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【注目ニュース】住友化学 韓国で半導体関連材料の生産・研究開発体制を強化

発表日:2024年4月24日
みなさんおはようございます。【注目ニュース】では、最近発表された半導体関連のニュースの中から、専門家が厳選したものを毎朝7時頃にお届けします。通勤・通学時間、始業前にぜひチェックしてみてください。

概要

住友化学は、韓国の東友ファインケム株式会社(以下、東友ファインケム)の益山工場における半導体用高純度ケミカルの生産能力増強を進めてきました。しかし、顧客の需要が高まる中、新たな土地を取得し、工場用地を拡張することを決定しました。取得予定の土地は2024年度下期で、敷地面積は現在の約2倍になります。

さらに、半導体や通信関連の先端技術・材料の開発を加速するため、ソウル近郊に研究開発センターを新設します。このセンターは2024年下期に運営を開始し、約150人の配置が計画されています。これにより、韓国における生産と研究開発の両体制が強化され、半導体関連材料事業の拡大が図られます。

東友ファインケムは、住友化学グループの中核子会社として、韓国の主要ICT企業との関係を築き、国内外でのプレゼンスを高めてきました。特に、半導体用高純度ケミカル事業では、高度な技術と供給体制によりグローバル市場でリーディングカンパニーとして認められています。

今回の拡張では、益山工場の生産能力増強に加え、新たな用地での能力増強を進め、需要の増加に迅速に対応する計画です。2027年度までにグローバル供給能力を23年度比で5割増やし、近隣諸国への輸出も視野に入れています。

また、ソウル近郊に立地する研究開発センターでは、外部との交流を促進し、日本国内の研究拠点との連携を強化することで、次世代事業開発を加速させる予定です。

入居予定のコリアバイオパーク全景(引用元

解説

発表の中では明記されていませんでしたが、東友ファインケムはフォトレジスト、機能性洗浄液、エッチャントなどを製造している住友化学の子会社です。特に今回の工場は、純水などの高純度の洗浄薬品の製造が主眼となっている模様です。

半導体製造プロセスはパーティクルと呼ばれる微粒子を排除する戦いです。したがって、前工程においては各工程の間に洗浄工程を挟んでいるために、常に洗っていると言っても過言ではありません。一般的に、全行程の中で洗浄工程は25~30%を占めていると言われています。

今後、さらに半導体の微細化・積層化の進行に伴って、半導体プロセスが長くなっていくため、洗浄工程で用いる洗浄薬品の需要は高まっていくことは間違いないでしょう。

半導体洗浄薬品の市場では、ほかにもドイツのランクセスなどが競合しています。アジア圏での地理的な優位性を生かして、TSMC、サムスン電子、ラピダスなどのファブカンパニーの需要を取り込めるかに今後も注目したいところです。

参考文献

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