっていたが僕は観客じゃない。

選手や監督のスピーチを耳にしながら、サポーターの方へ目を向けることにした。

すると、2万人にも及ぶ観衆の表情が目に飛び込んでくる。涙を流しながら頷く女性。拍手を送るおばちゃん。敗戦の悔しさが未だに消えていないおっちゃん。寒そうに身を寄せ合うカップル。

セレモニーが終了し、観客席の方へと選手が近づいてきた。

サポーターが一斉に立ち上がり、選手に大きな拍手を送る。カメラを向ける者もいる。声援を送る者もいる。

3歳くらいの少年が、目を輝かせて選手に手を振っているのが印象的だった。少年もまた、この舞台に憧れサッカーに打ち込むのだろう。

ピッチの方へ振り返ると、サポーターへ手を振り返す同級生が3人もいた。ピンク色のユニフォームを身にまとい、立派なプロサッカー選手として声援に応えていた。

ああ、サッカー選手ってかっこいい。

僕が憧れていた場所。
そこに辿り着いた同級生。

しばらく拒んでいたJリーグだったが、どうやら憧れの対象は変わっていないみたいだ。

サッカー選手になろうと今も必死に努力している元チームメイトを応援したい。どうか辿り着いてほしい。

そして僕自身は、サッカーを超える夢中になれるものに出逢いたい。サッカー以上に好きになれる何かを生業にしたい。

サッカー選手になれなかった以上、サッカー選手よりもお金を稼ぎたい。 

プロサッカー選手になった同級生の活躍は、心に反骨心の炎を灯してくれる。

僕を奮い立たせる場所。
それは、いつまで経ってもJリーグなのかもしれない。


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