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setagawa
2024年4月7日 20:00
〜大和路は王子斑鳩法隆寺 厩の宿に眠る旅人 叢雲の剣の鞘に込められた 戦のない世の道標 大陸の荒ぶ風の音いつの日か 和の民座す大和斑鳩〜 稲の若草に朝露の宿る香りに包まれ、私は目を覚ました。昨日出会った者は何者であろうか。宿を借りた礼を言わねばと思い、主人を探した。けれどここは、そもそも馬小屋ではなく、何かの道具置き場である。馬すらいない。 平野を駈け抜ける一陣の清らかな風。昨夜の
2024年2月4日 00:01
この地に入りてから、幾許か季節は巡った。民の生活は滞りなく、少しずつ人々の数は増えてきているように感じられた。 少しばかり、私には自由が与えられ私はひとり野辺を彷徨った。何も目的を持たずひたすら彷徨っていた。自ら深く呼吸をする。そしてひたすら彷徨い歩く。帰る家はある。私は必要とされて邨の警備に就いている。 近江の海は南岸から流れ出ていずれは大海に注がれていく… 私は川の流れの行き着く先を見
2022年4月9日 16:38
行き交う人々の好奇心を刺激する異国の香辛料の匂い。聴きなれない言葉や唄が聴こえる。何故かどこか懐かしい旋律。米の粉であろうか。蒸されている異国の食べ物に私の心は揺らいだ。そんな折に雑踏より私を呼び止める声があった。「そちらのモノノフの方よ。こちらへ来られよ。強飯を摂られよ。」 白髪の老婆の勧めるがまま、私は飯を食べた。異国の言葉の食物であったが味は深みがありひとつ、ふたつと食は進んだ。「そ
2022年3月7日 22:26
曇りの日はなぜか時空の軸が繋がる…あの方の住むあの都へと… 湖面より立ち登る霧。春の霞と相まって て、辺りには土の匂い、葦原の匂い、梅の香りが漂っている。無風。凪の水面に何か大きな魚が水面近くを泳ぐ。白鷺は歩みながら小魚をついばむ。〜彼の地は もののふさきわう近江の海 ますらお育む伊吹山 彦根長浜竹生島 浅き夢見し酔ひもせず 都は大津、近江の大津 逢う津、逢う坂、黄泉比良