MAD MAID WARRIOWS/実践訓練

「改めまして、ジェスミア・エマ・クレイソンです。よろしくね。基本的な説明は受けているね。じゃあ進めるよ。止めて欲しかったら言ってね。急に馴れ馴れしくて悪いけど、同年代の娘がなかなかいなくてさ」
ジェスミアさんは親しみやすい気さくな人です。
おかげですぐに一緒にいる緊張感は溶け、安心しました。

前向きで熱心なジェスミアさん。私に料理と掃除を教えてくれています。とても分かりやすく丁寧ですし「大丈夫。一回じゃ誰だって難しいよ。何度でも教えてあげるからね」根気強くて1度では覚えきれない事でもゆっくりと寄り添ってくれます。
「伝わらないかもしれないけど、なんかこう、教えるのって好きだし勉強になると思うの。私の趣味が仕事になったって感じかな。付き合ってくれると嬉しいね」
広くて果てしないように見える廊下を掃除しながら言ってくれます。
「うん。凄く可愛い。食べたい」
「?」
「なんでもないよ。早く終わらせよう」

「~~♪」先ほどから鼻歌を歌っているジェスミアさん。
「なんの歌ですか?」
「あ、ごめん、うるさかった?」
「いいえ、そういう訳じゃないんですけど。気になって」
「ああ、これね。ジョニーが凱旋するとき」
まだ聞いたことのない曲がたくさんあり、知りたくなりますが今は、作業に集中します・・・?
「ジェスミアさん!!??しっかり!!」隣で倒れていました。

「無茶しますね。張り切り過ぎたのでしょう」
あの後すぐに助けが来て、倒れたジェスミアさんを運び込んでくれました。ひとまずは大丈夫そうです。よかった・・・
「ジェスミアは精神的に傷が深いです。責めないであげてくださいね」
「そんなつもりはありませんよ。凄く心配しました」
そっと、本当に綺麗な褐色の頬に触れてみます。
「あら、そういえば、まだ名乗っていませんでしたね」
「あ、こちらこそ」
助けてくれた金髪の女性に感謝と名前を言い、挨拶もしておきます。

3日が過ぎました。教えてもらいながら色々な仕事をしていきます。ジェスミアさんは当日の夜に意識が戻って、いつも通り元気に作業を再開しました。
分からないことがたくさんありますけど、皆さんとても丁寧に教えてくれます。
教わりながら厨房の掃除をしていました。
すると、ケイリィさんが声をかけてくれました。
「頑張っていますわね。今夜、一息ついたら私の元へいらっしゃいませ。長話でよろしければ、お付き合いください」
どうやら何か聞かせてくれるみたいです。面白そうです。
ケイリィさんが去る時、ふわっといい匂いがしました。今までも感じましたが今日は強いような。
「お疲れ様でした。今日は上がって大丈夫です。後はやっておきますから」
さっきまでお世話になったエリンさん。ずっと付きっきりで私を見ていてくれました。
明日は何をするのでしょう。気になりつつもケイリィさんの部屋の扉を叩きます。
「いいですわよ」
「失礼します」
入ると落ち着かない香りがしてきます。
「・・・凄い、匂いが」
身体が熱くなってきました。
手招きに応えてベッドに座ります。
ケイリィさんを見ているとドキドキして、なんだかおかしいです。
「話って、なんですか?」
「ええ。ここに来て一週間ほど経ちましたわね」
「そうですけど、それが一体?」

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