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開発ワーカーの胸の内

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途上国を転々として、相手国政府に技術支援する「開発ワーカー」なる仕事。 何してどんなことを考えているのか、たまにご紹介。
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業界卒業の準備中

業界卒業の準備中

久しぶりのnoteです。
気がつけば半年ぶりぐらいの更新になっていました。 ちょっとしたきっかけで書く習慣を止めてしまうと、なかなかルーティンに戻れないのを実感しています。 Facebookも、業務以外のメールも、いろいろ書くことが億劫になっていた半年でした。

前回、昨年11月に書いたように「#心が折れた開発ワーカー」になってしまった後も、相変わらずガーナにいて、毎日ため息を吐きながらも淡々と働

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#心が折れた開発ワーカーはどうする

#心が折れた開発ワーカーはどうする

ガーナに着任してちょうど2か月が過ぎた11月13日未明、私の住んでいるマンションで連続盗難事件があり、就寝中だった私の部屋にも入られて、買って3か月しか経っていないMacbookと、ATMで出金したばかりの現金約5万円が盗まれました。外国人駐在員も多く住む、アクラ市内でも安全と言われている地域にある物件で、常駐のセキュリティガードがいて、敷地内にはCCTVもあちこちにあるのに起こったこの事件。 マ

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日本人に生まれた運。

日本人に生まれた運。

バブル末期に大学に入った私は、経済政策を教える担当教授から「あなたたちが戦後・昭和後半の日本に生まれたことは最大の幸運だったのですよ」と言われました。飢餓も紛争も経験せず、教育も医療も基本的平等もあって、共産圏の不自由も強いられることがなかった、と。まだ未成年で、アメリカ帰りで、グローバル市民に憧れていた若き私は、それを聞いて「だからこそ運が悪く途上国に生まれた人たちが、少しでも快適な生活を送れる

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アフリカに帰ってきました。

アフリカに帰ってきました。

noteには久しぶりの投稿です。
パキスタンでの仕事を終えて、日本で3ヶ月間の夏休み(という名目の契約と契約の間の腑抜け期間)を取った後に、西アフリカのガーナにやってきました。 これまでにも南部アフリカで合わせて3年ほど暮らしましたが、西アフリカは数日間の出張で来たことがあるだけ。 文化的にも経済的にもとても多様なアフリカ、これだけ違う国々をアフリカとして一つにくくるのには少し違和感はあるけれど、

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レモングラス茶で一息。

レモングラス茶で一息。

海外を転々とする生活も約20年、9か国目のパキスタンでの任期は残り11週間になりました。 過酷な暑さが半年近く続く、厳しい夏が始まったパキスタンでは、今週はもう30℃を超えるようになり、自宅でも職場でもついに扇風機がまわり始めています。 

長くて厳しい暑さになると冷たいものを飲んでいたのは若き日のこと。常夏のカンボジアやタイに暮らしていた時に、夏バテで体調を崩すことが多くなって以来、ローカルスタ

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ここではない、どこか。

ここではない、どこか。

2週間後に友人ファミリーを訪ねて中東の某国に旅行に行くことになりました。 私にとってはこれまでに行ったことのない国に出かけるのは、出張でもプライベートの旅行でもとても楽しみなことで、仕事の合間に旅行先の情報を集めるのが今の最大の気分転換。 自分で選んで海外・途上国の生活をしているものの、やはり3カ月も経つと自然に「ここではないどこかに行きたい」と思うもので、途上国生活に於いてはリフレッシュも大事な

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私、を際立たせる。

私、を際立たせる。

毎週土曜日に、LinkedInから "you appeared in xx searches this week" というメールが届きます。最近、特に職探しをしているわけでもないので、LinkedInのプロフィールページももう1年半ぐらい更新していないし、自分のどんな職歴・スキルがサーチに引っかかっているのか興味もなかったのですが、久しぶりにログインしてみたら面白いことを発見。

