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【売春風土記】第9回 サバイバル力

場所:歌舞伎町・ハイジア

 寒くなってきました。今年もまた冬がやってきます。冬は、他の季節よりも一層、路上に生きる売春婦『家なき子』たちのサバイバル力に、驚かされることが多い時期です。
 昨年度、わたしが思う『サバイバル力No.1』は、常連ハイジア嬢のユリ(仮名)でした。彼女は厳冬期の12月〜2月、妊娠しているにもかかわらず、毎晩、立ちんぼをしていたんです。
 その姿は見ていて痛々しかった。なぜそんな無理をしていたのか? なるほど、出産にあたって何かと物入りで、寒かろうがどうしようが働かなくちゃいけなかったのか?
 とにかく彼女は連日、大きなお腹を抱えてハイジアに立つ。そして春先に町から姿を消します。で、5月ごろに戻ってくると、お腹のふくらみは消えていました。
 わたしが戻ってきたユリに「出産、大丈夫でした?」とたずねると、彼女はこう言いました。
「ぜんぜん、平気だよー」
 こういう芸当をやってのけてくれるから、家なき子ってのは魅力的なんです。大好き!
 さて今冬は、誰がどんなサバイバル力を見せてくれるんでしょうか?


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