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街道ウォーク 東海道 その9

東海道 その9 二宮→小田原


東海道その9は、二宮→小田原を歩きます。
距離は24,9Km、所要時間は6:36時間 32,588歩、消費カロリー2850kcal


小田原 酒匂川

二宮→国府津

本日は小田原迄の長丁場。スタート地点の二宮まで都心から一時間半、JR湘南ライナーで向かうことになります。そこで、体力温存も兼ねて今回は「普通列車のグリーン車」を使ってみました。

普通列車 グリーン車2階席

電車は平塚を通過、前回その美しさに感動した「高麗山」を間近に見ながら二宮駅に到着。駅からすぐの街道は片側一車線、進むと醤油蔵元の看板と大釜が、「ヤマニ醤油」さんです。手造り醤油は風味とコクが違います。

ヤマニ醬油

「梅澤橋跡」の標石を確認、向かい側の梅が咲き始めた小路へ進むと真言宗「小澤寺」。すぐ先、真言宗「等覚院」の門柱が見えてきました。石段を上ると、六地蔵、本堂、薬師堂が目に入ります。藤棚が見事。

等覚院 本堂

「押切坂の一里塚跡」から旧道に入ります。この一里塚は日本橋から18番目、大磯宿と小田原宿の中間となります。この辺り、昔は梅沢の立場と呼ばれて茶屋や商店で賑わっていたところ。

押切坂の一里塚跡

押切橋を渡り、小田原市に入りました。浅間神社を過ぎると海が近い。思えば、ここまで歩いてきて「街道から相模湾」を身近に望めるのは初めて。やはり海岸沿いを歩くのは気持ちがいいもの。

街道から相模湾

途中右手には「車坂の史跡」。ここ車坂を詠んだ、太田道灌、源実朝、北林禅尼(ほくりんぜんに、十六夜日記の著者)の詩が紹介されています。

存在感がある不動明王様がいらっしゃるのが「大山道道標」、従是大山道と刻まれています。横には時代物の常夜燈、羽根尾通り入口となります。

大山道道標

国府津の駅が近くなり海岸線が迫ってきました。街道沿いには、「親鸞聖人御庵室御勧堂碑」です。ここが草庵跡で、海と向き合い7年間過ごしたと伝わっているそうです。

国道をはさみ、北側の少し先の高台には、その親鸞聖人によって天台宗から浄土真宗に改宗した「真楽寺」があります。

真楽寺 本堂

森戸川を渡り進むと江戸から19番目の「小八幡の一里塚跡」が左手にあります。続いて「三寶寺」、住宅街を歩いていくと、ようやく鎮守の杜と鳥居が見えてきました。建立は鎌倉時代以前と推定され小八幡村の鎮守様。

八幡神社 拝殿

街道に戻り中市場の道祖神を通過。「 酒匂不動尊」の看板が目に入ってきます。真言宗成田山不動明王小社とあり、横には地蔵堂。水掛不動は「酒匂不動延命水」と呼ばれ、地下水が湧き出ており長生きできるパワースポット。

酒匂不動尊
酒匂不動延命水

街道を挟んだ向かい側には大きな「大見寺」の門柱と「小嶋家の宝篋印塔」の案内が立っています。浄土宗の寺院で山門をくぐり正面が本堂。

黒塗りの門が威厳を放つ「旧川辺本陣跡」はすぐ隣。現在は社会福祉法人ゆりかご園の看板がでていました。このような歴史ある建物は残していってほしいですね。

旧川辺本陣跡

酒匂川手前、南無妙法蓮華経の門柱、しだれ梅が咲き始めた参道の先に山門が見えます。日蓮宗の寺院、「法船寺」です。

日蓮上人が身延山へ向かう途中、酒匂川は増水で川止め。こちらの地蔵堂に、お地蔵様が姿を変えた老翁に導かれ、弟子たちと1泊したとあります。こちらも、念仏信仰から法華経信仰へ改心したとあります。

法船寺

「酒匂川」までやってきました、小田原宿はもうすぐ。酒匂橋を渡りますが、昔は橋もなくそうはいきません。冬は架橋、夏は人足による徒歩渡しだったそうです。難所だったことがうかがえます。

