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味わい深い街、名古屋①

昨年12月、3泊4日で名古屋に行ってきた。僕は生まれが名古屋なのだが、幼児期に千葉へ引っ越してしまったため、記憶はほぼない。新幹線を降りても、懐かしさを感じるどころか、「本当にここで生まれたんだっけ…?」と思ってしまうほど、ピンとくるものがなかった。

しかし30年以上も前のことなので、当然かもしれない。その間名古屋は人口も増え、建物も増え、交通網も広がり、発展した。景色も当然変わる。だからこそはじめて訪れたかのような高揚感があり、逆に良かった。

新幹線のホームの「きしめん 住よし」で昼食を取る。出発前に東京駅で弁当を買わなかったのはここのうどんを食べるためだ。麺は硬すぎず、柔らかすぎずのちょうどいい歯応え。つゆはダシが効いており飲み干してしまった。昼時なので並んだが、立ち食いで回転もよく、そこまで待たずに済んだ。

住よしのきしめん

駅を出て、ホテルが位置する伏見駅周辺エリアへと向かう。窓の外から見える景色はビルばかりで、無機質な印象を受けた。「果たして今回の名古屋旅、楽しめるだろうか」と不安も感じたが、今思うと杞憂だった。名古屋の魅力はパっと見で伝わるものではなく、じっくり味わうものなのだと、旅を終えてみて思う。

ホテルへのチェックインを済ませ、さっそくあたりを散策する。豊かな喫茶文化で知られる名古屋だし、まずはコーヒーが飲みたい。小洒落た外観に惹かれ、「NOV. CAFE ノブ・カフェ」に入店。いくつものランプが灯されたほの暗い店内は、重厚にして艶やかな雰囲気が漂っていた。コーヒーを飲みながら、スマホで滞在中に行きたい店を調べたり、Kindleを読んだりと、1人時間を満喫する。

NOV. CAFE

その夜は9時半から仕事関係者と夕飯を食べる予定が入っていたのだが、まだ時間があったので「どて焼き 島正」へ。普段は夕飯を7時までに済ませているので、9時半ではお腹が空いてしまう。その日は金曜日だったため、混雑を予想し、5時過ぎに店に到着した。ほぼ開店時間だったにも関わらず、店内はすでに満員で、外に並ぶことに。人気の高さがうかがえた。

どて焼き 島正

メニューはまさに「名古屋めしのショーケース」とも言える内容で、串カツ、どてめし、どて焼き(味噌おでん)をオーダー。串カツは衣がサクサクで中はジューシー、どてめしはホロホロの牛すじに煮卵まで乗っていてボリューミーで、とにかく美味しい。名古屋料理はよく「味が濃い」と言われるが、しょっぱさや脂っこさはまったくない。むしろコクやうまみが強く、味が「濃い」というよりは「深い」のだと僕は感じた。これは島正だけではなく、この旅で口にした全ての料理に当てはまることだ。

どてめし

どて焼き(味噌おでん)は、大根やこんにゃく、牛すじが入った盛り合わせでオーダー。ここにも味噌がたっぷりとかかっているのだが、串カツとはまた味わいが異なり、飽きが来ない。豆腐は中まで味が染みているし、大根はホクホク。隣に座っていたスーツ姿のサラリーマンらしき男性も同じく味噌おでんを食べており、思わず「あー、幸せ…」とこぼしていた。同感だ。これだけですでに名古屋に来てよかった、と思える。

ホテルに戻り、少しお腹を休めてから栄の「カモシヤ」へ向かう。ソムリエがオープンした、味噌おでんとワインが楽しめるお店だ。おでんや牛タン煮込み、ポテトサラダなどを発注。おでんは味噌がどっぷりかかっている訳ではないので、すっきりとした味でワインともぶつからない。赤味噌とワインがこれほど合うとは思わなかった。

カモシヤの味噌おでん

最後は名古屋めしの新名物とされている「名古屋ハヤシ」で締める。ハヤシライスのような、リゾットのような、味噌煮込みのような、これまでありそうでなかった、新感覚の美味しさだった。卵と混ぜることでクリーミーになり、味変も楽しめる。名古屋ハヤシを提供しているお店は他にも複数あるようなので、次回また試したい。

名古屋めしの新名物「名古屋ハヤシ」

初日にして名古屋めしを堪能でき、満足感があった。料理はどれも一見こってりしているが、お腹の収まりが良く、むしろ普段よりもたくさん食べれた。やはり生まれ故郷の料理だからだろうか。2日目への期待値が高まった。

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