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とにかく黙っていられんかったー中の人の心

 とにかく、黙っていちゃいけない。ネットに書くだけじゃいけない。何かもっとしなければ、と思ったよ。(表題写真は1月7日信濃毎日新聞)

 1月6日の読売新聞の自動販売機窃盗記事。同日夜、地元紙の北国新聞が行為者に取材して、窃盗じゃなくて避難民のためにしたということを明らかにした。でも1月7日、読売オンラインで見ると、この窃盗記事が能登半島地震記事の2位になっていた。この記事を拡散するXのポストも多かった。そして関係なく外国人犯罪につなげようとする輩もいた。

 だいたい、ヒトは悪い話を拡散するものだ。実態なんて関係ない。だから、なんとか拡散を押さえねばと午後1時ごろ、両者の記事を並べてツイートした。

 そして、当の読売新聞社へも連絡するべく、読売オンラインで試みると、そうした問い合わせに対応する部署につないでくれた。自分は努めて冷静に、読売と北国の記事の齟齬を説明し、とにかく非常時でもあり、現地が疑心暗鬼になってしまいかねない内容だから、本当のところをきちんと取材してほしいと。そして、もし間違っていたなら、続報でも良いから正確な情報を流してほしいとおねがいした。相手も、きちんときいて、対処するとしてくださった。

 それから一時間ほどして、読売の記事がいったん下げられたことをフォロワーさんが教えてくださった。Xでも何人もの人が指摘していたし、おそらく、中の人のような指摘が新聞社に直接間接にたくさん舞い込んでいった成果だろう。

 ところが、ネット上には、ニュースの配信を受けたネット媒体の名残があちこちにあった。あるところは本文を削除したがタイトルと概要はそのまま。あるところは、配信記事をコピペして全文そのまま…。あらためて午後3時すぎ、読売新聞社にそのような状況であることを伝えた。一度出した情報はー特に悪い情報は、拡散し、悪あがきのように残ると実感する。

 関東大震災のデマによる朝鮮人虐殺はもちろん、今回も中国人窃盗団のデマを流す人がいる。被災地の人の言葉だと、なおさらそれに載せられがちだ。悪いことをする人、良いことをする人に、人種による区別などない。そして、今大切なのは、あやしげな情報を拡散して人々を混乱させることではないはずだ。

 現地に思いを寄せ、必要な時に飛び出せるように心がまえをすることだ。誰もが現場で手伝えるわけじゃない。でも、どこでもできることがきっとある。落ち着いたら現地の知人を励ますのも必要だろう。義捐金もあるだろう。地図を引っ張り出して理解を深めるのも大事だろう。やっちゃいけないのは、仲たがいを増幅させることだ。

 そうした観点から、地震を悪用した詐欺的行為を徹底的に憎む。それは、ただ、悪人といえばよい。こういう手口に注意と言えば良い。1月2日の事故も含め、誰しもが心に傷を負い、つらい、やるせない気持ちを抱えている。そんな時こそ、攻撃的な意識を抑え込むんだ。悲しみは、ともに分かち合って減らしていこう。そして、泣きたい時は泣け、つらいことは口に出せ、と。応えられるなら一緒に応えていく。それが、同じ日本に住んでいる、否、地球にいる自分たちのやることじゃないか。

 今日の新聞の1面は嬉しかった。もっともっと、たくさんの命が助かるように。思いを込めて。

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