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SとR
              
            第一章
            Rに暮らす青年が戦地に行く

SとR 第一章 Rに暮らす青年が戦地に行く

※Rは沿岸のまずしい田舎まち。

ーー

私は戦地に行く

戦争が怖いとか死ぬのが怖いとか、そういう気持ちは特にない
本当になんというか、取り立ててこれと言った感情がない
ただ世の中がこうだから、時期が来たら行くものだと思っていた
それが明日なのか来月なのか来年なのか、どれもあり得るし、どれでもよい、というような気がする
労働でくたくたになった身体で床につき、そんなことが一瞬頭をよぎって、次の瞬間

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みぎわの箱庭

みぎわの箱庭

それは、春になる前の寒い日のこと
午後の仕事が落ち着いて、
ちょうどひと息入れようかというころにね
大きく大きく、地面が揺れた

遠くの海がたちまちふくれ、
そのままぱちんとはじけてしまって、
まちに覆いかぶさった

雪降りの夜が明けて、
浮かびあがってきた風景に
みなが立ち尽くしていたときにね
男の人たち、壊れたまちまで降りて、
生き残った人を探したんだよ

毎日毎日探してね
助けられた人もいた

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