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調べて発信するということ

 代表が初めてネットで発信を始めたのは、生活や趣味を通じて感じたりやったりしたことの日常のブログでした。もう20年ほど前になります。そういうブログは、自分の思うこと、感じたことをそのまま書くだけですから、調べものをして書くというものではありませんでした。むしろ直感で、素直に書くのが楽しかったです。

 しかし、信州戦争資料センターのブログを2015年に始める時には、そういうわけにはいきませんでした。「モノ」を紹介するといっても、その背景や歴史の流れの中における位置づけなどをしっかりさせないと、ただ「こんなものがありました」で終わってしまいます。時には間違いを伝えることにもなります。もちろん、「アッハッハッハ、こんな変なものがありましたよー」で終わらせていい場合もあり、そんなユーモアも大事にしています。が、その「面白さ」も歴史に絡む以上、最低限の調べものは必要になってきます。ブログからTwitter、X、noteとなっても、その大切さは変わりません。

 その点でネットは便利です。先行研究者の成果を検索して生かせるわけで、今回の展示会での「犬の供出」も、資料、聞き取り、先行研究の組み合わせで、間違いのない情報を届けることができました。ただ、ネット上にない情報が大量にあることも当然でして、特に長野県という地方レベルのことを調べるには十分ではありません。その点、教育県と言われてきた長野県では各地に地域史などを調べる個人や団体があり、自費出版の形で足跡を残してくれていることも多々あります。冒頭の画像は、長野県の戦時関連の本の一部で、200冊以上あります。そして長野県以外の分野も含め、基礎的なことから専門的なことまで、これは押さえなければといった調子で集めた本も1,000冊以上になるでしょう。

これは戦時関連書籍の一部です。あちこちに押し込んであるので…

 こうした資料の助けも借りつつ、ネットでの発信や出版を続けています。2023年の展示会に合わせて発行した、インパール作戦などに参加した飯田市出身の兵士が復員直後に描いた「牧内兵長回想録」も、ビルマ戦線の複数の基礎資料を入手できたことから、ようやく本としてまとめられました。自分が集めたさまざまな資料をネットで断定的に紹介できるのは、こうした調査をそれなりにしているからで、最近の関東大震災のXへのポストも同様です。せっかく集めた資料です。できる限り、良い形で世の中に出していきたいと思って努力を重ねています。

印刷物を中心とした戦時資料群です。ほかにもあちこちに隙間を探し突っ込んで…

 ほかにも、貴重な歴史資料ですから、劣化させないような対策も必要です。こちらもやればきりがないので、基本的な対策のみですが。次の世代に引き継ぐのも集めた自分の責任。集まっているからこそ、時代が浮かび上がってくるのですから。

ここまで記事を読んでいただき、感謝します。責任を持って、正しい情報の提供を続けていきます。あなた様からサポートをしていただけますと、さらにこの発信を充実し、出版なども継続できます。よろしくお願いいたします。