酒匂川

長い橋を渡り終え、先を右方向へ歩いていくと旧道に出ます。酒匂川の土手に向かって行くと、「二宮金次郎表彰の地碑」があります。

小田原藩、七代藩主の大久保忠真が領民13名を表彰し、その中に金次郎が居たということです。これがきっかけで、その後の金次郎の活躍があったようですね。

すぐそばの旧街道沿いに「八幡神社」があります。境内にある「新田神社」は新田義貞を祀ったもの。近くには首塚もありますので、ゆかりの土地みたいです。尊氏に敗れた後、故郷の上州へ首級を持ち帰る悲しいお話が。

八幡神社

旧街道は国道を横断する形で先へ続き、住宅街の奥まったところに「新田義貞公首塚」があります。越前で討死し晒されていた首を奪い返して、本国(上野国・群馬)で葬るために東海道を下った家臣宇都宮泰藤。

残念ながらここ一色村で病にかかって、やむなく首はこの地に埋葬し自身もこの地で没したとのこと。忠義の話に胸が熱くなります。

最近は年末恒例の忠臣蔵も取り上げられる機会も減り、昭和のサラリーマン気質は過去に葬られる。滅私奉公を良しとはしませんが、忠義の気持ちは組織で働く以上は忘れてほしくない気がしています。

新田義貞公首塚

すぐ近くに、「上杉龍若丸墓」もあります。あの関東管領、山の内上杉憲政の嫡男「龍若丸」は北条氏康に降伏の使いとして小田原に出向きます。

しかし、敵将の嫡男ということもあり、許されず若くして家臣と共に磔にかけられたとのこと。それを哀れんだ村人により、上杉神社として家臣と共に供養されたそうです。

ご存じ、上杉謙信(長尾景虎)は憲政の要請もあり、後に上杉家の家督と関東管領職を相続します。嫡男を失った事も関係していたのでしょうか?

上杉神社

街道を進み、山王川を渡ると曹洞宗寺院「宗福寺」。お隣山王神社の別当を勤めていた寺院。寺内にある「山王大権現」は、神仏分離令によりご神体を仮本堂内に安置、白山妙里大権現、稲荷大明神も合祀されたとあります。

家康公が戦勝祈願で日参されたともあります。歴史ある寺社らしく、古い石仏が並んでいます。

山王大権現

街道には「江戸口見附跡」と「小田原の一里塚跡」、日本橋から20里となり、いよいよ小田原宿。

小田原宿は本陣と脇本陣が四軒ずつあり、旅籠も江戸後期に95軒あったといいますから東海道でも大きな宿場であったことは間違いありません。

小田原宿と箱根の山

街道からはずれて街中を海に向かって少し歩くと赤い鳥居が並んでいます。北條氏が建てた稲荷社、「北條稲荷神社」で、そばに「蛙石」があります。

また「蛙石」は蛙石明神と崇められ、小田原に異変があるときには必ず鳴声を発するとあり、小田原城落城の際は夜な夜な盛んに鳴いたという名高い伝説もあるそうです。

北條稲荷神社

旧東海道はメイン通りから一本裏に入り、「かまぼこ通り」の看板。通りに入るとすぐ、焼きたてちくわの「いせかね」、魚・水・技と三つのこだわり「やまじょう」と続きます。

やまじょう

童謡「お猿のかごや」でおなじみ、小田原提灯が目印「小田原おでん本店」を過ぎると「古清水脇本陣跡」、「清水金左衛門本陣跡」には明治天皇小田原行在所跡。

小田原おでん本店

街道を挟んだ反対側少し奥には総鎮守「松原神社」。社誌によれば、北條氏の尊崇厚く社領一万石が寄せられ、氏綱、氏康等大事ごとに祈願したとあります。

境内には、戦勝ご利益の氏康公縁の「吉兆の大亀」。長寿の象徴の亀ですから、お賽銭10円で10日、百円で百日、千円納めると千日寿命が延びるとの案内書き。

松原神社 狛犬と拝殿

街道に戻ると本町交差点に、旧網問屋「なりわい交流館」。国の登録有形文化財に登録されている、木造二階建ての切妻造桟瓦葺が見事な建物で、一階が観光案内とお休み処。

小田原名物は、かまぼこ、ひもの、梅干し、和菓子、木製品。市内の名所旧跡、お店の情報などのパンフレットが置いてありますので情報収集してから街歩きを始めましょう。

なりわい交流館

創業1814年かまぼこ御三家の「籠清」、小田原蒲鉾発祥の店、江戸天明元年創業の「うろこき」は足湯もあり、じねんじょ棒が人気です。行列を横目で見つつ、人通りで賑わう旧街道を少し離れて「徳常院」へ向かいます。

