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決してあきらめないで、粘り強くしがみつこうとすることの″尊さ″を学びました

もちろんお笑いの世界に限りませんが、一度爆発的にブレイクして、その後すっかり見かけなくなってしまった「あの人は今」的なことは起こり得るわけですよね。ずっと長い間売れ続けることができる人たちは、ほんの一握りだと思います。

私たちが「売れている・売れていない」の判断をしがちなのが”テレビ”という媒体に「出演しているか・いないか」だったりしますが、そうではない場所で今でもしっかり輝き続けている芸人を紹介してくれたのが『アンタウォッチマン!~あの芸人は今も大活躍SP~』でした。

正直涙するような番組ではないのに、感動して泣いてしまいました。それだけ取り上げられたお笑い芸人2組の今が素敵だったんです。

1組目はハイキングウォーキング。2008年にQ太郎の”コーラ一気飲み”してからの失敗芸でブレイクしたコンビですが、出演していたネタ番組が軒並み終了してしまい、その後いわゆる”ひな壇”の仕事が増えたそうです。

当時の”ひな壇”のメンツが「有吉・竹山・ザキヤマ・土田・小籔・千原ジュニア・劇団ひとり」などなど。今でもバリバリ活躍している話術にたけた芸人ばかり!松田さんは「(前に)出られない」と辛かった当時を振り返っていました。

2016年のM-1ラストイヤーで結果が残せず漫才もコントもやらない独自の道を模索し、行きついた先が大道芸。2年以上松田さんが大道芸の修行を積み、観客を0から集めるところからスタート。これが本当に見事な大道芸なんですよ。完全にプロの大道芸人の仕事です。

松田さんのスゴい技をフリにして、最後のQ太郎の”コーラネタ”で大爆笑を巻き起こすという新たな「超進化スーパーイリュージョン」スタイルを確立。営業・劇場・イベントに引っ張りだこに…。

ところがコロナ禍で営業もライヴもすべてできなくなり、家族を養うために15年ぶりにバイトを始めた二人。一つの道を極めるまでバイトをしながら…というのは音楽や演劇の世界でもありがちですが、せっかくバイトと”二足のわらじ”生活から脱却したのに、再びそこに行かざるを得なかったということでQ太郎に異変が!

心がポキッと折れたQ太郎は「芸人辞めます」宣言をし、2022年3月31日でコンビ解散の予定だったそうです。ところがここからが泣けました。Q太郎の気持ちを変えさせたのは他でもない!奥さんでした。

松田さんに「なんとか(芸人を)続けさせられる方法はないですか?」と連絡し、Q太郎には「お笑い芸人のあなたがやっぱり好きです。芸人辞めるんだったら離婚します」と。稼ぎがたとえ減っても芸人を続けてほしいというこの奥さんの熱い想いがQ太郎の心に再び火をつけ、芸人引退を撤回。唯一無二の芸人として今も大活躍しているというわけです。

「スタイリッシュで頭脳派な松田さんが大道芸を…」と最初の頃はバカにされたりいじられたりしたこともあったようですが、人間はプライドを捨てると違う世界にたどり着けるものなんですね。大道芸という新たな芸を武器にしたハイキングウォーキングは無敵です。

2組目は髭男爵。こちらも”貴族のお漫才”でブレイクしたのは2008年。久しぶりに髭男爵のネタを観ましたが、今観てもかなり面白いです(笑)。テンポもいいし、二人があの貴族の衣装を着てワイングラスをチーンとやるだけで絵になります。ところがコンビで顔を合わせるのは月に1,2回ほどだそうで…。

山田ルイ53世の方は、2015年に自身の引きこもりの過去の生活体験を書いた著書『ヒキコモリ漂流記』が話題になり、文才が開花!一発屋芸人たちとのインタビューコラム連載を開始し、これが第24回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞「作品賞」を受賞。その後講演会の依頼が殺到。

今回も講演会の様子が放送されましたが、声もいいし、お客さんを飽きさせないし、さすが芸人ならではの講演会でした。お客さんたちもメモるような人生の教訓を語り、名言もたくさんありました。。

「正統派の漫才がやりたかったわけですよ。そもそもは。だから全然思い描いていたカッコいい未来像・将来ではもちろんございません。ワイングラス持って”なんとかかーい”みたいにしたくはなかった。でも、なれた自分で飯が食えればいいじゃないかという…こうなりたかったというのはあるかもしれません。みんななれた自分でやってるわけですよ」

この「なれた自分でやってる」という言葉。以前ヒットした『置かれた場所で咲きなさい』を思い出しました。「自分の置かれた状況でできる限りのことを精一杯しなさい」。この精神、人間にとって大切なことだと改めて実感しました。

一方の、ひぐち君。山田ルイ53世が本を出版した頃、時間があったのでワインの猛勉強をし2015年ワインエキスパートを取得。2020年には日本ソムリエ協会の名誉ソムリエ就任。コロナ禍もなんのその。”家飲みブーム”でリモートワイン会を開催したり、今ではワインの師匠や先生と呼ばれるまでに…。全国のワイナリーを巡るツアーの企画したり、9割がワインがらみの仕事だそうです。

山田ルイ53世としてはコンビとしてネタ披露することをしたいそうなんですが、ひぐち君に断られるとか(笑)。それでも「今後髭男爵はどうしていきたい?」という質問にひぐち君は「一生やっていきたいですよ。おじいさんになってもこの格好でやりたいなーっていうのはありますよ」それを聞いた山田ルイ53世は嬉しそうに涙を指でぬぐいながら「それは僕も一緒ですね。ヨボヨボになって貴族やって言ってる方が面白さも出ると思うんで。60歳くらいから仕事増えるんちゃうかな」と(笑)。

一発屋と言われようが、お笑い芸人の世界で生き続けようと決してあきらめないで、粘り強くしがみつこうとすることの″尊さ″を学びました。あえて”しがみつく”という言葉を使いました。それはみっともないことではないし、その強い気持ちこそが新たな奇跡を起こすための起爆剤になるんだと感じます。

私も自分の夢をまだまだあきらめずに、しっかりしがみついていこうと思います!!


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