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天皇陛下 記者会見 2020.2.23 「水」問題への取り組み

(在日外国報道協会代表質問)

ご即位なさってから、変わらずお忙しい日々をお過ごしかと存じますが、陛下の今後のご活動についておうかがいいたします。「水の問題」に陛下は長年取り組んでいらっしゃいますが、気候変動への関心の高まりと同時に水の問題への懸念も国内外で高まっています。水の問題、ひいては環境問題に関しまして、今後どのようなご活動をお考えでらっしゃるか、お聞かせ願えますでしょうか。

(天皇陛下)
昨年は台風19号を始めとする台風・大雨による災害が数多く発生しました。日本だけではなく世界中で頻発している水災害は、その遠因に気候変動があると分析されており、今後被害が激化していくことが懸念されます。

日本は、台風や豪雨、津波といった自然災害の影響を受けやすい国土であることから、これからの務めの中で、国民生活の安定と発展を願い、また、防災・減災の重要性を考えていく上で、「水」問題への取組で得られる知見も大切にいかしていきたいと思います。

国外に目を向けても、昨年来のオーストラリアにおける大規模な森林火災など、気候変動や「水」問題に関連した災害が頻発しています。「水」に関する取組は、安全な飲料水の供給・確保や衛生などの生活環境の問題のほか、干ばつ・砂漠化・水質汚染など、多岐にわたる地球規模の環境問題にも深く関わってきます。

つい先日、南極の気温が18度を超えたというニュースを耳にしましたが、地球温暖化の関係では、南極やグリーンランドの氷床が溶けたり、海水が膨張することなどによる海面上昇は、海抜が低い所に住む人々に深刻な影響を与えています。

また、山岳地帯に住む人々にとって、氷河湖の決壊が洪水を誘発し、下流地域の村を押し流すなどの問題を引き起こすこともあります。このような気候や水に関わるさまざまな状況を心配しております。

「水」問題については、「水」を切り口に、豊かさと貧困、防災など、国民生活の安定と発展とともに、世界のさまざまな課題についても考えを巡らせることができると思います。即位以来、慌ただしく日がすぎましたが、事情の許す範囲で少しずつ「水」問題についての取組も今後とも続けていくことができればと思っております。

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