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大阪の図書館は基本治安悪いからな


目の前に巨大な本棚が現れ、
自分の欲望が分からなくなった。



無性に本が読みたくなって、仕事終わりに図書館に足を向けた。
換気の悪い空気と妙に静かな空間。
嫌いではない。

さぁ何を借りようかと館内を見回す。
とりあえず最近の小説や、世界の旅行記、話題になったエッセイなどを目で追う。

手にとってペラペラめくり、また棚に戻す。
ブラブラ歩いて、背表紙を眺める。
そんなこんなであっという間に30分過ぎた。


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…どれを借りたらいいか分からない。
本棚の前で呆然と立ち尽くしてしまった。


急に、自分が本に何を求めているかが分からなくなってしまったのだ。


自分は何の為に本を読むのか?
知識?体験?勉強?
何に心惹かれているのか、
何に時間を費やしたいのかが、
煙の向こうでぼやけて漂っている。


昔はそんな事なかった。
キラキラした文字の分厚いファンタジー、
見たことある作家の推理小説、
和訳が綺麗な海外小説。
有名人の書いたビジネス書。

興味が出たものは何でも借りて、読んでいた。


だが、社会人になって変わったのだ。
選択の自由と時間の制約が。

無意識のうちに
「いいものだけを摂取したい」
と欲張ってしまう。

面白く無い本を読む時間を避けたい気持ちが、判断を鈍らせる。
自分の「面白そう」のアンテナを悪くする。


面白くないものがあってこそ、自分の中の面白いを確立できるのに。



今日は諦めてしまったが、
明日は行ってみよう。
今度こそ、何か本を借りて帰ろう。





…とまぁここまで図書館で本を借りれなかった話をしたのだが、

本当は
「あんた髪綺麗ネ、これアゲル」
と明かに使用済みシャンプーのボトルを押し付けてきたアジア人と、

ひたすら新聞に向かって
「1、5、4、3、3、」
と数字を読み上げる髭が編み込みのお爺さんが怖くて早々に家に帰った。

大阪の図書館どないなってんねん。


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