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[海鮮居酒屋] ワタミの歴史

 今回は、海鮮居酒屋の店舗を全国展開する、ワタミの歴史について解説します。

 1984年(昭和59年)4月、創業者の渡邉さんが神奈川県に有限会社渡美商事を設立しました。同時に渡美商事は、株式会社つぼ八とフランチャイズ契約を締結しました。同年5月、同社は第1号店となる居酒屋「つぼ八」を東京都杉並区に出店しました。

創業者の渡邉美樹さんは、裕福な家庭で生まれましたが、小学校5年生10歳の頃 父親の経営していた広告代理店が倒産してしまい、以後 父は運送会社で仕事をして稼いでいましたが、以前より貧しい生活になってしまいました。「大人になったら社長になって成功する。お父さんの夢を実現する」と、美樹さんは父と約束しました。
将来社長になるために、それまでのやんちゃ坊主から真面目少年にかわり 勉学に励んでいた美樹さんでした。美樹さんは、社長になるために大学で勉強する必要はないと考え、高校卒業後すぐに会社に就職して社会経験を積むことを考えていましたが、高校3年の4月に学校の先生から「どの会社に就職したいのか」と聞かれ分からないと答えると、「それを知るために大学ヘ行きなさい」と諭され、それから受験勉強に力を入れ、明治大学の経営の勉強ができる商学部に入学できる事になりました。
大学4年生の時 北半球一周旅行をし、その中で「世界は主義・肌の色などの差別であふれかえっている」事に気づいた美樹さんは、ニューヨークの学生街にある居酒屋兼ライブハウスでは、主義・人種などの壁を越えて肩を組み合って歌ったり乾杯しているのを見、「ああ、自分もこんな場所を提供したい」と思い、外食企業の社長になることを決めました。

「24歳の4月1日に外食企業の社長になる」と日記に書いた美樹さんは、大学の授業で「会社は負債の増加や従業員への給与未払いで倒産する事がよくあるので、会社を経営する上で、諸々にかかるお金の額を計算する経理は大事」と習ったので、「一人で決算書を書けるようになるまで、経理の勉強をしたい」と考え、大学卒業後 経理業務を代行する経理会社 ミロク経理に入社し、上司の下で雑用をしながら経理を必死で学びました。その結果、入社してから 半年後には一人で決算書が書けるまで成長できました。
その後、自分が社長になると決めた24歳まで時間がないので、会社を立ち上げるための資本金300万を用意するために渡邉さんは、大卒初任給の平均が13万2200円ほどだった1983年に初任給が43万円で超高給だった、佐川急便の宅配ドライバーに転職し、そちらで1年間働きました。

その職場は高給なかわりに、休みは1ヶ月に半日・毎日20時間労働など、過酷労働を強いられると有名で、「佐川急便残酷物語」という書籍が書かれるほどだったので、就職希望者が集まらなかったのですが、美樹さんはそちらで働き続けたので、「意志がめちゃ強い」と有名になりました。そのため、飲食店で働いた経験がないので、店舗の立地を決めたり刺身や牛肉を上手く切れないなど包丁も使えない渡邉美樹さんは、大学時代の仲間に認められ、
[美味しい料理を安くつくるマニュアルをしっかり整備できていて、金利の安い融資先も知っており 店舗拡大に成功していた居酒屋経営のプロ・自分(渡邉さんの大学時代の仲間)が社員として働いている『つぼ八』のオーナー 石井さんから、渡邉さんが知識を学べるよう協力]、
[「365日、24時間、死ぬまで働くのは当たり前。呼吸同様、働くのは体を喜ばせること」など彼の言動からも分かるように、努力癖・根性が普通の人より飛び抜けているため、人の気持ちがあまり分からない美樹さんに、お客さん・従業員は何をされたら嬉しいかを考えて これを店のサービス・会社経営に取り入れるべきと助言]
してもらい、飲食店を立ち上げる事ができました。

 1986年 渡美商事は株式会社ワタミに会社名を変えました。

 1992年4月、ワタミ社は自社ブランドの新業態として、1号店居食屋「和民」笹塚店を東京都渋谷区に出店しました。
ワタミ社は、1991年3月からバブルが崩壊し、同社が運営していたお好み焼き店27店舗の売上げが徐々に落ちてきたのを見、これらの店で働いている社員の受け皿が必要だと考えました。
当時 運営しておりプラスの営業利益が出ていた居酒屋『つぼ八』の店舗数を増やし、増やした店を受け皿にする事も考えましたが、1980年中頃に居酒屋『村さ来(むらさき)』が焼酎を炭酸・シロップで割った酎ハイを発売しブームになったときから、居酒屋の数は増えるばかりなので、いずれ居酒屋が価格競争に巻き込まれることは明らかであり、ワタミ社経営陣は「居酒屋だけでは生き残れない」とも考えていました。
ワタミ社経営陣は、
「これまでのように、男子学生やサラリーマンがメイン客層の居酒屋ではなく、ファミリー層が気軽に来れる、新しいタイプの居酒屋『和民』をつくれば、受け皿にもなるし会社の利益にもなるはず」
と考えました。
その結果、新鮮な食材を調達して、味に厳しい女性客やお酒の飲めない子供にも楽しんでもらえるような、美味しい料理を作る必要が出てきました。これまで「はやさと安さ」が売りの居酒屋『つぼ八』の方針で、店では冷凍食品を温めて簡単な調理をして出してきましたが、新タイプ居酒屋『和民』では、丁寧に手作りしなくてはいけなくなったので、スタッフが調理に慣れていなかったり 売れ残って大量の食品ロスが発生してしまったりと苦労が多く、『和民』の運営を始めたばかりの1992年7月には『和民』全店で月300万円の赤字が出るほどでした。