先週、14人の組

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若手の国際機関就職:あなたの価値は、あなたにはないかもしれない。

先日、某国際機関の空席ポスト(公募)に応募する、30代前半の方のCVを添削しました。管理職ではないオフィサーレベルの職。一般公募になっているけど、まず内部候補者は両手で数えきれないほどいるんだろうなあと思うほど、修士を持っていて、開発援助や緊急援助などで5年以上の経験を積んだ程度の若手、30~35歳ぐらいまでが対象のポストです。組織のネームバリューにもよるけれど、国連や準国連の国際機関であれば、正

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日本人書き英語からの脱却に。

この数年、日本人の書いた英語を手直しする作業が増えています。(日本の組織で働くようになったら不可避な作業…) 皆さんそれぞれ一生懸命書かれた報告書だったり、和文の方は内容も素晴らしいのだけれど、何とも英語が残念なので、私が「仕事で共有・ロゴ入りで印刷されても恥ずかしくない」レベルまで校正することが多くなりました。 国際機関にいた頃は、日本の翻訳業者が出してきた英和訳で使われる専門用語が間違いだらけ

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7.6億・・・あと850万人

7.6億・・・あと850万人

どうも、効率的な仕事ぶり、充実した海外エクスパット生活。 開発ワーカーです。

マイケル、仕事、仕事!
え? 昨夜路上で物乞いしていた子どもに1ドルあげてきたことが誇らしくて、仕事中も微笑んでしまう?

ダメ国際人!

じゃあ質問ですっ。
物乞いして1ドルもらった子どもは、今日は何をしているでしょうか?

「・・・今日もまた何ドルかもらってこい!」

子どもがその日の家族の収入をもらってこれると知

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生きる。

生きる。

2018年になってすぐ、同じ地で働く方の突然の訃報を知らされました。 私よりほんの少し年上の、いつもにこやかな表情で、世界の様々な場所での色々なお話を聞かせてくださる、熱い志を持たれた真の国際人。 幼いお子さんを残してのあまりにも早すぎる死で、とにかくショックでした。

40代も半ばになり、哀しいことに年々誰かの死が身近になってきています。 かく言う私も昨年はストレスによる体調不良、中でもひどい高

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グローバル人材になりたい若人へ。

グローバル人材になりたい若人へ。

今年、仕事を通じて知り合いになった20代前半のAくん。「あなたみたいなグローバル人材になりたいんです!」と嬉しいことを言って、私を喜ばせてくれました。

色々なことに興味をもち、
未知の世界にも飛び込んでみて、
先輩のオジサン・オバサンの話もよく聞き、
海外の人に質問をいっぱいし、
(新聞を読まないのはちょっと残念だけど)本をけっこう読み、
(ちょっと下手だけど)英語でにこやかにそれなりに話をでき

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試される私のCreativity

試される私のCreativity

先日、某国際機関の新規プロジェクト形成のために情報収集をしているというコンサルタントさんに依頼され、パキスタンの保守的な州で女性の保健医療サービス利用を促進させるためのコミュニケーション術についてお話ししてきました。

何度か書いてきたことでもありますが、パキスタンの風習・文化(多くは厳格なイスラム教の解釈に基づく)のために、女性の社会参画が進まないのはもとより、医療を含む公共サービスの恩恵を享受

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「新しい民主主義の始まり」と彼らの知らない世界

「新しい民主主義の始まり」と彼らの知らない世界

11月14日の「ムガベ大統領が軍の監視下に」というニュース速報を目にして以来、この10日間、たくさんジンバブエのことを考え、思い出しています。南アフリカに亡命していたムナンガグワ前副大統領も帰国し、「新しい民主主義の始まり」だという新政権の成立もまもなくです。アフリカに縁の深い友人たちとは、1980年のジンバブエ独立時から首相・大統領として国を独裁してきたムガベが退いた国はどうなっていくのか、とあ

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