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ストレスケア病棟入院中 もしもゾンビが68

サワグチに会議を中座したことの詫びと夕食担当を代理してくれたことに礼を述べて、会議の結果を聞くとやはり雨を待つことにしたそうだ。風向きが変わったことも良い要因になったらしい。

しかし1番の理由は患者らの体調が、とても避難できる状態でないことだった。生のエネルギーが低い我々に行き先不明の避難は厳しい。

片付けは私達でする旨を伝えて、30分後、炊事場に立ち約50人分の洗い物をした。骨が折れたが何とか終えて自室に戻った。

シャワーを浴びてスエットを着る。後は寝るだけだが、緊急時に備えるためにパジャマは着ない。靴とバッグと眼鏡に水をベッド付近に用意する。

カーテンを開けると暗闇の中、遠くで赤い点と煙を所々見る。目を凝らす。チカチカと赤く光っているのは火事だと気づき心が沈む。

あの距離で明日の朝まで持つのか?雨はいつから降るのか?不安になり、見たくなくてカーテンを強く閉めた。 

間もなく仲間がやってくるだろう。今晩から一緒に休む為にベッドを運び込む予定だ。
「セナさん!大変!凄いことになってる!」ミキが部屋のドアを叩いた。

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