見出し画像

【SELFの本棚】#047 「変化を嫌う人」を動かす Loran Nordgren & David Schonthal著

(文:SELF編集部 かつ しんいちろう)

SELF周りの人たちは、企業やコミュニティ、自治体など様々な組織で変革を起こしている。変革を起こすポジションにある。
私も、企業の役職やプロジェクトマネジメントの立場で変革を牽引してきた。在庫を半減させるしくみ、図面を2次元CADから3次元モデルに変更するしくみ、企業支援一辺倒からフリーランスも積極的に支援するしくみ、など大小さまざま。どのプロジェクトも、技術問題よりは、そこに関わる「人の心」を動かすことに苦労した。そして今でも各所で取り組んでいる。

人は、なぜ良いと思っていても新しいアイデアに乗らないのか?
私は会社に入って当初は不思議でならなかった。新しいアイデアの魅力を数値やイラストを使って懸命にアピールした。
しかし、現場の人は動かない。口を揃えて「今までのやり方が慣れているので良い。」「新しいやり方だと、また問題が起きたらどうしよう。」と言う。

次第に、現場の誰を味方に付けると動くのか? 正攻法以外のどんなアプローチが今回効果的なのかを計画できるようになっていった。誰に教わるわけでもなく、誰も教えてくれなかった。苦肉の策が功を奏して局面が好転し、ゴールへとつながったと言ったところだ。

そうしたプロジェクトリーダーたちの悩みを解決するヒントを本書は与えている。

本書の中では、魅力的なはずのアイデア、製品、サービスが、相手に受け入れられないのはなぜか? それは魅力が足りないからではない。相手が受け入れたくない理由=「抵抗」があるからだとしている。

皆さんも思い当たるふしがあるのではないだろうか?

本書では、「抵抗」を4つ(惰性・労力・感情・心理的反発)に分類し、それぞれの正体を分析、それらへの対処法を、事例を使って具体的に説いている。

「惰性」:自分が馴染みのあることにとどまろうとする欲求。
「労力」:変化を実行するために必要な努力やコスト。
「感情」:提示された変化に対する否定的感情。
「心理的反発」:変化させられるということに対する反発。

なので、
「惰性」に関しては馴染みのあるように感じられるアプローチをとる。
「労力」に関しては実行するための努力やコストを要らなくする。
「感情」に関しては選択肢の工夫などで気持ちがこちらに向くよう仕掛ける。
「心理的反発」に関しては好きなことを選択したら変化していたという状況を作る。
といった例だ。

アイデアのメリットをアピールする(本書の中では「燃料」を注入すると表現)よりも、魅力をさらに増やす努力を重ねるよりも、「抵抗」を減らすアプローチの方が、効果を得るにはずっと効率的で低コストであることが示されている。

デジタルを使って行動変容を起こしましょう! DXだ!と声高に叫んでも誰もついてこず、友達やお孫さんとやり取りするようにLINEで手短な入力をすることで後のしくみも効率化出来るようなシナリオを作って実践する。UX(ユーザー・エクスペリエンス)を重視する。そういったことだ。

普段、プロジェクト推進の中で場に応じて活用できる内容がまとめられているので、気になる方は読んでみてください。

「あ、鹿児島っておもしろい」そう感じたら、ぜひサポートをお願いします^^ おもしろい鹿児島を、もっと面白くするための活動費として使わせていただきます。