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UXリサーチをやるかどうかの判断軸

「とりあえずユーザーにインタビューしてみよう!」と勢いで調査を始め、結果的には「ふ〜んそうなんだ〜」という感想で終わってしまった経験のある方、いらっしゃるのではないでしょうか。

あくまでリサーチは手段!と頭ではわかっているはずなのに、ついインタビューをしたい気持ちが先走って、その先の活用が疎かになってしまう。(昔の僕です)

今はリサーチが目的にならないよう、事前に調査の目的や、調査結果を誰がどう活用するのか?を整理するようにしています。
時には「そもそもこの課題はリサーチでは解決できない」という場面にも遭遇します。

あくまで個人的な経験を元にですが、リサーチを実施するかどうかの判断軸や、リサーチ結果を活用するために事前に確認する事をメモ。

課題、背景は明確か?

仮に以下の調査をしようとした時、どんな検討をするか簡単な例とともに記載してみます。

解決したい課題のサイズ感は大きいのか?

  • 全体の何%のユーザーに影響のある課題?

  • もし増加傾向なら優先度は高く、減少傾向なら優先度を下げる判断もあるかもしれない

- 記事を投稿していないユーザは全体の何割なのか?

組織や関係者のミッションに繋がるか?

  • 組織全体の目標に沿う調査なら優先度は上がるはず

- 今組織として記事投稿数に注力しているのか?
- 調査結果を共有するチームは誰で、そのチームのミッションに紐づくのか?役に立つのか?

参考にしている定量データは正しく読めているか?

  • 調査課題に関連する定量データは集めたか。そのデータは正しく読めているのか。都合の良いデータだけ集めていないか

-記事投稿数と記事投稿者数、どちらを増やしたいのか?それぞれ正しい数値を確認したか
- 記事投稿までのファネルは確認したか

既に誰かが類似の調査してないか?

  • 実は別のチームや自分が入社する前に誰かが似たような調査をしてないか?

-すでに記事投稿に関する調査を実施していないか
- 社内wikiやSlackでキーワード検索したり、オープンチャンネルで訪ねたか

Senda 10:30 ゆるぼ xxxを調査したことがある方 xxxユーザへのインタビューを計画しており、競合調査を始める予定です。 xxxについて、すでに調査していろ方がもしいたら教えてほしいです(編集済み) 11件の返信 最終返信:10日前
雑にチャンネルで聞く

ちゃんと結果を活用できるか?

調査結果は誰がどう活用するのか?

  • すでにある仮説を検証したいのか

  • ユーザー課題を発見し、アイデア出しの材料にするのか

  • すでに実施予定の施策の優先順位の意思決定に活用したいのか

  • 解像度が低いセグメントのユーザーの解像度をあげたいのか

  • ユーザーの声を聞くことでモチベーションアップに繋げたいのか

などなど、いろいろな目的があるが、今回はどれに該当するのか。

調査結果を、誰が、何のために、どのように活用するのか整理する。

普段は、「もしこの調査をしたらどんなアウトプットが出て、誰がどう活用するか?」を具体的に想像するようにしています。

noteを使ったことがない人に記事を書いてもらった場合、エディターのユーザビリティ課題を発見できそう。(アイコンやラベルの意味が通じない、ユーザーが想定できない挙動がある、など)
その場合、エディタ機能のPMと担当のエンジニアに調査結果を共有しエディタの機能を調整する、になりそう。

でも、投稿数を増やすには
- 記事を書きたい!と思い立ってもらう人を増やす
- 下書きをちゃんと完成させる人を増やす
など、があるはずだが、エディタのユーザビリティの検証でいいのか?

必ずしも活用が「意思決定に繋げる」である必要はなく、目的が「ユーザーの課題感を把握する」ことなら良い。メンバー間で活用の認識を合わせることが大事。

調査手法は最適か?

他の調査手法のほうが向いているのではないか?

  • ユーザーインタビュー、ユーザビリティテスト、ユーザーアンケートなどなど、たくさんの調査手法があるが、活用方法を踏まえて最適なものはどれか?

    • すでに明確な仮説がある場合、ボリュームを把握するために定量調査した方がよいのではないか?

    • まだ仮説の解像度が低いため、ユーザーにデプスインタビューした方がよいのではないか?

    • そもそも状況の再現が難しく、インタビューでは課題を明らかにできなさそうので、ABテストで数字の変化を見る方がよいのではないか?

ユーザビリティテストだとUIの課題は明らかになるが、投稿したくなるかどうかのモチベーションは探れなそう。
すでに投稿モチベーションへの仮説は持っているので、ユーザーアンケートで定量的に記事投稿のモチベーションを調査したほうが良いのではないか。

その他


この調査に巻き込める人はいないか?

  • この調査結果が活用できそう、このセグメントに話を聞きたそうなチーム/人はいないか確認する。

  • 本来の目的から逸れない範囲で調査方針に加味する

  • 他のチームのミッションや業務を把握しているとこの動きがしやすい。一回の調査で一石二鳥の成果になるかも。

- 記事のお題を考えるチームが興味あるかも?
- ユーザーの声を広報チームが活用できるかも?

さいごに

いつもここら辺を参考に「そもそもリサーチをすることで目的は達成できるのか?」から考えています。
UXリサーチは工数がかかる作業なので、事前に結果を活用できるかどうか整理し、うまく活用できない調査なら、やらなくて済むことに越したことはないはず。

もちろん組織の規模やフェーズ、調査結果を活用するメンバーによって最適な判断軸は変わってくるので、「これは参考にしても良さそうだけど、これは違うんじゃないかな」くらいの温度で受け取っていただけると…!

他にもこんなこと気にしてるよ!この判断軸は違うんじゃない?などなどあればぜひコメントや引用シェアで教えてください〜!

noteのUXリサーチに関する取り組みをまとめています。のぞいていってください!


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