【統一教会問題の難しさ キリスト教系宗教同士の信者獲得争い】

カルト問題がややこしいのは、カルトと闘う側も往々にしてカルト性を帯びていることがあるからです。反カルト側のカルト性については、山上容疑者が手紙を送っていた米本和広氏もこれまで問題提起し続けてきました。

キリスト教系のカルトの問題においては、キリスト教系の宗教同士の信者獲得争いという側面が特徴として挙げられます。あるキリスト教系カルトに困っている人へと別のキリスト教系の宗教(あるいは宗派、新興宗教か伝統宗教どちらの可能性もある)が近づいてくるのです。中には、「あなたが信じてきたことは、キリスト教の本来の教えとは異なります。本当のキリスト教では…」という話し方をしてくる人もいるようです。彼らは、純粋に被害者救済という目的というよりかは、自分達の宗教(宗派)の正しさを説くために近づいているのではないでしょうか?

また、一口に「キリスト教」と言っても様々です。キリスト教の三大宗派のカトリック、プロテスタント、正教は、そもそもは互いを「異端」とみなしたり破門しあったりして今のような形になったわけですし、この他にもそれぞれが異端とみなす宗派や、キリスト教から影響を受けた新興宗教が存在します。何が「正しいキリスト教」であるかを語ること自体、その人の立ち位置を表すと言っても過言ではありません。

ただし、キリスト教系のカルトに悩む人がそうした人を頼らざるを得ないことには理由があります。カルトに悩む人が頼れるような場所が少ないからです。一方で、最後には誰かに頼ればいい、という気持ちでいることを彼ら自身が止めないと、カルトに利用され続ける構造を変えることは難しいでしょう。

カルト対策は一筋縄ではいかないのです。