気の強さで失うもの

最近よくやり取りをする年下の子が、まあきっと気が強い。
というか、我が強いのかな。
特定されたくないので変な書き方するけど、恋愛とかそういうのではなく。

絶対に悪い子ではないし、伝え方が不器用なだけだとは思うのだけれど、
やっぱりどこか圧が強い。

正しいことを正しい、間違っていることは間違っていると言える理解力と頭脳はあるのだが
だからなのか、「やさしさ」と「やわらかさ」が足りないように思う。

文章の添削をすることもあるが、「こうしたらもっといいかも」という話もたいてい別の理由をつけて打ち返してくるし、たとえ受け入れても納得した様子はなく渋々という感じ。
アレンジしてくれるのはありがたいが、それが正直なところ適切ではない(ように感じるだけかもしれないが)。

チェックをして、まあ少し引っかかるけど大丈夫かなとOKを出したものも、チェックしたときには入っていない文面を入れて公開してしまう。
しかもそれが、事前に見せられていたら絶対「いいよ」とは言わないような。すごく社会的にマズいと言われたらそうではないけど、マナーとして避けたほうがいいかなという具合の。


なんで?なんでそうした?と単純に思う。


たぶん、いや絶対良かれと思って味付けしてくれていて
頑張ってくれている、それは分かるのだが
残念ながら全然合ってない、まだ。
見た人みんなが二度見してしまう感じのズレ。


でもそれも「私個人としての感情」で指摘するとたぶんダメなんだろうなー。火に油。
正論かまして論破しようとしてくるだろう。
感情に訴えかけてもたぶんダメだ。
であれば、と、その子と同じ世界を見るにはどうすればいいか、と、

「その世界ではこういう作法だから、次からはこうしたほうが反応がいいと思うよ」

私個人を消して、「その世界のルールだから」という単純かつズルい方法を使った。
しかも、「私もその分野を扱うのが久々だから分からない部分もあるかも。◯◯さんにもアドバイスもらおうか」
と、他の人まで会話に招待してしまった。
ごめんね◯◯さん。でもたぶん、ひとりの意見だけより説得力が増す。

崇拝するような人物や推しの言葉なら魔力のような力を持って、ひとりの言葉でその子を動かせるかもしれないけど
たぶんこの状態はそうじゃない。おそらく私とはウマが合わない(認めるのは切ないが…)。
でも根は頑張り屋でいい子のはず。
ちょっと気が強いだけで。

困ったなあ。

別の年下の子に「ちょっと気になる部分があるからしばらく(その子のことは)注意して見とく。もし何かあったら相談して」とこっそり話すと
相手は「ありがとうございます。性格が出ちゃってますよねえ…」とぽつりつぶやいた。

ああ、やはり性格なのかあ…
そう思っているのは私だけじゃなかった。
でも、なおさら勿体ない。
能力も責任感も向上心もあって、締切にも絶対間に合わせる気合いがあって、
そのいいところが「気の強さ、圧の強さ」で大体かき消されそうになっているのが。

やわらかさ、やさしさ、相手を思いやる言葉、
正しいことも間違っていることも本当はわかってるけど、それをストレートに伝えるべきところ、伝えるべきではないところを判断する力。
マナーもあるが、やさしいほうの考えにいきつくのは
結局、性格なんだろうか。
性格は既に能力の一部なんだな。

どうしようかな。
なにしろこのままが続いたら私の精神的にもあまりよくないし、いっそ、ある程度ぶつかることも必要なのかな。
この人やりにく…って思われたほうがむしろ後腐れなく距離を置けるかな。


でもこれは反面教師でもある。私もたぶん自分自分で気も強いし我も強い。
仕事や文章を書くときだけはやたらと気を使いたくなってしまい丁寧すぎると言われるほど丁寧なクッション言葉豊富なメールを送ってしまいがちだから、ある意味物怖じしなく強い言葉を言える人はすごいと思うけれど
私生活では曲げたくないこといっぱいだし、一般的には気が強い部類のはず。
でも改めて「人の気の強さ」を見ると、
ああ、気が強くてあんまりいいことってないのかもなあと思ったりするのです。
逆に離れていくものが多い気がする。

年齢を重ねるほど直しづらいと思うけど、年下の子たちはもっと柔軟になれるのかな。
であればもう少し根気よく付き合っていくけど、変わらなさそうだったらお互いのためにも離れたほうがいいだろうなあ。

でも本当にこわいのは、たぶん私がその子や他の子について思ったことをそのまま伝えてしまえば割とその意見が生かされてしまうところ。
もちろん何かが変わるとしても他の人たちの意見ふまえて総合的に判断するからそうなるのだろうが、そんなふうに人の毎日を少し変えてしまうような権限を持つのは正直こわい。
だからこそ印象を変えたいなあ。どうにかいいところを引き出せないものだろうか。

もちろん、無理はしませんが。

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