すでに訪ねた、中山道や東海道の街道歩きでおなじみの八百屋お七。ここにある大仏は、その恋人、吉祥寺の寺小姓「吉三郎」がお七の菩提をとむらう為に作った大きな地蔵尊という伝説があり、「吉三地蔵」とも呼ばれているそうです。

吉三地蔵

街道に戻り、かまぼこチーズケーキが人気の「すずまつ」、片岡永左衛門本陣跡から街道を進むと1633年創業の老舗「小西薬房」。建物、看板、エントランス共に趣があります。店内は右側がミニ博物館で薬棚は必見です。

小西薬房

向かい側にはお城?こちらは650年の伝統を守ってきた「ういろう」、薬のういろう「透頂香」とお菓子の「ういろう」が有名。お菓子は羊羹や最中も販売されています。

「透頂香」は頭痛、腹痛、めまいなど、色々な症状に効くそうですが、原料の生産が少なく十分作ることが出来ないので、対面販売のみということ。

お菓子のういろうは抹茶、小豆、黒砂糖の他、杏仁や栗もあります。昨日、アド街ック天国が小田原だった影響もあり、本日はすべて売り切れで購入出来ないという想定外のアクシデント。

ういろう

うす皮あんぱんを買い求めるお客さんで行列が出来る「柳屋ベーカリー」にも行ってみたのですが、こちらも本日は閉店。お向かいの「小田原市内電車」の展示を見学。国道1号線をチンチン電車が走っていたのですね。

街道から少し入ったところに見えてくる真っ赤な鳥居、大きな天満宮の扁額、「山角天神社」です。童謡「通りゃんせ」の歌碑もありますが。こちらが発祥の地?。♪行きはよいよい帰りはこわい♪意味深な歌詞に惹かれますね。

山角天神社
「通りゃんせ」の歌碑

小田原城に向かいますが、二宮尊徳を祀っている「報徳二宮神社」へ参拝します。小田原が生誕地なんですね。

報徳学園100周年記念として制作された10体の内1体の「二宮尊徳像」があります。こちらの、説明書きには尊徳さんの「経済なき道徳は戯言であり、道徳なき経済は犯罪である」が紹介されていました。

二宮尊徳像
御朱印

神社の横が「小田原城址」、こども遊園地横を通って「天守閣」に直接向かうことが出来ます。難攻不落といわれた小田原城は城と城下を囲む総延長9kmに及ぶ総構えの規模、天守閣は高さ38,7メートル、3重4階の天守櫓は小田原のシンボル、美しいの一言です。本丸正門の「常盤木門」、二の丸正面の「銅門」も見ごたえありますよ。

小田原城 天守閣
銅門

ここから、本日のゴールまではあと一息。賑やかな街中を手土産を物色しながら歩いていけば小田原駅に到着。駅のペデストリアンデッキから見える小田原城も神々しい姿です。

街道歩き初の25kmのロングウォーク、さすがに少々疲れましたが無事小田原駅に到着。距離はありますが、鎌倉、室町、安土桃山、江戸と歴史にまつわる魅力的な立ち寄り先が多く、歴史好きにはたまらないコース。

小田原駅

小田原宿は、見る、食べるに加え温泉も楽しめるレジャースポット、改めてゆっくりと訪れて、食べ歩きを楽しみたいと思える素敵な街でした。

次回は、遂に東海道シーズン1のラスト。箱根峠越えの手前、箱根湯本迄向かいます。

詳しくはブログをご覧いただければ幸いです。↓↓

甲州街道 中山道 東海道 シーズン1

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