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過去帳ってなに?

若い頃は仏壇にある物に興味なく、
辛気臭いと思うこともあった。
仏壇の中にいる人たちと会ったこともないので、
ばあちゃんが拝んでいる箱くらいにしか思わない。
ところが歳をとると祖父母が死に、親が死に、
時には子どもが先に死んでしまうこともある。
そういう出来事に遭ううちに仏壇の中には
自分を可愛がってくれた人たちが増えて行くので
花を供える、父の好きだったチョコレートを供える、
そんな事をするようになる。

そうしているうちに過去帳を見るようにもなる。
会ったことのないご先祖さまたちがそこにいるのは知っていたが、
どんな人だったのか、どんな生き方をしたのかをふと想像する。

昭和16年8月、私の叔父が2歳で亡くなった。
話しは聞いている。
過去帳を捲るともう一人、昭和16年に亡くなっていた。
祖父の母親だった。
祖父は、昭和16年の8月に2歳の息子を亡くし、
その翌月には遠く離れた街で暮らす母親を亡くしていた。
これを知ったとき、祖父の胸中を想い絶句した。

家に過去帳があるなら先祖を遡り、
思いを馳せるのも自分を知る手掛かりになるかもしれない。
ほとんどの人はそれほど遡れないと思うけれど、
太古の昔より繋がってきている命なのは間違いない。


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