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心地よく働ける職場の鍵は、創造性!?創造性を引き出しあう職場のつくり方とは?

先生の学校編集部では、リーダーの立場で頑張る先生方から、「先生一人ひとりのやりたいことを叶えたい、それができる組織に変えていきたい」という心強いまなざしや思いを取材を通して受け取ることが多々あります。

労働環境が問題視される学校現場で、先生方の「やりたい」を叶える環境を実現するためには、どのような情報をお届けできたらいいだろうかと考える中で、リクルートワークス研究所が発行する「『創造性を引き出しあう職場』の探究」というレポートに出会いました。

もしかしたら、心地よく働ける職場とは、創造性を発揮できる職場とも言い換えることができるかもしれない。そう発想の転換をした私たちは、「創造性を引き出しあう職場の研究」プロジェクトリーダーであるリクルートワークス研究所 大嶋寧子さんに、職場における「創造性」についての疑問・質問をぶつけてみることにしました。


(1) 創造性は特別じゃない

大嶋さん、もっと教えて!Part.1

Q. 今、働く人が発揮すべき「創造性」って何ですか?

「創造性」を辞書で引くと、「新しいものを作ったり、 新しいアイデアを考えたりする力」と記載されています。また、経営学の領域では「組織にとって新しく、潜在的に有用な製品やサービス、手順のアイデアを生むこと」と定義されています。

「創造性」と聞くと、日本ではイノベーションと混同されて、何か革新的なものを生み出す力という風にすごく大きな意味で捉えられがちですが、実は創造性とイノベーションは区別されています。

イノベーションは、 社内のさまざまなリソースを動員してアイデアを実行し、問題解決や新製品・サービスの開発を実現すること。創造性は、イノベーションの手前で、その基礎を作るものなのです。言い換えるなら、試行錯誤や創意工夫といった言葉が近いとおっしゃる研究者もいます。

つまり、イノベーションの土台となるもっと小さな粒が「創造性」なのだと考えると、ぐっと身近なものに思えてきませんか?

今、働く人が発揮すべき「創造性」を、私たちは「仕事への思いや気づきにもとづいて、自分と職場をより良くするアイデアを生み出し、提案していく力」と定義しています。これは、一部の特別な人に備わっている力なのではなく、職場や学校の誰もが日常的に発揮できるものなのです。

(2)創造性を引き出す環境設定

大嶋さん、もっと教えて!Part.2

Q. 創造性は、どうしたら発揮されますか?

創造性は、準備運動や助走なしに、突然発揮されるものではありません。やはり、創造性が発揮されるためには、その前段階のプロセスが重要です。

まずは、問題意識を持つことから始めましょう。問題意識を持ち、自分なりになんとかしたいと思えて初めて、アイデアが生まれます。

アイデアが生まれたら、次はそれを磨いたり、一次情報に照らしたりする「探求」活動をしてみましょう。自分の中で生まれたまだ未熟なアイデアを、職場の同僚と対話しながら新たな視点を追加したり、違う角度から考えてみたりしながら、価値のある提案に育てていくのです。そして最後に、「提案として共有する」という行動につなげます。

このプロセスを、私たちは「働く人の創造性発揮モデル」と名付けて図示しています。問題意識をちゃんと持てるようにすることと、その問題意識について探求しやすい職場環境にすることで、創造性の目詰まりは解消していきます。

働く人の創造性発揮モデル
研究レポート18pより引用)

大嶋さん、もっと教えて!Part.3

Q. 職場でモヤモヤを共有するために、今日から何をしたらいいですか?

まずは、モヤモヤは単なる不平不満ではなく、変化の種として価値があるものだというポジティブな認識に変えましょう。

そして、同僚がモヤモヤを出した時は、「なるほど、そういう考え方があったんだね」と受け止め、対話の機会をつくることで、職場内にモヤモヤを共有していいんだという文化が出来上がっていきます。

リーダー自ら、こんな小さなものでいいのかと思えるようなモヤモヤを共有していくことも有効です。時間がかかってもいいので、丁寧な受け止め方を一緒に考えていくことが1つの方法になるだろうと思います。

もう1つおすすめなのは、 みんなでモヤモヤを共有しあう際に、「相手にどう受け止めてほしいか」を示す方法です。

例えば、①自分の備忘録のため(だから反応不要)、②ただ聞いて欲しい、③受け止めてほしい、④助言が欲しい、⑤一緒に解決策を考えて欲しいなどの選択肢をゆるやかに決めて、「このモヤモヤ共有はとりあえず①です」という形で共有する所から始めると、職場としてももっと気楽に受け止めやすくなるかもしれません。

モヤモヤは誰でも持って当たり前だし、それを大事にすることでいいことが起きるんだという体験ができていたら、きっとそれは個々の創造性が発揮されている心地よい職場なのだと思います。

「『創造性を引き出しあう職場』の探究」のレポートは、下記よりお読みいただけます。

取材・文:先生の学校編集部 | 漫画・イラスト:島田 あや

※こちらのマンガは、「先生の学校」が発行する、雑誌HOPE 2023年夏号に掲載したものです