見出し画像

地獄の終わり! 49歳主夫の精神科入院日記(11)

専業主夫の薄衣です。

現在は退院し、精神科に通院中です。



今日は前回にお伝えした、

地獄の千本ノック

の結末です。


なお、本稿に登場する方々のお名前は
薄衣がつけたニックネームなど、
すべて仮名です。


前回のお話しはこちら


鳴り止まぬノック

プロ野球のキャンプなら分かりますが、
私の場合は、病室のドアをノックされる恐怖と戦う毎日でした。

この頃は夜な夜な悪夢で睡眠不足になり、
それを補おうと昼寝を試みますが、
特定の方に日中チョイチョイ起こされる。


困ってました。

あるとき、また私の部屋を訪ねてきて、
入り口でひとり演説する丸さん。


話に熱を帯びて
止まらなくなっていたところ、


「どうされましたか?」    と


看護師から声をかけられました。

すると丸さん、なにを血迷ったのか


違うんです!違うんです!


と大声で言いながら後ずさりして
行ってしまいました。

ず~っと


違うんです!違うんです!


連発です。


なにが違うのか分かりません。


しかもこのあと、看護師が私に

薄衣さん、
ご心配事があれば
看護師に言ってください。


私は思わず


逆です

と言ってみたものの、
真顔で

本当ですか

と返される始末。

私が彼女に相談していると
思ったみたいですね。


なんとも釈然としない、
すっごく損した気分でした。


また、

あるときはノックと同時に、
突然扉が開いたかと思ったら、
いきなり



私あなたのこと好きじゃないから!
旦那だから!



と大騒ぎ。

突然の砲撃です。


私はキョト~ンと
ベッドの上で固まっていました。



しかもそれだけ言って 
バァ~ン
と閉めてお帰りに・・・

この頃の丸さん、
一時帰宅やらなんやらで
ナーバスになっており、
病棟内のいろんなところで、
マシンガンを乱射していました。

時々バズーカに持ち替えることもあり、

その一発が、この時私に発射されました。



地獄が部屋の中へ・・・

地獄の千本ノックが
終わりを迎える日が来ました。

ある日のこと、
いつものようにノックされたかと思うと


「★●#$%&#☆!!!!」


何を言っているのか分かりませんが、
ドアを開けた丸さんが泣いています。

しかも号泣。


そうしたら、突然私の部屋に侵入してきて、
大騒ぎしながら膝から崩れていくではありませんか。

私はまた、
ベッドの上で固まっていました。



「大丈夫ですか」

くらいは言ったでしょうか。


そこへ


なにやってるんですかぁ!

部屋のカメラを見ていたのでしょう。
飛んで来ました看護師さん。曰く


「他の病室へは立ち入り禁止ですよ!
今すぐ退出してください!」

そうだったのかぁ・・・



私は心の中で呟きました。
知らなかった・・・

でも、考えたらそうですよねぇ。


やっぱり丸さんは、この時も
「違うんです!違うんです!」
と連呼しながら帰って行きました。

地獄が終わる?

丸さんが去ったあと、
看護師は私に事情を聴いてきました。
私は、これまでの

地獄の千本ノック


を説明しました。
すると

「もしまた来るようなら、
すぐに看護師に相談してくださいね。
看護師の間でも情報を共有して、
医師とも相談しますので。」

と言ってくださいました。

凄く気が楽になりました。
心の底から看護師さんに感謝しました。
実際、この後はしばらく
ノックされなくなりました。

ロビーで丸さんにお会いすると、

「大丈夫、看護師は今
こっちを見ていないから」  と、

相変わらずマシンガントークを
かまされるのですが、
しんどいときは私から離脱出来ますし、
部屋に来られなくなっただけでも
全然違いました


看護師さんが
部屋に助けに来てくださった翌日、
丸さんは私の隣室から
少し離れた別の部屋にお引っ越し。



私は、いつもより空が青く見えたのでした。





振り返ると

地獄の千本ノック」が続いたのは
1週間もありません。

当時はこのおかげで
寝不足に拍車がかかっており、
私ゾンビのようになっていました。

そのせいか、
とても長く感じていたのですが、
メモを見ると5日間ほどですね。

そんなに困っているのなら、

やっぱり
早々に看護師さんに相談するべきですよね。


返す返すも、
毎回のように言っている気がしますが、
本当にその発想が私にはありませんでした。


そんなに困ってるなら、
人に頼っても良いじゃない。


まして看護師さんだし。


確かにそうなんですけど、
振り返れば振り返るほど、
私は人に頼らず
1人で悪戦苦闘している感じです。


もうちょっと視野を広げて、
肩の力を抜いて考えられるといいんですが、
恥ずかしながら私、こんな感じなんです。


地獄の千本ノック」が去り、

ようやく


自分のペースを取り戻して治療に専念、



かと思いきや・・・

そんな日々も長くは続かず。


今度はロビーで
しんどい思いをすることになるのです。

今回も、最後までお読み下さり
ありがとうございました。

続きます。


今回のタイトル画像は
ケサノソラさんからお借りしました。
素敵な青空をありがとうございました。

この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?