木伏 -name,Kibushi-

僕は木伏聖陽として生まれ、両親の離婚で一度井上に改姓したが、18歳になると同時に木伏に自ら改姓した。

理由は、自分の名前が井上聖陽であることがずっと不自然に感じていたからだ。8歳まで自分の名前を伝えていると身体に染付いてしまうのだろう。

私は2018年(18歳の誕生日ちょうど)から「木伏」と名乗るにあたり、自分の名前に責任を持てるようになりたいと思うようになった。そこで、木伏という苗字の由来を調べることにした。

現在、木伏という姓の人は1000人前後だそうで、全国的に珍しいと言える。実際このリサーチを始める前、家族以外で同じ苗字の人を見たことがない。ネットで何でもわかる時代だとしても、今回は情報が非常に乏しく、脚を動かす以外にルーツを知るすべは無かった。

**2018/09 @Nigata, Japan**

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そして、2018年9月。僕は新潟に訪れた。新津市に親戚がいるという父からの端的な情報を元にその地に訪れるも、そんな市は存在しなかった。合併されていたからだ。新潟市秋葉区という行政区に変わり、フレッシュな区役所が最初の目的地となった。そこで早速、木伏探し。働いている方のひとりに木伏という方がいた。そう、僕の中の、木伏第一号さんだった。その人を頼りに、木伏が大量発生している地域を教えてもらい。借りた自転車を全力で漕ぐ、まだ夏だった。汗だくになったことを今でも覚えている。場所の特定は難しく、図書館や公民館を回りながらやっと見つけたお寺で有力な手がかりを手に入れた。

と、同時に由来についての情報も得た。もともとは福島に拠点をおいていた集団が新潟に逃げてきた。その時、木と木の間を伏せながら来たため、木伏という名前になったのだと。驚いたことが2つ。1つは、福島がルーツということ。もう一つは、逃げてきたこと。このリサーチの終着点がネガティブになってしまうのは、少し気が引けたが木伏さんが集まっていると言われる道を教えてもらい。そこをめがけ、自転車で山を越える。

木伏が集まる道を見つける。初めて木伏という表札を沢山見た。そして、一軒一軒丁寧にチャイムを鳴らす。いくら丁寧にやったとしても怪しさは消せない。「東京からきました木伏と申します。木伏の由来を教えて下さい。」精一杯のシンプルさを求めた挨拶は疑問を生んだ。門前払いされたり、親切に聞いてもらえたり反応は様々だった。終盤にある家庭を見つける。とても親切にしてもらった。そこのお父さんもずっと由来を追っているらしい。予期していなかった発見は、家紋を見つけたことだ。割れ菱と言われる形だった。

**2018/10/31 @Fukushima, Japan**

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由来を探しに、木伏村に向かう。福島県南会津町にある木伏という地域。まずは、町役場に向かう。毎回感動するが、役場の人はとても親切だ。木伏の由来を調べてると県外の知らない男が言ってもキチンと対応してくれる。資料と行先とヒントをもらい、車を走らせる。分署がまた大活躍をしてくれた。こちらも、行政の合併があり資料があちこちに点在しているとのことでしたが分署の方の心強い協力により詳しい資料を発見しました。ここからは、その資料を引用して話していきたい。

「奥会津南郷の民俗」という南郷村教育委員会がまとめた資料によると、木伏村の命名は伝説的なものなのだそう。命名の起源は、1181年平安時代の終わりごろ。福島県会津地域に安田村がありました(もともと、安田村は農村で安々と村がつくられたことが由来とのこと)。

そのころ京都にて、高倉宮は宇治の平等院で敗戦しました。その時、足利忠綱の配慮でこの地に行幸することになったそう。そこで、近隣の人が集まり木々を切り伏せバリケードをつくり木戸を結い守り固めたそうです。その様を宮様(皇族)が何事かと聞きました。すると、「万一、里から狼藉者くれば、ここで防戦する覚悟です」と答えるのです。それに「それは武士が戦場で分捕高名(敵の首と一緒に刀などを持って帰ること)することより勝っていることだ」と称賛しました。そこで直ちに安田村から木伏村に変更。これは、木武士という意味を持つとこだそうだ。

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木伏という地域には、誰ひとり木伏さんはいませんでした(五十嵐さんが多かった印象)。多分、ここからは予想ですが、木伏村から出た人たちが出身から木伏と名乗ったのではないかと思います。会津という地域は、昔から新潟と山を越えて行き来する人が多かったそうです。

新潟に移動し、東京に移動してきた先祖がいて今の僕がここにいるんだというのが今回の結論になります。木伏に改姓し、2年目ですが20歳を迎える来年に向けてこれが知れてよかった。木伏に関するプロジェクト(リサーチなどを含めて)はまだ続けていければいいかなと思います。

19/11/14

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