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心に残っているフレーズが、ある日ふと降りてくる 読書が「書くこと」に与える影響とは【受講生課題記事】

※こちらはco-ba school「ライティング基礎ワークショップ」の受講生が、課題として作成したインタビュー記事です。

“短期的な欲求(動物化)と、事実を置き去りにした扇情(亡霊化)がいまメディアには渦巻いている”―――これは桂さんによって書かれたイベント告知文の一部。ぱっと読んだだけでは何のイベントかわからない。参加者からも「衝撃的だった」と評された彼のこの文学的文章は、どういった背景から生まれたのか。少しでも近づいてみたいという好奇心を抱えながらインタビューしました。

つながりから生まれる、新しい発見

——桂さんといえば読書家という印象があります。本を読むのは「好き」なことですか?

桂さん:そうですね、生活の一部になっている感じです。今のペースで読むようになったのは大学を卒業して一人暮らしを始めてからです。もともとあった収集癖みたいなものと、本を集めることが掛け合わさったんでしょうね。笑

ちょっとした空き時間に読むことが多いです。お風呂に持ち込んでパラパラと読んだり、テーマを決めて3~4冊机に並べて、ノートにまとめながら深掘りすることもあります。

——読書から得るものは何でしょうか?

桂さん:すごい感動があるんですよ、たまに。ああ、この一文を求めていたみたいなのが。1人で部屋のなかで悶えるくらいの。笑

仕事で使う技術書でも、本で読んだことが別の何かとつながって、新しい発見が生まれる瞬間があります。例えば『物語論辞典』という本の内容とカスタマージャーニーマップが重なる。それが、ユーザーの行動を単純に起きたこととして捉えるのではなく、物語で考えたほうがいいという気づきにつながる。他にも、プロモーションの仕事をする中で、ペルソナの設定が物語の登場キャラクターとリンクすることもあって面白いです。

読んだ本の記憶が呼び起こされる感覚

——読書が「書く」ことにも影響していますか?

桂さん:書くときに、すごく印象に残ったフレーズや、かっこいい言い回しがぱっと思い浮かぶことがあります。引用元は忘れてしまっても、色々な文章を読んだ記憶が頭の中で反芻されている感じです。よく覚えていたなって自分でも思います。笑

——最近書いた文章で印象に残っているものは?

桂さん:このあいだ開催したメディア論についてのイベントで、告知文を書きました。そのイベントレポートをあげてくださった方が、僕の書いた告知文を「衝撃的」「素敵だ」と表現してくれたのは嬉しかったです。

読み手がどう感じるか考える、そして時々裏切る

——(冒頭の引用文を含む)イベントの告知文にはどんなこだわりが?

桂さん:わかりにくいメタファーを使い、単純なイベント紹介ではない凝った文章にしたんです。あとは、今のメディアはこんな問題があるよねというのを読んだ人に考えさせつつ、告知文なので説明しすぎないように工夫しました。めちゃくちゃ推敲したので大変でしたが、自分がいいと思える文章ができるというのは面白いなと感じました。

——本を読むことで蓄えられた言葉が、桂さんの表現に生きている。それがひしひしと伝わります。今後、書きたいものはありますか?

ブログもういっこ作りたいと思うんですよね。最近は自分の考えをアウトプットする機会がないので、好きなものを紹介するブログを書きたいなと。僕が自分の文章で書くときは、そんなに相手に寄り添わない。書きたいことが先行です。

——新たな桂ワールドが私も楽しみです!インタビューありがとうございました。

(Text by Ryuka Ohkubo)

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