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【戦術】Apex Legendsにおけるポテンシャルプレー

2024年2月22日【春休み特別企画】5周年の集大成
#ポジショナルプレー のApexにおける適用

 Apex Legendsにおけるゲームモデルとして「ポテンシャルプレー」というプレー原則を体系化したので解説する。#戦術 #立ち回り

プレー原則とゲームモデルについてはこちらを参照されたい。
ポジショナルプレーについてはこちらを参照されたい。

動画リンクは開始位置付きで飛べるようにしました。
以下で何度か述べる定義は各種文献から私が総合的に導いた帰結です。ソースは省きます。ポエムです。

1. 戦術とは何か

 戦術 は、ある持ち駒(手札、ヒト)における勝利の期待値を最大化するための方策(方法と手段)と定義する。ゲームには運の要素もある中で、最も重要なのは複数の試行回数で最大の成果を上げること、そのためにプレーの再現可能性を重要な価値に据えるのが戦術である、と言える。

イメージ 期待値

2. ゲームモデルとプレー原則

ゲームモデルとは、ゲームのあらゆる局面において各個人が共通して持つ、プレーの優先順位や方針と定義する。
プレー原則とは、ゲームのそれぞれの各局面において各個人が持つ、プレーの優先順位や方針などの取り決めと定義し、ゲームモデルの下部構造である。

https://lfc-field.com/tactical-periodization-introduction/ より引用

3. Apex Legendsにおける3つの優位性

 Apex でポテンシャルプレーを実践するとき、他のスポーツにおけるポジショナルプレーと同様に、その原則は3つの優位性で記述できる。

・位置的優位性
・数的優位性
・質的優位性

・位置的優位性

 FPSに共通するが、低い位置よりも高い位置のプレイヤーが有利だ。その要因として、以下が挙げられる。
・ヘッドショット、足に係数が付いてる
・周囲の状況を確認しやすい
自分主導で隠れたり撃ったりできる非対称性が生じ得る

高低差を制する 新シーズンランク4勝ぶんキル集+α【Apex Legends】#22 PS4Pad

遮蔽が無い開けた場所よりも、遮蔽となるオブジェクトが多い側が同様の理由(非対称性)で有利だ。マクロでは岩や建物、ミクロではノックダウンシールドやコースティックのガス容器、モバイルリスポーンビーコン等も位置的優位性をもたらす。

ただ情熱がある【Apex Legends】#30

 また、リング収縮において、リングの遠くから入らなければならない状況よりも、初めから入っていて他の部隊を待ち構える状況の方が一般に有利だ。ただし多数の部隊が集中する地点で構えると、複数の部隊が同時にエントリーしてくる場合があり、一概にリング内、中央が有利とは言えない。
 エントリーする局面で部隊を倒していき、その範囲を確実にクリアリングしながら中央に侵入するときが、最も位置的優位性を持っている、と言える。

ダイヤ帯6キル4アシ【Apex Legends】#24 一言解説


・数的優位性

 1v3 よりも 3v3 の方が有利だ。また、アーマーやHPが削れた状態よりも、それぞれがフルな状態が有利だ。

味方と噛み合ったグッドゲーム【Apex Legends】#20


 複数の部隊からフォーカスが集まっているよりも、1つの部隊と向き合っている状況の方が有利だ。
 異なる部隊をフォーカスしてる状況の相手を、一方的に攻撃する部隊は、向き合って勝負する(フリーな状況の相手に仕掛ける)よりも有利である。これを「漁夫(の利を得)る」と定義する。

漁夫典型例 ごめん最後ジャンパでぶっ飛ばしてた【Apex Legends】#31


・質的優位性

 エイム(置き、追い、リコイル制御など)、キャラコンの技術が優れているプレイヤーは有利である。また反射・判断の速さ、戦術理解度、心理的(情緒)安定性や欲望を制御する理性の発達具合なども質的優位性となる。
 一般に、特定の距離においてはキーマウプレイヤーよりもPADプレイヤーの方が有利である。有利な距離はデッドゾーンや感度設定(エイムアシストの効き具合)によって異なる。一方ミクロな立ち回りの制限はPADプレイヤーは一般に大きい。
 Apexでは武器収集、キャラクター選択があり、それぞれに付加される質的優位が異なる。時に優位性を付加したり無効化するUltを持つ。
昔のレブナントUltは味方部隊に一瞬で数的優位性を付加した。
ホライゾンAbi、パスやオクタン、バルキリーUltは位置優位を付加し、アッシュUltは敵部隊との位置優位差を一瞬でイーブンにすることができる。
 他のキャラについてもそれぞれのパッシブ、Abi、Ultがどういった敵味方の優位性を変化させ・変化させないのかを、今後検討し理解するのは有用だ。

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4. Apex Legendsにおけるゲームモデル

 まとめてみよう。例としてアタックする優先順位を抜粋した。

  • 2ダウンしている

  • 1ダウンしている

  • アーマーが割れている(ダメトレ ダメージトレードで優位)

  • 数的有利を確実に視認した

  • 相手が気づいていない(先制攻撃できる)

  • 当て感で勝る(相手がマークスマン、SR、Wingmanで牽制してこない)

  • 遮蔽を用いて主導権を持ちながら距離を詰められる

  • 相手が別パから射線が通っている

  • 背後から別パが迫っており時間がない

  • リング収縮で戦うしかない

 上ほどアタック成功の蓋然性があり、下ほどハイリスクとなっている。上ほどポジティブ、下ほどネガティブなアタックと言えよう。上はあくまで一例でこっちのほうが重要だという指摘はあるだろう。
 同様にエスケープする状況の優先順位も記述すれば、ちょっかいだけかけて、次に行くという判断も体系化されるだろう。
 それぞれの状況が3つの優位性によって記述できることがお分かりいただけると思う。

https://futsal.tech/strong-weak/  より引用

 だが当然こうした優先順位リストですべての状況を網羅できる訳がない。
 したがって、上記の3つの優位性を総合的に判断して、自らが持っている優位性を、順位という結果に変換していく作業が、Apexにおけるポテンシャルプレーというプレー原則であり、それを足並みを揃えて行うことをチーム内で共有すればゲームモデルとして確立する。

https://theory.labster.com/kinetic_energy/ より引用
イメージ Potentialが3つの優位性、Kineticが「順位」という結果のアナロジーだ

〈了〉

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