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兵隊が身近だっただけに、出征祝いだけでなく、さまざまな軍事関連の落雁の木型がありましたー中には謎なものも

 戦争絡みの菓子型は、出征や凱旋に限りません。そろって徴兵検査を受ける身であり、身内に軍人がいることもごく普通だった時代で、在郷軍人会の集まりなども目にしていたでしょうから。まずこちら、ヘルメットです。

星形が陸軍を強調。ダボでつないで厚みを出します。

 そしてこちらの杯の木型。さまざまな祝いの場に転用できたでしょう。

陸軍と海軍の旗を交差させた意匠です。

 こちら、木型を彫る人は気楽に作れたであろう、砲弾型です。

特徴をよく捉えています。

 こちらは、単純なだけに彫る人の工夫が必要だったと思われる、馬蹄かな、とみられる木型。これは戦争と関係なく、農業絡みや運輸絡みでも使えたのでは。それとも軍靴か?

馬蹄かと思うのですが、ちょっと分からない

 そしてこちらは、彫る人を大変悩ませたであろう、大砲の木型です。

砲兵の送別にも子ども向けにも使えたか

 軍人となれば望んだ金鵄勲章の木型も入手しました。特別にあつらえる時だけに使ったのでしょうか。わざわざ周囲を黒く塗ってあります。

被せる型にも丁寧に刻みが入っています。

 そして、戦前の祝日には、それに合わせた菓子もありました。天皇制の時代ですから、祝日も皇室行事と何らかの関係を持たせています。

天長節、天皇誕生日ですね。
紀元節、建国記念日ですね。小さい中凝った意匠です。

 そして、さまざまな国家レベルのお祝いで使ったであろう「奉祝」の落雁は、やはり特製で大きめです。

奉祝となると、ただの祝いとは区別が必要

 最後に、兵役免除の木型。「甲種合格」とか「入営祝」なら普通ですが、徴兵制の時代に兵役が免除になったことをお祝いするお菓子をわざわざ作ったのか。新潟県内の老舗のお菓子屋さんにあったというので、実際に依頼があったと思われます。通常は(内心は別として)誇ることではないのですが、何か事情があったのかもしれません。
 もしかすると、兵役義務の年齢を無事終えたという意味のお祝いだったのでしょうか。時代によって年齢に違いはありますが、それも長寿を表す一つの目安だったかもしれません。

日の丸の交差は、お祝いとみてよいでしょう

 たかがお菓子の木型ではありますが、その時代を表す証人となってくれています。木型を使った落雁などのお菓子も、いつか再現したいものです。

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