MAD MAID WARRIORS/因縁の故郷

「おい、何をしている!」
「す、すみません!」
「この野郎!使えない奴だ」
銃声が市場に響き、街の人がまた一人殺されました。
驚く事はありません。酷い事を平気でできる人たちが私たちを支配しているのは今に始まった事ではありません。

遺体がいくつも目に入る通りを通って家に帰ると母が迎えてくれました。母は深刻な病気で体を動かすことはできませんが、私を10年の間優しく育ててくれました。
でも、母が元気に暮らしていけるお金は家にありません。
父が「家族のために」貯めていたお金を、私たちの貯金も全部持って外国に持ち逃げしたのでありません。
なので、思いついた方法でお金を稼ぎます。
身体を売って、母の大病を治せる費用にすることにしました。凄く痛くて辛いですけど、これも家族のためです。
あの人たちは私に優しくします。殺してきた知っている人や知らない人達にもそうしてください。
仇は取りたいですが、悔しくも力がありません。
なので、嫌でも今は言うことを聞きます。
いつか追い払ってみせます・・・!

そんなある日、一緒に寝た人が言いました「君はお母さんを助けるために頑張っているんだね。偉い。よければ私が、お母さんを苦しみから救ってあげよう。君を見て、罪悪感を感じているかもしれないし、解き放ってあげるのが身のためだと君は思うだろう?」
その人を信じて連れて帰ってきました。
「おかえり。その方は?」
「軍の者です。是非ともお力になりたく」
カチッ、パン。
母が銃で撃たれました。隣にピストルを構えるおじさん。
「なんで・・・」
「言っただろう。苦しみから救ってあげると。これでお母さんは無事に助けた」
意味がわかりません。どうして母を殺したんですか?
「そんな・・・事・・・」
「君が言ったじゃないか。私はそれに乗ったまでさ」
「・・・・・・・・・」
「死体を片付けてくれ。可哀そうだからな」
「・・・さない」
「なんだい」
「許さない・・・殺してやる・・・」
こいつが、憎い。
「逆恨みはやめたまえ」
澄ました顔をぐちゃぐちゃにしてやりたい。
「君が望んだ救済じゃないか」
こいつらは、みんな敵だ。
何食わぬ顔で人を殺す理解できない怪物だ。
「もういいかい?」
「名前・・・」
「私のかい?・・・フランドリー・スコット。陸軍軍曹だ」
この名前を何年たっても忘れません。母を殺したように、こいつの一番大事な人を、心の拠り所も壊す。
「素晴らしい見世物だと思わんかね。はっはっはっは!」

私の大切な人たちは、突然現れた怪物に奪われました。
考えすぎかもしれませんけど、放っておけばもっとたくさんの人が苦しみます。その前に、止めなきゃ。
助けてください・・・耐えられません。
誰か・・・
「お呼びでしょうか?」
綺麗な髪のメイドさんだ・・・この人は奴らとは違うのかな。
「助けを求める方は無条件でお迎えしますわよ。旦那様が一目ぼれされた方がいらっしゃる前に」
「今度は、信じていいんですか?・・・嘘つきませんか?」
この人から感じる優しさは、本物だといいです。
「そこは貴女の判断にお任せしますわ。辛い過去を持つと、大変ですわね。私がお力添えさせて頂きますわ」
「はい・・・」
「申し遅れましたが、私はケイリィと申しますわ。貴女のお名前は?」
あ、この人は誰よりも暖かくて信じられる。
「フェンシア・・・サーヌルイス」
信じられると、いいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?