 2000年3月、ワタミ社は東証第1部に株式を上場させました。
ワタミ社は、「地球上で一番多くの『ありがとう』を集めるグループになる」をスローガンに掲げているので、お好み焼き屋やファミリー層向けの居酒屋など新業態に進出したり、1999年7月に国際標準化機構に『環境に優しい会社』と認められ表彰され有名になったりなど、ビジネスを大きくするための事は貪欲に実行している会社です。
ワタミ社長だけでなく政治家や学校の校長など、様々な分野に挑戦したかった渡邉美樹さんは、自分がいなくても「現状に満足せずに新しいことを生み出し続ける」習慣を社員に付けさせるため、定期的に、会社に新しいことへの挑戦をさせ続けていたそうです。
そして2000年に上場した結果、ワタミ社はさらに資金を集め 介護や農業など、さらに新たな事業を開拓する足がかりを得ました。

 2015年12月、2008年6月に過労自殺してしまった従業員の遺族が、過労死事件が発生したとき社長を務めていた渡邉美樹さんを訴えていた訴訟で、渡邉さんは安全配慮義務違反など法的責任を認め謝罪し、遺族に1億3千万円超を連帯して支払うことなどで和解しました。
訴えられた当初、渡邉さんは「幹部社員に、週休二日制の実施やサービス残業の禁止は徹底するよう日頃から伝えており、これらが破られていることを私は知らなかった。過労死事件について、私に法的責任はない」と主張していました。それどころか、「このような訴えを起こされたせいで、ネットで叩かれ、ワタミのブランドイメージが落ちた。逆に名誉毀損罪で訴えるぞ」と凄みました。
しかし、裁判中の2014年9月に、労基署からワタミ社宛に送られたおびただしい数の「是正勧告書」や「指導票」が見つかり、「知らなかったはずはない」と攻撃され、2008年に裁判が始まってから7年後の2015年、渡邉さんはやっと責任を認め遺族に慰謝料を払いました。2015年12月に電通の新入社員 髙橋さんが過労死してしまったニュースなども世間を騒がせたので、ワタミの事件も注目され渡邉さんは大バッシングにさらされました。

 2020年11月、ワタミ社は有名商社デリカフーズホールディングス社と業務提携しました。
ワタミ社は、産地開拓も上手で、仕入れ・加工・流通までをワンストップで行うことができるので、上質な青果物やその加工品を新鮮なまま、ファミレス・コンビニなどに届けることができ、全国区で事業を展開している大商社 デリカフーズホールディングス社と業務提携しました。
デリカフーズホールディングス社が設立された1979年は、オイルショックで原油価格が上昇し国内の物価が上がったので、経済が過熱しすぎるのを避けるため政府が5月頃からじわじわと金利を引き上げ、1979年11月の金利は1978年3月の1.7倍になっていたほどなので、新しく事業を始めにくい年とされていました。この年に設立した同社はスゴい会社です。
このような素晴らしい商社と業務提携したことにより、ワタミ社は、自社で行っている 高齢者にお弁当を宅配するサービス「ワタミの宅食」で利用する食品を仕入れやすくしました。
デリカフーズホールディングス社と業務提携するかわりに、ワタミ社はキット商品(カット済み・下ごしらえ済みの食材・特製ソースなど)を開発・製造している長崎センターの工場の権利を同社に譲渡せねばなりませんでしたが、それによりワタミ社は、キット商品開発の為の予算を自社から出す必要がなくなりました。その結果、ワタミ社の2021年度の「現金等(会社の貯金)」は2020年度より39億円以上大きい148億8000万円となりました。

今後 ワタミ社が、どのように世の中を変えていくのかに注目ですね。

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お疲れ様です。
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次回は、ステーキ屋の店舗を全国展開する、いきなり!ステーキの歴史について解説します。お楽しみに。

まあに

サムネイル内で使った画像の引用元:
https://diamond.jp/articles/-/225523

https://www.watami.co.jp/

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000187.000009215.html

その100円が、まあにのゼンマイを回す